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269. 大晦日は迷い込みます(本編)




大晦日の夜になった。



毎年恒例の、怪物が現れるまでご馳走を楽しむ賑わいの夜である。

あのまま雪は降らずに晴れた夜となり、冬特有の黒紫色の美しい空には細やかな星が煌めく。


会場を変えた今年は、窓から見える風景はいつもの会食堂や広間とは違い、大きな庭園や禁足地の森を望む代わりに、小さな薔薇園が広がっていた。

どこか秘密めいた雰囲気を見せる小さな庭園の美しさと、その庭園をぐるりと囲む雪ライラックの花枝の額縁が可憐な絵のようだ。


そんな美しさにうっとりと出来る一方で、小さな庭だからこその景色もある。


窓の向こうには小さな庭を棲み処とするむくむくの鼠妖精や兎妖精などの生き物の宴会の様子も見て取れた。

そんな生き物達の生活を脅かさないように魔術を敷き、外からこちらが見えないようにしてあるというのでネアは期待してしまったが、そちらの運用は怪物には適応外であるらしい。


たいへんに解せない気持ちなので、ネアとしては、そろそろ対象内になってもいいと思っている。



「乾杯の後は、まずは牡蠣からいただきますね」

「フォアグフはいいのかい?」

「今年は、なぜだかすぐに食べたい生牡蠣と、その次にディノが話してくれたフォアグフのケーキ仕立ての順番でいただこうと思っています!」

「あのね、鴨は無花果と砂糖の蒸留酒を使った、黒胡椒のソースなんだよ」

「まぁ。ゼノはそちらも調査済なのですね!」

「うん。凄くいい匂いがしたから、絶対に美味しいと思う!」

「じゅるり…………」



今年も、リーエンベルクの一室には、大きなテーブルに素晴らしい料理が並べられ、休憩時間に食事に来たグラストとゼノーシュを始めとした仲間達が揃っていた。



「…………ほお。この床石の組み方は、浸食魔術への抵抗値上げだな。特定の術式と結びつけて動かすことで、収めていた書類の改竄などを防いでいたのか」



漆黒のスリーピースの上着を脱ぎ、今夜はすっかり寛ぎ感を出している選択の魔物が興味を持っているのは、本日の会場の床石である。


いつもの大広間とは違う建築意匠が気になるようなのだがそれもその筈、実はこちら、先日までは倉庫であった部屋なのだ。


収めていた書類の一部を書物として再編するにあたり、書棚類の家具を修繕に出すことになって一度部屋を片付けたのが先月のこと。

その際に思っていたよりも美しい部屋であることが判明したので、今回の大晦日のお祝い会場に選ばれている。


柔らかなシュプリ色のシャンデリアの細やかできらきらとした光と、綺麗な湖水結晶の水色の壁の組み合わせは何とも上品で繊細だ。

大きな窓から庭園の薔薇の茂みが見え、花の中に灯った妖精の光も素敵なランプのよう。


森水晶の床石は長方形の板を交互に組み合わせてゆくような独特の構造で、ひし形構造に近い組み上げには、様々な魔術的な意図もあるらしい。


使われている森水晶は透明度の高い高価なものではなく、ひび割れや筋模様の入った階級のものばかり。

だが、それが木目に見えると言われて人気があった時代もあるそうで、その頃に作られた部屋なのかもしれないそうだ。



「この深い緑色にも見える青色が、とても雰囲気があって素敵ですね」

「この色も、不透明色なので安価な石材なのだ。だが、この組み方で床に敷くとなんとも美しいと思ってな」

「それで、是非にお祝いの会場に使いたいと思われたのですね」

「ああ。リーエンベルクには、きっと私が知らない部屋もまだまだあるのだろう。だからこそ、こうして、見知っていた筈の部屋の美しさに気付かせて貰えて良かった」



ネアは、嬉しそうにそう話しているエーダリアに頷きながら、こんな話を聞いたらまたリーエンベルクはこの主人が好きになってしまうのだろうなと小さく微笑む。

きゅぽんと音がして結晶化しかけていて手強いと言われていたコルクが抜かれ、ふわりと青林檎のような清しい香りがこちらにも届いた。



「はぁ。やっと開けられたよ。まさかの、ウィリアムだったけれどね」

「それがどういう意味なのかはさて置き、乾杯用でいいんだな?」

「あ、グラスに注ぐのは僕がやるよ。このシュプリは揺らすといい香りがするから、飲むときまで抑えておきたいんだよね」


どうやら、ノアだけでなくアルテアも苦戦していたシュプリのコルクを抜いたのは、ウィリアムのようだ。

とてもざっくり動くことの多い終焉の魔物だが、思いがけない面での繊細さを見せることも多い。

一度、どことなく面白くなさそうに、アルテアが洗濯類はウィリアムの方が上手いと言っていたこともあるくらいなのだ。


国一つを容易く傾ける、それぞれにひと柱の王である魔物達が洗濯の腕を競うのも不思議なことなので、ネアとしては、魔物とは何だろうと再び考えさせられた発言であった。



「アルテアさん、背中をぽんとして差し上げましょうか?」

「何でだよ」

「アルテアさんも挑戦したコルク抜きを、ウィリアムさんが成し遂げてしまいました」

「……………あいつは、終焉だからな」

「わーお。今回に限っては、そっちは関係ないと思うんだけど…」

「たまたまですよ。皆で開けようとした後だったからでは?」



くすりと微笑んだウィリアムはそう言っているが、アルテアとノアがすっと真顔になったので、そうではないのだろう。

こんなところでちょっと悔しさを感じるのだなと思えば、何だか無垢な生き物ではないか。



「全員に行き渡ったようですね。では、始めますか」

「ああ。今年も、皆に世話になった。堅苦しい挨拶はないので、好きなように楽しんでいってくれ」


ヒルドに促されてエーダリアが簡単な開始の挨拶を済ませると、皆がグラスに口を付ける。

しゅわしゅわと細やかな泡の立ち昇るシュプリは、グラスを傾けた途端にふわりと甘酸っぱい香りがした。



「………むぐ。辛口で飲みやすいシュプリですね。………ぷは!青林檎の香りが、なんて爽やかなのでしょう」

「今回のはね、来年の新年飾りに合わせて、飲みどころを探していたシュプリがあったから持ってきたんだ。シュタルトの小さなメゾンのものなんだけど、冬林檎の香りがいいんだよね」

「……………これは美味いな」



今回のシュプリは、そう呟いたウィリアムと、ヒルドが特に気に入ったようだ。

ノアが持ってくるものなので毎回趣味の近いアルテアがという訳ではなく、やはりそれぞれに嗜好がある。

ネアもこのシュプリはすっかり気に入ってしまい、今も普通に買えるものだと聞いてぴょむっと弾んだ。

勿論、さっとこちらを向いたアルテアに見られる前に、着地までを済ませておくのがいいだろう。



「……………ふぁぐ。……………むふぅ。牡蠣はいつでも美味しいでふ」



乾杯の一口を飲み終えると、ネアは早速牡蠣を取りに向かい、王都の第一王子との関係が安定したことでリーエンベルクでも入手し易くなった美味しい生牡蠣を堪能する。


それまでにも仕入れのルートはあったのだが、大晦日のご馳走で牡蠣が出されると知ったヴェンツェルが差し入れをしてくれるようになると、各段に質のいい牡蠣になった。

ウィームからはチーズやバターなどの乳製品が贈られており、それぞれに特異なものを交換するという形になっているそうだ。



「………美味しい」

「ディノが食べているのは、星鱒のお料理ですね」

「うん。…………これは何だろう」

「お料理の説明を読んでみますね!……ふむふむ。オリーブとリーエンベルクで採れた香草に、松の実を使ったソースのようですね。……私もいただいてみます。……………むぐ?!」



使われているオリーブ油が新鮮なのだろう。

香草の香りと細かく刻んだオリーブや松の実のソースには、微かなほろ苦さがある。

それが素敵なアクセントとなって、脂ののった星鱒がさっぱりと美味しくいただけるのだ。


皮目の部分がぱりぱりだなと思えば、どうやらチーズの粉を振るって揚げ焼きにしてあるらしい。

予想外の美味しい出馬に、ネアは、慌ててお代わりの算段をしなければいけなかった。



(大晦日も、ご馳走がたくさん………!)



たっぷりのローストビーフは、みんなが食べる美味しいご馳走だ。

牡蠣から始めたネアが今年は出遅れてしまったのが、丸鶏に詰め物をした美味しい香草焼きである。

林檎や栗を添えた温かなサラダには、大好評の自家製ベーコンとソテーにしたキノコがたっぷりとかけられている。


ディノの大好きな卵揚げもあり、スープは牛コンソメと、アレクシスの作ってくれた林檎とセロリのスープだった。


リーエンベルクのレシピにもある林檎とセロリのスープは、爽やかさを前面に出して冷たいスープにしているリーエンベルク流に対し、アレクシスは、コンソメであつあつとろとろに煮込んだ林檎や野菜をポタージュ状のスープにしていただく冬の味わいに仕上げてある。


林檎は前面に出るというよりはチャツネ的な役割になるようで、じんわりと体に沁み込むよう。



「…………このスープさ、効能に、どこかに迷い込んでもすぐに家に帰れるって書いてあるんだけど」

「うむ。アレクシスさんが、そう教えてくれました」

「……おい。こいつをどこかに繋いでおけ」

「おのれ。なぜそんな話になったのでしょう………」

「それ以前として、…………その効能がスープに付与出来るんだな」

「…………あいつから、材料については何か聞いているか?」

「祝祭の足跡を追いかけて収穫した、美味しい林檎が使われているそうです!」



ネアがそう明かすと、あの時にその場にいたディノ以外の魔物達が酷く遠い目をする。

ゼノーシュまで目を丸くしてしまったので、やはりとんでもない林檎なのだろう。



「え。……………これまさか、イブメリアの領域の林檎じゃない?」

「障りもなく、あの庭から持ってきたのか…………」

「グラスト、このスープ沢山飲んでおいてね!凄いスープみたい!」

「わ、分かった。皆に行き渡ってからな」

「エーダリア様、あなたも飲んでおいて下さい」

「あ、ああ………」

「うん。絶対に飲んでおいた方がいいと思うよ。……………ええと、今日持たされたってことは、怪物が現れる前がいいかな」



ネアは既に飲んでいたので、エーダリアとグラストが対象になりそれぞれに大急ぎでスープを飲まされている様子を微笑んで見守る。


当然、魔物達やヒルドも飲んでおくべきだろうとなり、大晦日のお祝い会場には全員でアレクシスのスープを飲む時間が生まれた。



「……………わーお。何だろうこの魔術効果」

「……………何なのだろうね」

「シルハーンが掴めないと、絶望的だな。…………イブメリアの庭のものが入っているのは間違いないだろうが」

「味もいいですね。林檎とセロリのスープは、この方向でもいいのか…………」

「いいですか。最後まで残さずに、きちんと召し上がって下さい」

「ヒルド……………」

「グラスト、全部飲んだ?」

「ああ。とても美味しいスープだった。ゼノーシュも飲んだか?」

「うん。……………これ、凄く美味しいの。材料がそんなに凄いものじゃなければ、またお店に飲みに行ったのに……………」



スープを飲んでわいわいしていると、不意にヒルドが眉を寄せた。

気付いたネアが何だろうと慄いていると、こちらを見てふわりと微笑む。



「まだ、怪物ではありませんよ。……………ただ、来客があったようです」

「騎士棟の方だな。俺が行ってこよう。どちらにせよ、そろそろ時間だ。……………もう一度こちらに戻るから、ゼノーシュは食べていてくれ」

「ううん。僕も一緒に行く!」



騎士棟からヒルドに連絡が入ったというお客は、晩餐代わりに訪れていたグラスト達が迎えに行ってくれることになり、ネアは、という事は、ゼノーシュはもうすぐに仕事に戻ってしまうのだなと少しの寂しさを噛み締めた。


今夜は漂流物の年の最後の境界の揺らぎとなるので、グラストとゼノーシュの年内最後の仕事は、騎士棟に留まることになる。


見回りなどに出るということではなく、敷地のそちら側の安定を図る為に、因果の成就の祝福を持つグラストと公爵位のゼノーシュの存在が必要なのだ。



「なぜアレクシスがこのスープをお前に持たせたのかは分からないが、必要なものになるのかもしれないのだな」

「ふむ。その場合、私は、たっぷり二杯は飲んだのですぐにお家に帰れてしまいそうですね」

「ああ。………ここにいる全員が飲んでいる。それだけでも安心出来るのがアレクシスの凄いところだが、お前が彼に気に入られていて良かった」

「そして、お客様はどなたなのでしょう?何か、困ったものだったりはしないでしょうか?」

「あ、大丈夫。ヨシュアだからね!」

「なぬ。ヨシュアさん……………」



ネアは、となると看病していたイーザがあまり思わしくないのだろうかと不安になったが、涙目でもそもそと大晦日のお祝い会場に入ってきた雲の魔物によると、その心配はなさそうだ。



「ふぇ。イーザは元気になるとすぐに、増刊号の発刊の為にいなくなったんだよ」

「………となると、イーザさんのご趣味は、印刷出版関係なのでしょうか」

「ご主人様……………」

「僕を置いていったんだよ。…………だから僕は、ここに来てあげることにしたんだ。僕が来たことに感謝するといいよ」

「ありゃ。別に来なくて良かったんだけど……」

「ふぇ。……………ネア、もっと僕を大事にするべきだって、ノアベルトに言うといいよ」

「はいはい。何か飲みますか?」



何だかお留守番にされた子供のような目をしているヨシュアに、ネアは小さく微笑むと、グラスを取ってきてやった。

とは言え、その先は魔術の繋ぎが出るといけないということで、ヒルドが代わってシュプリを注いでくれる。


少しの間めそめそしていたヨシュアはシュプリを飲んでゼリー寄せやパテなどを食べると心が落ち着いてきたようだ。

奥のテーブルに、以前も突進していた生牡蠣を発見する。


「牡蠣だ…………」

「いいですか、ヨシュアさん。適切な分量を守って下さいね」

「僕は、何を食べてもいいんだよ?」

「まぁ。お帰りになります?」

「……………ふぇ。いる」



丁度、ヨシュアを案内してきたグラストとゼノーシュが、騎士棟に戻る前にと最後の食事をしていたので、ネアは腰に手を当てて夜の雲の魔物を威嚇しておいた。


怯えたヨシュアはすぐにヒルドの後ろに隠れてしまい、ノアが慌てて引っ張り出している。

会場がとても賑やかになったところで、そろそろ戻らなければと、グラストとゼノーシュが部屋を出た。




「さて。……………そろそろでしょうか」

「ネア?………何か、起こりそうなのかい?」

「私の経験上、滅多に事故に巻き込まれないゼノとグラストさんが退場すると、事故や事件が起きる事が多いように感じられます。もし何かが起こるのであれば、怪物さんが出てこない内に、しゅばっと済ませたいですね」

「ほお。言っておくが、怪物の住み家に迷い込むのかもしれないぞ?」

「……………ディノ、手を繋いでおきませんか?」

「ネアが大胆過ぎる……………」

「ネア。アルテアは叱っておくからな」



とは言え、食事を始めてから暫く経つので、大晦日の怪物が現れるのも時間の問題ではあった。



ネアは、鶏肉の旨味をたっぷり吸った詰め物のお米や野菜をいただきつつ、ケーキのように綺麗にカットされたフォアグフ料理の二個目を行くかどうか悩んでいた。 

ディノの体にぴったりと背中を寄せているので、これで何かが起きても大丈夫である。



「ディノは、私がこうしていて食べ難くありません?」

「………ネアが凄く可愛い」

「大丈夫そうですね。では、今夜はこんな風にくっついていますね!」

「ありゃ。シル、生きていられそう…………?」

「虐待する……………」



伴侶な魔物は少し傾いていたが、ネアはそのくらいであれば初期仕様でいいかなとお祝い料理に専念した。


何しろ大晦日は、どこからともなく怪物達が現れる夜である。

魔術的な眠りや酩酊では回避出来ないその存在を大の苦手としているネアは、怪物が現れ始めたら遮蔽カーテンの内側に避難しなければいけないのだ。


(だから。…………それ迄にたっぷり食べておかないと!)



アレクシスのスープの一件があったので、魔物達はいつもより酒量を控えているような気がする。

それでも、シュプリの瓶はとうに空になり、今は夜の静寂と砂糖の花のシュプリに、星葡萄と雪明かりの蒸留酒が開けられていた。



ゴーンと、どこかで鐘の音が聞こえたのはその時だ。

ネアはふと、その音をエシュカルを飲みに出た街でも聞いたような気がして目を瞠った。




「ディノ、今の鐘の音は…………」


伴侶な魔物を振り返ろうとして、鋭く息を呑む。

そこにはもう誰もおらず、ネアは、いつの間にか見た事もないような美しい雪明りの大広間に立っていた。



ぞっとして血の気が引きかけたところで、誰かに腕を掴まれる。


「…………っ?!」

「私だ。……………どうやら、私達だけどこかに迷い込んだようだ」

「エーダリア様!」



そこにいたのは、先程までの寛いだ柔らかな眼差しをしまい込み、大国の筆頭魔術師らしい目をしたエーダリアである。

大晦日は家族のお祝いなのだが、領主ということもおり、急ぎの来客などに対応出来るように室内着よりはやや華やかな水色の天鵞絨の盛装姿だ。


どこかに迷い込むのであれば是非に安全な場所にいて欲しかった家族だが、こうして一緒にいてくれるのはとても心強い。



「ここは、どこでしょう…………?」



ネア達が立っているのは、賑やかな大広間だ。

盛装姿の人間達が多いが、竜や妖精達もいる。

誰もがどこか見た事のあるような姿なのだが、見知らぬ者達ばかりで、ネアは、不思議な夢の中にいるような感覚でむずむずしてしまう。



「……………リーエンベルクのように思える。この広間は知らないし、今の時代でもないのだろう。だが、この魔術基盤の気配は間違いない。……………奥に見える壁の装飾は、カーテンで隠れているが恐らく古い時代のウィーム王家の紋章だ」

「……………まぁ。という事は、ここは過去の…………リーエンベルクなのですね」

「影絵のようなものだろうか。……………だが、何かが少し…………」



エーダリアがそう言いかけた時、ふっと影が落ちた。



「おや。迷い子かな」


(…………!!)


あまり不自然にならないようにエーダリアとこそこそと話していたところで、突然、後ろから声をかけられたので、ネアは持っていたグラスを取り落としそうになってしまう。


なんとかグラスを持ち直してシュプリがこぼれないように飲み干してしまってからそうっと振り返ると、そこに立っていたのは黒髪の巻き毛に灰色の瞳の美しい男性だった。



(……………あ)



僅かに目尻の下がった人懐っこい微笑みを見て、ネアはなぜか、避暑地のお城で出会った人の事を思い出してしまった。


美しい深青の盛装姿は、どこか魔術師風である。

ネアはふと、ここも大晦日のお祝いの席なような気がした。



「……………何か、誤解をされていますでしょうか」


堅い声でそう返したのはエーダリアだ。

口調から、声をかけてきた男性が高位貴族であると知り、ネアは更にひやりとする。



ここがウィームで、この人物が高位貴族であるのなら、こちらでは太刀打ち出来ないような相手だという可能性も高い。

何しろ、その血を辿れば、アレクシスやネイア、ジッタやアレクセイなどのルーツとなると考えるだけで油断がならないではないか。



「いや。誤解はしていないよ。ただ、君達に危害を加えるつもりもない」


そこで言葉を一度切り、男性はネアの方を見てにっこりと微笑む。

これまさかお子様向けの微笑みではないだろうかと思ったネアは、悲しみのあまりぶるぶるした。



「……何か、土地の祝福や守護が、君達をこちらに招き入れたようだね。…………足元にどこかに繋がる魔術の糸が見えるから、すぐに帰れるだろう。…………僕達の一族にはね、時折そういう子供が生まれるんだ。という事は、君達は遠い親族なのかもしれないけれど」

「……………遠い親族」

「うん。何というか、………近い感じがするんだ」



にっこりと微笑んだ男性の言葉に、エーダリアの瞳が揺れるのも無理はないだろう。


ここが本当にリーエンベルクであれば、その言葉の通りなのかもしれないのだ。

ウィームに繋がる親族を全て喪ったエーダリアにとって、祖先にあたる人物なのだとしたら。


(……………でも、なぜ私までこんなに懐かしく感じるのかしら)



ネアは、エーダリアの手をぎゅっと握り返しながら、そんなことを思っていた。


あの避暑地のお城で出会った人物程ではないが、目の前の男性にもどこか、大好きだった父によく似た気配があるのだ。


(もしかすると、よく聞く郷愁の魔術だとか、そのようなものなのかしら………)



「さて、そんな君たちだけれど、少しだけ僕と一緒に居るといいだろう。なに、すぐに帰れるさ。こうしている内にもそうなるかもしれない。……………ただ、今夜は大勢のお客が集まっていて、少し扱いの難しい客人もいる」

「………確かに、高位の人外者が多いようだ」

「うん。そういう者達に目を付けられると……………ああ、言ってる側から気付かれたか!……………いいかい?この場でだけ、君達は僕の客人だ。そういうことで宜しく頼むよ」

「………っ、……………あ、ああ」



ちょっぴり早口で言われ、エーダリアが気圧されるように頷く。


ネアは、男性が視線を向け、警戒するように立ち位置を変えてくれた向こう側に誰がいるのかを確かめようとして、ぞくりとするような冷気を背後に感じた。



(……………これは)



反対側に居た黒髪の男性が、回り込まれたかと小さく呻く。

そしてすぐに、ネアの前に出てくれようとした。

だが、誰かがすっと手を伸ばしその動きを静止する。



それはもう、人間など容易く支配する高位のもののように。



「……………ほお。迷い子か。この王宮内に迷い込むということは、お前達の縁者だろうな」

「……この二人は僕の客人でして。ご不興を買わないようにしますので、ご容赦を」



低くて甘い声は、ずしりと重く鋭い。


けれどもネアは思わず眉を寄せてしまったし、背後に現れた何者かを見ているエーダリアも途方に暮れたような目をしている。


感じ取れる野生の魔物の暗さと悍ましさよりも、それが、つい先程まで側に居た魔物であることの混乱の方が勝ってしまうのだ。



「俺に、お前の顔を立ててやる必要があるとは思えないが?」

「であれば、兄の顔を立てて下さい。あなたにとっては、益のある商売相手でしょう」

「一国の王を王弟がそう言いきるのも興味深いが、とは言え、こちらの方が目を引く獲物ではあるな」

「………ああ、やっぱりか。参ったな」



頭を抱えてしまった男性の代わりに、ネアはふうっと息を吐いた。

この魔物の対処であれば、恐らくこちらの方が有利だろう。


「…………このまま、ここから立ち去られた方がいいでしょう。私に何かがあると、とある素敵な家具工房に大きな損害が出るかもしれません」

「……………何だと?」


ネアがそれを盾にしたのは、もはや賭けだった。

この時代のアルテアは、まだ家具に興味がなかったかもしれないのだ。


だが、その接触を阻むのではなく、時間を稼ぐことこそが重要だと考えた。


元いた場所に戻れるまで。

きっと、すぐに家に帰れる筈だから。



「或いは、ハイフク海老の生息域が悲惨なことになるかもしれません。お気に入りのメゾンが滅ぶという事もあり得るので、また今度お会いしましょう」

「……………お前は、妙な守護を持っているな」



どこか慎重な問いかけに、ネアはぎくりとした。


物語ではよく、こうして過去の邂逅が挟まれる事で、未来が変わってしまうのだ。

本来であれば起ってもいないことを盾に高位の魔物の手から逃れられるのであれば僥倖だが、大事な未来を変える訳にはいかないネアにとって、それはとても恐ろしい事だった。



(もし……………)



この場での邂逅が何かの意味を持ち、アルテアとの関係が変わってしまったなら。

戻った先に、ネアの使い魔がいないということも、在り得るのではないだろうか。


ただの影絵であれば問題ないとしても、ネアは、ノアとの出会いや書の魔物との邂逅で、実際に重なる過去も知っている。



「……………それに、その白は何だ」

「白………?」



どうしたものかと途方に暮れたいた時に、思いがけない問いかけがあり、ネアは目を瞠った。



(…………白?)



思わず見つめた先のエーダリアの瞳に、白い髪の女性が映っている。

そこまでは見えずとも、今の自分の瞳は深い青色に見えている気がした。





「……………おい!」

「むぐ?!」



その直後、ネアは背後から誰かに抱え上げられる。

エーダリアと繋いでいた手が離れて息が止まりそうになったが、そのエーダリアを素早く抱え上げたノアが見えて、呆然と目を丸くした。



「…………まぁ。ここは」

「シルハーン、戻されたぞ!」

「うん。…………こちらも安定したようだ。ウィリアム、大丈夫かい?」

「……………ええ。まさかの亀裂でしたが、……………この部屋で良かったんでしょう」

「ふ、ふぇ。僕はもう帰りたいんだよ…………」

「アルテア、僕の妹から手を離さないようにね。……………エーダリア、ちょっと作業をしながらだけど、まだ完全に落ち着いてないから、僕とヒルドから離れないようにね」

「な、何が起こったのだ…………?!今、私とネアは、見知らぬ時代のリーエンベルクだと思われるところにいて………」

「あ、やっぱりそういう感じかぁ。境界の大きな揺らぎが出た瞬間、エーダリアとネアを呑み込んだのは、リーエンベルクに思えたんだよね」



そんな会話が聞こえてくる中、ネアは、恐らくはアルテアだと思う誰かに後ろからしっかりと抱え込まれていた。


顔が見えないので少しじたばたすると、ふうっと溜め息が落ちて抱え直される。

手に持っていた空のままのグラスが取り上げられ、近くにあったテープに置かれた。


(あ………)


こちらを見た赤紫色の瞳に僅かな動揺の余韻を見て、つまりは、いきなり何かが起きて自分達は姿を消していたのだなと得心する。



「…………恐らく、リーエンベルクの影絵か過去にでも引き摺り込まれ、あわいの波間を逃れたんだろう。避難場所や遮蔽地扱いだろうが、そちらでは何か問題は起きていないな?」

「…………ふぁ。ふぁい。……………大広間に沢山の方々がいて、アルテアさんもいました」

「……………俺が?」



ぎくりとしたように動きを止め、アルテアが静かに見つめてくる。

何かを恐れているような、そんな眼差しだった。

ネアは振り返らなかったが、きっと先程の大広間にいたアルテアは、こんな顔はしなかっただろう。



「ですが、顔を合わせる前に、こちらの使い魔さんが持ち上げてくれたのです」

「……………ったく。ひやひやさせやがって」

「こちらでも、何かが起こってしまったのですか?」

「境界の揺らぎで、あわいの波が大きく立った。俺達は魔術そのものを成り立ちとしているが、人間があの場にいれば容易く呑み込まれかねないものだ。幸いにも、局地的なひび割れのようだな」

「まぁ………」



まさかそんな事があったなんてと、ディノの方に体を捻ったネアは、アルテアが制止しようと伸ばした手も間に合わずに振り返ってしまった。


そして、何某かのひび割れを修復し終え、ふうっと息を吐いているウィリアムと、こちらを見て目を瞠ったディノの足元に集まっているものを見てしまう。



「ぎゃふ?!む、むし!!!!」



繊細な乙女は、まさかの既に姿を現していたらしい大晦日の怪物の、それも特別に苦手な形状のものをしっかりシャンデリアの灯りで見てしまい、ぱたりと息絶えた。


ネアを確保したアルテアがすぐにディノに受け渡さなかったのは、その間に、大きな怪物が現れていたからだったのだ。




「ぎゅ。ぐるるる!!」

「可哀想に。ごめん、怪物がいるのだと言っておくべきだったね」

「……………ふぇぐ。む、むしなどみていません!!長い虫はぽいです!!………ぎゃふ!!髪の毛!!」



もう見てしまったなら仕方ないと、ディノの腕に戻されたネアだったが、魔物達が境界の揺らぎを調べていたりするので未だに遮蔽カーテンは登場せず、怪物があちこちから姿を現している部屋で無防備に持ち上げられているだけだ。


またしても、今度はヨシュアの近くに現れた髪の毛の塊のような怪物を見てしまい、ネアは慌ててディノの肩口にぎゅっと顔を埋めた。



「くすん」

「……………もう。境界の揺らぎは収まったから、大丈夫だよ。漂流物の年ということもあって、最初に開く際に大きな反動が出たのだろう」

「……………えぐ。そちらはエーダリア様と見知らぬ場所に迷い込むだけの、比較的よくある展開でしたが、か、怪物は無理でふ!」

「うん。顔を伏せておいで。そろそろ、最後の怪物が現れる頃だろう」

「……………もう、そんな時間なのですか?」



さすがにそれには驚いてしまい、ネアは呆然と顔を上げた。


するとディノは、エーダリアとネアが消えていた時間は、半刻程だったのだと教えてくれる。



「君達の消え方を見た直後に境界が揺らいだので、心配はないだろうと思っていたんだ。……………でも、すぐに戻ってきてくれて良かった」

「………なんとなくですが、アレクシスさんのスープのお陰かもしれません」

「うん。それに、君達が戻るには、こちらの境界の平定が終わらなければいけなかったのだろう。結果として、今回のひび割れそのものが早く収まるような因果に繋がったのかもしれないね」

「まぁ。…………年明けにでも、アレクシスさんにお礼を言いに行きますね」

「そうだね。……………そろそろかな」



ディノの言葉に、ネアは、目を瞬いた。

そして思わず、愚かな人間は背後を見てしまったのだ。




「ほわ………」



その場に何があったのかと言えば、とてつもなく不穏な影だけが見えたと言っておこう。


ネアは咄嗟に、怪物に怯えてこちらに体を寄せていたヨシュアをむんずと掴み、その何かと自分との間にぎゅんと引き摺り込んでしまったのだ。

何しろヨシュアはぷかぷかと浮いているので、抵抗する間もなく引っ張ればか弱い乙女の腕力でも動かせてしまう。



「………ほぇ?」



直後、ぎゃーっと悲鳴が上がり、ごろごろぴしゃんと雷の音のような者が響いた。



何かがぼさりと床に落ちる音がして、再びディノの肩口に顔を埋めていたネアは、怖々と頭を持ち上げる。




「…………ありゃ。ヨシュアが床に落ちているんだけど」

「間に合わないかと思いましたが、良い遮蔽物があって良かったですね」

「ヒルド………」

「何だ、お前も見たのかよ」

「……………っ。今年のものは、…………かなり刺激が強いですね。………ヨシュアはあれを間近で見たのか」

「ふぁ。もう終わりました?」

「うん。もう日付が変わったようだ。………良かった。君は、見ずに済んだのだね?」

「何かをぐいっと引っ張ったような気がしますが、気のせいだったのかもしれません?」

「ヨシュアかな……………」

「……………ふぇぇぇ!!!」

「む。息を吹き返してぎゃん泣き出来ているようです。ヨシュアさんも元気に年を越せて良かったですね」

「ご主人様…………」




その後、ヨシュアは一向に泣き止まずにエーダリアがあれこれと世話を焼いていた。

ネアが無理をさせてすまないと言っているエーダリアを見ると少し落ち着かない気持ちになったが、とは言えあちらは丈夫な魔物であるので、儚い人間が盾にしてしまうのも当然だろう。


ネアは泣いているヨシュアに、生牡蠣を三個程渡しておき、ささっと罪を清算した。



なお、契約の人間が雲の魔物の面倒を見ているので荒ぶった塩の魔物が沢山飲んでしまったり、最後の怪物の一部を見てしまった終焉の魔物がお酒を沢山飲んでちょっと面倒なことが起きたり、哀れな乙女が、気を取り直して楽しみ始めたご馳走の合間に薬湯を飲まされたりする悲劇もあった。


初めての薬湯体験をしたエーダリアは涙目で蹲ってしまい、たくさん慰めて貰ったヨシュアが雲の椅子に座らせてあげるという心温まる場面もあったのだが、沼味を払拭する為にローストビーフを頬張りに行ったネアは、それどころではなくあまり観察出来なかったのが残念だ。




真夜中過ぎに、はらはらと雪が降り始めた。



(……………あの時、私とエーダリア様がいたのは、どこだったのだろう?)



アルテアに確認したものの、あの大広間で出会った黒髪の男性に該当するようなウィーム王族や、それ以外でも、アルテアが思い当たるような知り合いはいなかった。


どこかのあいわいや影絵、今はもう繋がっていない橋の向こう側などの、こちらとは重ならないここではないどこかという場所だったのかもしれないねとディノが言うので、そういうものなのかなと頷くばかり。



ここではないどこか。

そこには誰がいて、どんな場所なのだろう。



(そこでの私は、ここにいる私ではなかったのかもしれない。……………エーダリア様には、いつもの私に見えていたというから、それも不思議なのだけれど………)



あの時、エーダリアの瞳に映っていた自分は、どのようなものなのだろう。


ネアはふと、その地に根差す要素のない人間が、あの場所では漂流物のように姿を変えたのかもしれないと思ったが、あまり意識をそちらに傾けないようにした。



もし、ネアハーレイが呼び落される場所が違っていたら、或いは、練り直しの仕方が変わっていたなら、あの姿のネアがどこかにいたのかもしれない。


そんなことを少しだけ考え、ぽいっと捨てておく。

今のネアがここにるのが全てなので、それはもう潰えた分岐なのだろう。




「…………むぐ!」

「おい。それは何個目だ?」

「むむ。棘牛のタルタルのボウルは、沢山あったのですよ?」

「ネア。こちらも食べるかい?」

「そ、それは、食べていたフォアグフのケーキの味違いです?!」

「ありゃ。エーダリア、どうしたのさ?」



ノアが声をかけたエーダリアは、手帳を開いて何かを描いていたようだ。

ちょっぴり呆れ顔のヒルドが隣にいるが、それでも離れていた時にとても心配したのか、エーダリアの背中にしっかりと手を添えている。



「このような紋章だったのだ」

「わーお。見たものを描いてくれたんだ。………って、やっぱりウィームにこの紋章の時代ってなかったよね?」

「そ、そうなのだな。…………あの者ともう少し話をしておきたかった。確か、サで始まり、途中が聞こえなかったが結びがノアというような名前で呼ばれていたような気がしたが」

「となると、完全に別層だな。その名前の王族は、対価や障りとして存在そのものを消されてでもいない限りはいなかった筈だ」



そんな会話を聞きながら、ネアは三つ編みを持たせてくる魔物を連れて涙目で牡蠣を食べているヨシュアに近付くと、フォアグフのケーキ仕立ても取ってあげる。



「ふぇ」

「もう、新しい年ですよ。お祝いのシュプリでも開けて、美味しくいただきます?」

「…………僕をもてなすといいよ」

「ヨシュア、大丈夫かい?」

「僕は、あんなものに会う為に来たんじゃないんだ。大事にしないといけないんだよ」

「では、魔術の木と流星雨の涙というシュプリを出しますね!」

「ほぇ。凄いのだ………」

「おい。どこから持ってきたんだ?!」

「わーお。失われた筈のシュプリなんだけど?!」

「む?ウィリアムさんから貰いました」

「ああ。前に城で見付けたんですよ」

「…………おい。お前は酔い覚ましは飲んだんだろうな?」

「さすがにもう落ち着きましたよ。新年ですしね」

「僕のグラスには、沢山注ぐといいんだよ」

「ヨシュア?」

「ふぇぇ!」




(まだまだ、賑やかな夜になりそうだわ)



窓から雪の降るウィームの夜を眺めて微笑むと、ネアは、床石の間から出てきたけばけばの羽先を力一杯踏みつけて滅ぼしておいた。












本年の更新はここまでとなります。

2021年は、沢山の応援をいただき、その応援を頼りに多くの挑戦をさせていただきました。

心より御礼申し上げます。


2022年も、本年に灯した火を大切に育てながら頑張ってゆきますね。

来年も引き続きどうぞ宜しくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[一言] こちらこそ、2021年も熱心に書いて下さり有難うございます。 こうしてネア達と共に年末年始を迎えられたことを嬉しく思います。 この物語に夢中になってからというもの、日々の更新や雪の景色がとて…
[良い点] 溺れる様な量の更新をありがとうございました。 今年も最後まで楽しく美味しそうでした。 星鱒…。そして、夜の静寂と砂糖の花のシュプリ…。 いつながらお酒の名前がうっとりする美しさで、いつか飲…
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