春の気配と毛布の隠れ家
いよいよ明日は春告げの舞踏会になる。
ネアは、ダナエと分け合っているカードを開き、明日についての話を読み返して微笑みを深めた。
久し振りに会うダナエは、ネアの大好きな美しい春闇の竜だ。
他にも大好きな竜は沢山いるが、こっそり一番美しい竜だと思っているので、エーダリアと隠れて一押し竜討論をすると、二人の意見は平行線である。
昨年の蝕の時にはお世話になったのだが、その時に見た夢の効果もあってか、ネアはダナエのことが大好きだった。
(よく見ていたあの怖い夢を、ダナエさんがくしゃっとやってくれてから見なくなった…………)
或いはそれは、ディノの伴侶になってから守護が安定したからなのかもしれないが、ガーウィンでレイノとして過ごしている時間の中でも、思えばレイノは、あの黒い車や劇場の幻影を見ていない。
もうあれはダナエが倒してくれたのだと思えば、ネアはいい気分でむふんと微笑みを深めた。
時計の方を見れば、まだ一眠り出来そうなご機嫌の時間ではないか。
薄く夜明けの光が差し込み、部屋の中には青い影が落ちている。
「…………ディノ、今日はお休みを貰っているので、ぬくぬくのんびりしましょうね」
「おはよう、ネア」
そう呟いて隣で眠っているディノの髪を撫でてやったところ、こちらの魔物はどうやら起きていたようだ。
ふっと真珠色の睫毛を揺らして目を開いた美しい魔物がとても幸せそうに目元を染めたので、ネアはふにゃりと微笑みかける。
この寂しがりやな魔物をガーウィンから戻ってからまだじっくり甘やかせていなかったので、今日は明日の春告げに備えて大事にする日として制定したのだ。
そんな魔物が幸せそうにしてくれていれば、ネアの心もふかふかふんわりしてしまう。
「今朝の朝食は、少しゆっくりめの予定ですが、お腹は空いていませんか?その場合は、朝食を食べた後でごろごろするコースもありますので、言って下さいね」
「………………うん」
伸ばされた手にそっと頬を撫でられ、ネアはその肌に染み込む甘やかな温もりに、心をまたほわほわにする。
けれどもそれは、幸せな気分で、カーテンを少し開けてあった窓の外を見るまでのことだった。
「ふぁ。朝寝坊程に良い文化があるでしょうか。幸せな…………ぎゃ?!」
「ネア?!………………っ、」
突然悲鳴を上げたネアに、慌てたディノが、体を起こして視線を辿ってくれる。
しかし、その先に見てしまったものに、万象を司る魔物もあえなくくしゃくしゃになった。
二人はすっかり怯えてしまい、まだ寒い朝の為にかけている毛布の中に避難して、ぶわりと広げてテントのようにした。
「…………エーダリア様は今日はお昼までお休みなので、ちょうど寝たくらいの時間ですし、ヒルドさんは起きるべき時間の三十分くらい前という一番誰からも起こされたくない時間です。ゼノとグラストさんは昨晩からの泊りがけのお仕事ですし、…………ノアはヒルドさんのお部屋で風邪っぴきお休み中なので……………ぐぬぬ」
「騎士達に連絡してみるかい?」
「は!そうしましょう。………確か、今日はゼベルさんがお昼までの当番だった筈です!」
魔術通信を使って、真夜中からお昼までの警備を担当している騎士達に連絡をすることにしたネア達は、作戦を確認の上頷き合った。
グラストが不在にしており、エーダリアがお休みの日は、騎士の第一席であるゼベルが責任者になっていることが多いのだ。
エーダリアに貰ったピンブローチには、騎士棟の連絡先も入っているのでこんな時に重宝する。
「おはようございます。ネア様?…………あれ、何かありましたか?」
「ジェ、ゼベルさん、おはようございまふ。ま、窓の外に顔のついた葉っぱの群れがいるのですが、リーエンベルクは人面葉っぱの襲撃を受けているのでしょうか………?」
「あ、………うわー、そちらにも眠り鳥が行きましたか。直前に見たものを夢の形で再現してしまうだけなので、一時間もすれば消えますよ。ただ、夢が具現化している間は触れられるので、外には出ないようにして下さいね」
「ねむりとり……………」
「春になると現れる生き物なんですが、昨年の蝕の影響で今年は春の入りが遅いですからね。春の入れ替わりよりも早く現れたみたいです。それがなければ、リーエンベルク一帯は入り込まないように結界を敷いているんですが……………」
ネアたちの部屋の窓の向こうに惨事をもたらしたのは、眠り鳥という小さな小鳥なのだそうだ。
丸い灰茶色の姿をしているらしく、もっさりとした動きで階位も低い。
ただし、この季節だけはこうして周囲に影響を及ぼすことがあり、直前に見たものを夢の形でまき散らすという。
春の風物詩的な生き物なのだが、蜜を楽しんだばかりの美しいスリジエの花や、チューリップ畑などだけではなく、こやつは何者だろうと凝視してしまったらしい謎生物や、美味しそうだと思って見つめていた屋台の食べ物が溢れ返ることもある。
素晴らしい春の光景を広げる場合は喜ばれるのだが、残念ながらネア達が見たのは、葉っぱにやけに生々しく尚且つ暗い目をした顔がついている非常に喜ばしくない生き物の姿だった。
眠り鳥自体は問題ないのだが、その人面葉っぱとでも言うべき生き物は新芽の祟りものであるそうで、騎士達は今、眠り鳥がその葉をどこで見たのかを調べる為に奔走しているらしい。
万が一リーエンベルクの敷地内のことであれば、気付かない内に生まれた祟りものの早期発見に繋がるからだ。
「ちなみに窓の向こうの葉っぱさんは、新芽の祟りものなのだそうです。せっかく芽吹いた新芽を他の生き物に食べられてしまい、その恨みを胸に育った兄弟新芽が祟りものになるようですよ…………」
「新芽の祟りものなのだね………」
「ディノも知らない生き物だったのですね…………」
「うん……………。まだ、暫くは窓の外にいるのだろう?」
「…………ふぁい。それもびっしりです…………」
「ご主人様……………」
どうして今日ばかりは、カーテンを少し開けて眠っていたのだろうとネアは昨晩の行いを酷く後悔した。
明日は春告げの舞踏会であるし、昨日の朝にかけて久し振りに降った雪が最後の雪になるかもしれないので、その最後の夜明けの景色を楽しむつもりで開けておいたのだが裏目に出る事態となってしまった。
まさか、朝が明けると得体の知れない人面葉っぱが押し寄せてきているとは思う訳もなく、ネア達は幸せな筈の朝を震えて過ごす羽目になっている。
(カーテンを閉めればいいのだけれど、あの窓辺に近付きたくない…………)
ざわざわかさかさする窓の向こうの物音を聞いて、どうしてそれがただの幻影だと思えるだろう。
おまけに窓の隙間からその人面葉っぱがみっしり覗いている感じなので、効果としても恐怖が倍増されてしまっていた。
間近で見たら、きっと夢に出てきて魘される。
ネアにだって、それくらいのことは分かるのだ。
「ディノ、ここは楽しいことを考えましょう。朝食はパンケーキを焼きますので、そこにソーセージとベーコンを添えておかずパンケーキにしましょうね。そして残ったパンケーキにはシロップをかけてデザートパンケーキにも出来るのです。…………じゅるり」
「分けて食べるのかい?」
「いえ、各自のお皿での運用ですが、その代わりにディノのものは、ディノのパンケーキとして焼くので、お皿を持って待っていてくれますか?」
「君が作ったものを乗せてくれるのだね…………」
そう呟き、ディノは嬉しそうに目をきらきらさせた。
人外者に対して食べ物を作ってふるまうことは、しっかりとした愛情表現になる。
その場で作られたものをお皿の上に乗せて貰うのが、この魔物は大好きなのだ。
(ほかほかで愛情を貰ったような気持ちになるのかしら…………?)
「体当たりをしたりもするのかな…………」
「む。今日は私の魔物を大事にする日なので、三回までであれば開放します」
「ずるい、ネアが可愛い…………」
「相変わらず、ディノのずるいの用法は旅に出たままですね…………」
ふっと、柔らかな口付けが額に落とされた。
家族としての愛情を司る祝福を授けるのも最近のディノのお気に入りで、そこには家族がいるのだという喜びと確認があるのだろう。
一度、ノアも家族なのでしてもいいのだと教えてやったが、ディノだけではなくノアまで固まってしまっていた。
「そういえば今年は、春告げの舞踏会用のドレスを見ていないのだったね」
「ええ。仮縫いのドレスは試着したのですが、本番用のものはまだ着ていないんです。でも、試着の時に今回はディノがいなかったので、その日に実際に着るドレスが届かなくて良かったのかもしれませんね」
「……………あの夜は、君をとても不安にさせただろう?」
「…………ええ」
それは、ガーウィンの潜入捜査中にみんなで報告会をし合う夜の中で、ディノが不在にしていた夜のことだ。
前日の夜に採寸を終えたシシィが仮縫いのドレスを持って来てくれたのだが、その夜、とうとうディノはやってこなかった。
「……………あのようなところですから、もし何かあったらどうしようと思って心配してしまいました。でも、ノアがすぐに上の様子を調べてくれて、ディノは無事だからと教えてくれたのでほっと出来たんです」
「せっかく君を直接触れさせないようにして隔絶させているのに、その状態を危険に晒すことになるからと、向こう側と繋げることが出来なかったんだ。部屋を出られない理由を誰かに連絡することも出来なかったことで、君にとても怖い思いをさせたね。………ごめん」
「…………私も不安でしたが、ディノはとてもやきもきしたでしょう?」
「……………うん。あの人間はずっと向かいに座っていたし、祭壇の魔物もどこにも行かなかった…………」
ガーウィンから帰って来て、ネアは、初めてディノとこの話をした。
向こうにいる間に事情は説明して貰ったので、あらためて話を伺うとまだ怒っているように思えてしまうだろうかと心配になり、もう少し時間を置いてからその時のことを聞いてみようと思っていたのだ。
でもディノは、ネアが全くこの話題に触れずにいたので心配してくれていたのかもしれない。
「アンセルムさんですら欺いていたのですから、祭壇の魔物さんでは、ディノの擬態には気付けなかったのでしょうね。ノアがくしゃっとやってしまったそうなのですが、…………実は少しだけ胸が痛んだのです。知らずに、大事な歌乞いの為に良かれと思って応援してしまったのであれば…」
「あの魔物については、ノアベルトには、もう少し踏み込んだところまでを話していたんだ。それで排除してくれたのだろう」
「……………何か、怖いことをされたのですか?私の大事な魔物に、その魔物めは何をしたのでしょう?」
心配になってそう尋ねると、ディノはこんな毛布のテントの中でも光を集める瞳を揺らして、口元をもぞもぞさせた。
「ネアが可愛い……………」
「ディノを虐めたのであれば、私が滅ぼすべきでした…………」
そう呟いたネアに、ディノはまた嬉しそうに微笑むと、少し説明が長くなるよと前置きしてから祭壇の魔物について教えてくれた。
「……………祭壇の魔物はね、自身の領域に下ろしたものを、望む形で自身の力にする魔術を持っているんだ。勿論、階位の上で不可能はあるけれど、そんな固有魔術を利用すれば、指定した場所を自分の領域として管理下に置くことが出来る。ただし、その魔術には祭壇の制限というものもあって、捕らえたものが自分にとって価値のある、逃がしたくないものでなければならない。例えば、攻撃や呪いを退ける為の支配は出来ないんだよ」
「…………と言うことは、あの夜のディノは、そこに捕らわれてしまう条件を備えていたのですね?」
シャーロットという歌乞いの少女は、ウィームで歌乞いとしての足場を固める為に、ウィームに属した教会関係者との婚姻を望んでいた。
ディノは自分を既婚者であると伝えていたのだが、残念なことに、魔物と違って人間は重婚出来るのだ。
ウィームにはその文化はあまりないのだが、それでも、例外的に守護や庇護を増やす為に得る伴侶は見逃される方向にある。
今回の場合は、シャーロットは歌乞いで契約の魔物がいるので、デュノル司教がその力を得られるという構図の下に、二人目の伴侶を得る条件が成り立ってしまう。
そこを狙われたのであろうという事は、あの夜の夢の中でエーダリアが説明してくれた。
「…………そうだね。だから祭壇の魔物は、私がそう望むようにと魔術を使った。…………ああ、そんな顔をしないでおくれ。あまり気持ちのいいものではないけれど、予め手は打っておいたから、効果はなかったよ」
ネアが思わず眉をへにゃりと下げてしまったのは、伴侶になってから漸く心を緩めていたディノにとって、今回の任務がどれだけの負担だったかのを知っているからだ。
それなのに、ただでさえ不得意な任務の中で無理やり心を捻じ曲げられるようなものに触れさせられたのなら、それはどれだけ悲しかっただろう。
「けれど、その方の行いは、ディノの心を傷付けたでしょう?嫌な気持ちになったのだとか、悲しかっただとか、そのようなものだって、ディノに悪さをする要素なんですよ…………」
「ネア……………」
「それを聞いて、ノアが怒ってくれたのですね?」
「うん。それに、だからこそあの魔物は残しておけなかったんだ。擬態の上ではあれ、私だったものを捕らえようと魔術を展開した証跡は残る。それを、誰か階位の高い者が手にしたら厄介な事になるからね」
「…………ちっぽけな私には、そんなことまでは、考えられていませんでした。…………ノアは必要な安全対策をしてくれただけなのに、ちっとも分かっていなかったのですね…………」
そう項垂れたネアにまたそっと口付け、ディノは唇の端を持ち上げて魔物らしい微笑みを浮かべた。
「例え理由が希薄だったとしても、だよ。どちらにせよ、君との間のものを遮ろうとしたのなら、残しておく必要はないからね」
「ぞわりとします…………」
「今回のことでノアベルトが対処してくれたのは、そこで展開されたものが、……あり得ないことではあるのだけれど……、絶対に私に直接紐づくような事がないようにあの魔物に再び会うことを避けた方がいいとなったからなんだ。それにノアベルトは、君を不安がらせた要因となった魔物にとても怒っていたしね。…………けれど、私がその術を持たなかったからこそ、君に悲しい思いをさせてしまったのだと思う。…………例えば、ノアベルトやアルテアならあんな事にはならなかっただろう……………」
最後の言葉は悲し気で、ネアはそんなどこか怯えるように目を伏せた魔物に、おやっと眉を持ち上げる。
「まぁ、……………もしかして、そう考えて落ち込んでしまっているのですか?」
「君に、悲しい思いをさせてしまったのは事実だよ。それに、仮縫いのドレスでも、君は私の見たことのないものを着たのだろう………?」
「ふふ。私は仮縫いのドレスも勿体ない派ですので、もし本番のものを別に作るのであれば、そのままのシンプルなドレスにしていただく予定なのです。そうしたら、仮縫いのドレスと本番のドレスの両方で踊って貰わなければいけませんね………」
相変わらず、窓の向こうではカサカサ音がしている。
ネアは、そちらがどんな風になっているのかは深く考えないようにして、大事な魔物にこつんと頭突きしてみた。
「君となら、何曲でも踊るよ」
「約束ですよ?」
「うん…………………」
「それから、ディノにはディノらしい担当分野があると思うので、ディノが悲しかったり苦しかったりさえしなければ、本来は苦手な事があってもいいと思うのです」
「人間は、伴侶の至らないところが増えると、伴侶を捨ててしまうのではないのかい?」
「さては、またどこかでそんな知識を仕入れてきてしまいましたね………。でも、………例えば、女性の扱いに長けていてあちこちに恋人さんがいるような男性よりは、私は今のままのディノが好きなので、今のままのディノの苦手なものは、そのままでもいいのかなと思ってしまうんです。…………ただ、その苦手さがディノの身の安全を損なわない程度には、いざという時の為の脱出方法を知っておいた方がいいのだろうとも思います。私の大事な伴侶が、そういう方々に悪さをされたら大変ですからね………」
長い睫毛を瞬いて、ディノは困ったように首を傾げる。
二人の距離がとても近いので、さらさらとほどいた髪がこぼれる音がした。
「私が、なのだね?」
「ええ。ディノが安全なように。でも、ディノの意思で他の女性とも深いお付き合いを望まれるようであれば、私はそういう方は苦手なのでぽいです」
「ご主人様………………」
びゃっとなった魔物にぎゅうぎゅう抱きしめられてしまい、崩れた毛布のテントから出てしまったネアは、またカーテンの隙間から見える人面葉っぱに出会ってしまい、震え上がった。
慌ててディノの腕の中に顔を突っ込んで視界を遮ったのだが、魔物はそれが嬉しかったらしく、ご主人様に潜られるという新しいご褒美を覚えてしまったようだ。
(もう随分と前になるけれど、ご褒美は十個までだと話したことは忘れてしまったのだろうか…………)
けれど、今更そんな風に制限を設けるのもどうかなと思うし、素直に白状すれば、他にも沢山のご褒美があったことを思い出されると都合が悪いので、ネアは敢えてその話題は封印することにした。
生まれては消えていった過去のご褒美の数々を思い出せば、定着しなくて良かったと胸を撫で下ろすようなものも幾つもある。
そしてその日の午後、ネアは伴侶における最大の条件を今更自覚してしまった。
「………………ぎゃふ」
「ネア、遠くにやったからもう怖くないよ。ほら、君の嫌いなものはいなくなっただろう?」
久し振りに二人でのんびりと散歩をした禁足地の森で、ネアの顔の前にたらりとぶら下がってきたのは、小さな緑色の蜘蛛だ。
小さく声を上げて、ディノに顔を押し当てて固まったネアに、頼もしい伴侶はすぐさまその生き物を離れた場所に移動させてくれたようだ。
「ディノは、これ以上望めない程に素晴らしい、世界一の伴侶でした。わ、私の大嫌いなあの…………く、………くもくもした奴めを、素早く排除してくれます!」
「ご主人様!」
その時のネアの脳裏には、蜘蛛型使い魔をなかなか排除してくれなかった出会ったばかりの頃のアルテアと、そもそもの脅威にあまり敏感ではないウィリアム、そして指輪の中の森では共に逃げるしかなかったエーダリアに、きっと一緒にムギーと涙目になるしかない気がする銀狐が思い浮かぶ。
なお、ヒルドは森と湖の妖精なので、悪さもしていない昆虫の駆除をお願いするのは立場的に申し訳ない気がしてしまう。
「私の伴侶になるのは、やはりディノしかいませんでしたね………」
「…………ネア」
「ディノは、どこにも行ってはいけませんよ。ずっと私の伴侶でいて下さいね」
とても熱烈に告白されてしまい、ディノはくしゃくしゃになって傾きながら、残りの散歩に付き合ってくれた。
ネアから求婚されたと少し泣いてまでいたので、ネアは、そんな伴侶の歓喜の涙が森に落ちてしまわないよう、気にかけてやらねばならなかった。
リーエンベルクに戻ると、遠い目をしたエーダリアから、お前は伴侶に何をしたのだと言われてしまったが、結果としてはディノが喜んでくれたので、とても良い休暇になったようだ。
しかし、とても嬉しい求婚だったので、証拠が残るように先程の言葉を紙に書いて欲しいというお願いは、とても怖いので是非にやめていただきたい。




