境界と眼差し
ウィーム中央に入り、禁足地の森を通り抜けようとしたフレッチャーが道を外れたという報告は、まだ十分に警告が間に合う段階で届いたように思う。
だからこそアルテアは、リーエンベルクに向かったのだし、残された証跡に触れ、本来ならウィームのような土地では問題にならないようなフレッチャーが、あまり良い状態にないことにも気付いた。
目的を持ち彷徨う障りは、国境域に差し掛かる頃には消えるだろう。
それは周知されている経験則であり、魔術の理の一つでもある。
なので勿論、あの人間が不用意に外に出ていたりしない限りは、何かが起こるとも思っていなかったのだが。
(だが、不確定な要素が加わった……………)
そう気付いた時、真っ先に思い浮かんだのはネアの事だ。
あの人間がどれだけ不確定を招き寄せるのかぐらい、これまでに嫌と言う程に思い知らされてきた。
フレッチャー除けの魔術は人間が扱うものだが、リーエンベルクには儀式に抜かりなどないであろうエーダリアがいるし、いざという時にはシルハーンもノアベルトもいる。
退けるという点に於いては、何の憂いもない。
だが、混乱や恐怖の感情を得た障りがどこかで壊れてしまえば、それは土地の魔術染みとして残るだろう。
リーエンベルクの周辺で、悲劇や終焉の顛末を持つ障りの痕を、それも馬車などという形で残すのはどう考えても得策ではなかった。
ネアは、何度か馬車の形をした呪いの影響を受けている。
その履歴がある人間の近くに、縁付く呪いなど残しておける訳がない。
いつ何時、その証跡が他の大きな災いを呼び込むかわからないのだ。
(おまけに、あの状態では、下手をすれば、壊したその場から穢れや災厄に転じかねないな。まぁ、シルハーンやノアベルトなら、それくらいは気付くだろうが………)
引き起こされたことを考えると、フレッチャーが道を外れる切っ掛けを作った精霊には、よりにもよってという日に、余計なことをしてくれたと思わずにはいられない。
だが、ある程度の階位にある精霊が、フレッチャーの気配如きで自分の旅の行程を変える筈もないというのも、言うまでもないことだった。
この苛立ちは、そんな些細な事で損なわれるかもしれない人間あってこそのものだ。
所詮、違う種族に及ぼす影響などが、通りすがりの精霊に分かる筈がないのだから。
そうして、リーエンベルクに向かったアルテアが見たのは、なぜか、そんな状態のフレッチャーが現れた時に限って、ドウドウの糸のすぐ内側とは言え、自陣の外という区分に当たる、門の外に出ていたネア達だった。
馬鹿なのかと声を荒げたくなったが、あの瞬間にそんな事をすれば、目の前の脅威から彼等の注意を逸らしてしまうことになりかねない。
(だからだ……………)
だから言葉を飲み込んだその一瞬で、ネア達は無事にその場を切り抜けた。
フレッチャーの状態の悪さに気付いたシルハーンは介入を控え、であれば自分が対処するしかないと前に出掛けたエーダリアは踏み留まり、ぎりぎりのところで結界が再機能したようだ。
再機能したドウドウの糸を見た事で、ネア達が門の外側に出ていた理由も察した。
恐らく、何かの要因で糸を損ない、その修復をしていたのだろう。
そんな事故が起こるあたりがあの連中だという気もしたが、結果としては無事に惨事を回避した。
(であればもう、何の問題もない)
声をかけるには至らなかったので、この場を立ち去り、やれやれと肩を竦めればいい。
それなのにそう出来ず、未だ、立ち尽くしているのはなぜだろう。
はらはらと雪が降る。
障りが通り抜けたばかりの土地の空は先程よりも暗くなり、舞い落ちる雪は白い花弁のよう。
(……………あれは、憎悪か)
ややあって、心に落ちたのはそんな言葉だった。
フレッチャーを見据えたネアが、ほんの一瞬だけ浮かべた表情を反芻し、その眼差しの苛烈さを思う。
それは、目の前の物が己の手に負えない存在だろうと、そんな事は歯牙にもかけずに滅ぼしにかかる、獰猛な眼差しであった。
そこで気付いたのは、これまでにも何度か対岸に立ってみたことはあるものの、あの人間の、純然たる憎悪の眼差しを見るような機会はなかったという事だ。
淡々と線を記し、あちら側は要らないのだと切り捨てる姿は何度も見たが、その断絶に明確な憎しみだけが込められる姿は、今回ほどに明瞭ではなかった。
寧ろ、そこにあったのは無関心に近く、それ以外の場面でネアが心を揺らした場面ではいつも、憎悪以外の感情の方が色濃かったように思う。
何年か前に、ジーンがぽつぽつと語っていた事を思い出せば、因果の顛末の精霊が見たのは、あのような眼差しだったのだろうと腑に落ちる。
(惜しいな。………いい選択だが、……………俺はもう、この場所以外の立ち位置を選択するつもりはないからな)
だが、考えてはみた。
もし、あの人間との契約が交わされておらず、あの人間を失う事を厭わなければ。
あんな目をする人間を見付けたなら、すぐさま手製の仕掛けに組み込み、より絶望させて踊らせてやりたいと思っただろう。
あの眼差しに相応しい舞台を作り、その中に閉じ込められた人間が、どんな選択を取るのかを眺めるのはさぞかし愉快な時間だったに違いない。
だが、もうアルテアは自身の置き所を選んでいたし、そんな刹那的な衝動で失える程、あの人間は軽くない。
だからこそ、心から惜しいのだ。
この手で選び取ったものとは正反対の舞台がどこかにあった筈なのに、自分はそちらを選ばなかった。
その、失われた選択肢もまた、こんなにも鮮やかなものだったのか。
(……………いや、寧ろ)
「……………で、お前は何をしているんだ」
「この、くしゃぼろ鼠めを、滅ぼそうとしています」
「言っておくが、それは鴛だ。精霊種の渡り鳥だな」
「鳥とは………」
目の前に立っているのは、つい昨日、失われた選択肢を見せつけて選択の魔物を落胆させたばかりの人間で、おまけになぜか、あの瞬間の眼差しにも似た憎悪を湛える目をして、野生の鴛を片手で掴み取っていた。
精霊種の鴛は、獰猛な鳥である。
ただ、羽の色合いが美しいので好事家も多く、牙を丸く削って飼っている者達もいるという。
ただ美しいばかりの鳥の為にそこまで手間をかける嗜好は分からないが、黎明石と薔薇の祝福石の鳥籠でしか飼えない生き物であった。
それを何の躊躇いもなく片手で鷲掴みにしたネアは、凍えるような眼差しで鴛を見ている。
「言っておくが、そいつはリーエンベルクの騎士も殺せる階位だぞ。だからこそ、守護の厚いお前を襲う事も出来たんだろうが」
「……………この鼠めは、私が手に持っていたおやつドーナツに、飛び掛かってきたのです。幸い、足元は綺麗な新雪でしたので、落としたドーナツは最後まで美味しくいただきますが…………」
「やめろ。どんな魔術の痕跡や付与があるか分からない場所に触れた物を、容易く口に入れるな」
「……………まぁ。私に、こんな鼠めに屈して、あのドーナツを諦めろと言うのですか?」
「ネア、落ち着こうか。その鴛は私が排除してあげるよ。ドーナツも、まだ厨房に残っているのではないかな……………」
「ですが、美味しく食べられる筈だったドーナツは、無駄になってしまうのですよ?おのれ!このくしゃぼろ鼠め!!!」
シルハーンの説得でも気が鎮まらなかったらしいネアは、鴛を掴んだ手を大きく振ると、それでも怒りが収まらなかったのか、そのままだらりと力を失くした鴛を投げ捨てた。
恐らくもう死んでいるだろうが、よくもそこまで力いっぱい投げ捨てるものだと呆れていると、たまたま歩道の向かい側からその瞬間を見てしまった真夜中の座と雪竜の祝い子が、口元を片手で覆って立ち尽くしている事に気付いてしまう。
あの連中をどれだけ喜ばせるのかと思えば、溜め息も出ようというものだ。
この獰猛さに眉を顰めるどころか、目元を染めて目を輝かせるような嗜好の者達ではないか。
つくづく、そちらの連中の思慕を集める素質はあるのだろう。
「ご主人様……………」
「むぐる!三つ編みを受け取るよりも、あやつに更なる報復をするのです!!」
「無駄だぞ。もう死んでいるからな。………ほら見ろ、体が崩れて消えただろうが」
「なぬ。なぜにもう滅びているのだ。ドーナツの恨みは、これっぽっちでは晴らせないのですよ!!」
「可哀想に。君のドーナツを守ってあげられなくてごめんね………」
「まぁ。どうしてディノが震えてしまうのですか?………もしや、あやつがディノにも何かしたのです?」
「……………やれやれだな」
シルハーンは、明らかにネアに怯えて震えているのだが、そんな伴侶を撫でてやることで、ネアも、少し怒りが冷めたようだ。
だが、機嫌はそう簡単には戻らないようで、暗い目で周囲を見回している。
「ネア?」
「あの鼠めは、単独行動なのでしょうか?群れなどで行動はしないのです?」
「…………鴛は、階位の高い生き物だからね。一羽でいたのではないかな………」
「むぐぅ。仲間がいれば、ここは連帯責任として全て狩り滅ぼせたのに残念です………!」
「お前な……………」
「ご主人様……………」
すっかり怯えた万象に三つ編みを持たされる様子もなんとも言えないものだったが、仲間がいないのであれば怒りを鎮めるしかないと悟ったのか、ネアは、漸く周囲を見回すのをやめた。
すると今度は、眉を下げて悲し気に溜め息を吐いている。
「ぎゅ。……………ドーナツは、まだ残っているでしょうか?元々、ゼノのおやつのついでに、一本余分に揚げてくれた物だったのですよ?」
「君が頼めば、また作ってくれるのではないかな。それとも、アルテアに頼んでみるかい?」
「……………おい。俺が何でも作ると思うなよ」
「むぅ。同じ物を取り戻さないといけませんので、厨房でお願いしてみますね。……………このドーナツだって、すぐに拾い上げたので、どこも悪くなってはいないのですよ?」
「それでも、落ちたものはやめておこうか」
「……………ぎゅわ」
「可哀想に。悲しかったね……………」
「食べ物を粗末にするような事を強いられるのは、大嫌いです!……………ふぇぐ」
「ったく…………」
先程までの苛烈さは何だったのだろう。
そう思わせるくらいの落ち込みを見せるネアの頭の上に手を載せ、シルハーンの無言の問いかけを受け、その手から一度落としたドーナツを取り上げる。
ネアは、落ちたドーナツを捨ててしまう事に抵抗があるようだったので、諸々の魔術の繋ぎを切り、近くで様子を見ていた生き物達にこちらの意図が伝わるように、大きな街路樹の下に投げ与えてみた。
途端に木の上で様子を窺っていた生き物達が集まってきて、あっという間にドーナツは食べ尽くされてしまう。
「…………ほわ。皆さんのお腹に入りました」
「これでいいだろ。さっさと戻るぞ」
「……………む。ドーナツを食べながら、街へ向かう予定だったのですよ」
「それなら、もうドーナツはいいんだな」
「で、ですが、今ならまた作って貰えるかもしれないので、街へのお出かけは後回しです!これからリーエンベルクに戻って、ドーナツを食べる事こそを、最重要任務としますね!……………ディノ、お出かけを午後に変更してもいいですか?」
「勿論だよ」
そんなやり取りを見ながら、やれやれと息を吐く。
思いがけず、昨日見た眼差しをもう一度見てしまい、声をかけるつもりはないのに姿を見せてしまった。
今日はたまたま通りがかっただけで、気付かれないように様子を窺っていた訳ではないのだが、結果として、適当な用事を作ってリーエンベルクに立ち寄る事となる。
本来なら、禁足地の森でフレッチャーが経由した魔術の道の確認を行うだけで、今日は屋敷に戻る筈だったのだが、ナインからの報告書を読むくらいであれば、リーエンベルクでも出来るだろう。
もう一度溜め息を吐くと、こちらを不思議そうに見ているネアに、手指の消毒を促す。
「その前に、手を拭いておけ。もう二度と、鴛を素手で掴むなよ」
「残念ながら、その約束は出来ません。この怒りが鎮まる前に同じ生き物を見たら、残忍で身勝手な人間である私は、そやつ等を狩らずにいられるでしょうか……………」
「言っておくが、鴛の可動域は千を超えるんだぞ。取り逃がして反撃される可能性は考えたのか?」
「まぁ。王様雷鳥と、どちらが強いのですか?」
「王様雷鳥だろうな。……………まさかとは思うが、そんなものを狩ろうとしているんじゃないだろうな」
「先日、街で捕獲したばかりなのです。ふむ。王様雷鳥より弱いのであれば、恐れる事はありません」
「……………は?」
「王様雷鳥を、狩ってしまったのかい?」
「ディノ?鷲掴みで捕まえただけなのですよ。私に捕縛され、死んだふりをしていた王様雷鳥は、ゼノがどこかの山に返してくれました」
そんな話を聞き、竦み上がっていたシルハーンは、ゼノーシュが一緒だったのならと安堵したようだ。
自分を抱き締めている魔物に困惑の目をしているネアには、男爵位の魔物と同じくらいの可動域がある生き物だという認識はまるでないのだろう。
「……………どちらにせよ、手を拭け。それと、王様雷鳥も二度と狩るな」
「むぅ。生態系を守るのも大事だとは思いますが、その時は街中に現れたので、捕獲せざるを得なかったのです。私とて、野生で暮らしている無垢な生き物を狩るような事はしませんから」
「いや、おかしいだろ。だったら、お前の普段の狩りは何なんだよ」
「……………む?」
都合の悪い事は素知らぬ顔で受け流してしまう人間の強欲さに苦笑していると、ふと、降り始めた雪片が風に花びらのように揺れた。
(……………あの時、)
フレッチャーをじっと見つめていたネアの眼差しは、見たこともないような憎悪を孕んでいた。
風に揺れる髪には白い花びらのように雪が過ぎり、暗い足元は真夜中の湖のように澄み渡っていて。
胸下までの筈の髪は、もっと長く見えたような気がする。
暗闇の光に晒され白くさえ見えた長い髪は、今のネアの青灰色の髪とはまるで違う色相にも見えたが、それでもそこに立っているのはネアだった。
あの刹那の景色が、魔術の領域下に於ける心象風景のようなものなのだとしたら、その瞬間に揺らいだ憎悪は、見知った人間のものではなく、その心の土壌となったここではない世界の見知らぬ人間のものなのだろう。
ネアが決して名乗ろうとしない名前の彼女が、そこにいたのかもしれない。
目を閉じる。
その場所には祝祭の彩りがあった。
暗く深い夜の森には、崩れかけた石造りのアーチが残っていて、彼女の背後に見えるその輪郭が、ひとりの人間を縁取る額縁のように見えた。
世界から梳られる魔術の煌めきがきらきらと零れ落ち、暗いばかりの夜を万華鏡のように色鮮やかにする。
温度のない風に長い髪を揺らしたネアは、とうに人間が踏み越えてはならない境界を越えた者に見えた。
(……………いや。越えさせられたものだ。………祝福と災い。それに、終焉と選択と……………万象)
一枚ずつカードを切って並べてゆくように、その美しい憎悪の眼差しの中には、あまりにも多くの煌めきが揺れていて、惚れ惚れと溜め息を吐きたくなる程。
造作云々の話ではなく、魂や眼差しの話として、あんなに美しく悍ましいものが、人間のふりをして人間の中に紛れられる筈もない。
ただの気紛れで生み出せる筈もなく、長い長い年月をかけて磨き上げられた信仰と祝祭の匂いがした。
そして、その石積みの最後に生まれ、全ての祝福と災いを終わらせる子供が、あの人間だったのだろう。
「……………アルテアさん?」
「……………何だ」
あの時に見たもののことを考えていると、不意に名前を呼ばれた。
目を瞬き、こちらを見ている鳩羽色の瞳を見返す。
あの時の複雑な色が何層にも重なる瞳は、青だったのか、菫色だったのか。
少なくとも、この色ではない。
(だが、……………)
やはりネアには、この色が一番似合っている。
「お腹が空いたのです?」
「何でだよ……………」
「むぅ。アルテアさんの分のドーナツも、頼んで差し上げましょうか?」
「いらん。空腹だと決めつけるのはやめろ」
「まぁ。それは、揚げたてにシナモンとお砂糖をまぶした、素敵なドーナツを知らないから言えるのですよ。アルテアさんだって、あのいい匂いを嗅いでしまったなら………」
「ったく。食い気しかないのか、お前は」
「そして、鴛めは見付け次第滅ぼします」
「……………やめろ」
静かな声で、自分に問いかける。
もし、出会ったのがこの人間ではなく、あの瞳のままの見知らぬ誰かであったなら。
(………俺はお前に興味を示し、手に入れ、…………最後は殺しただろう)
どれだけ目を奪われても、心を与えても、あれは手の中で慈しむようなものではない。
失われる落胆に絶望しても、この手で壊してこそ鮮やかに残るようなものだ。
だからこそきっと、ネアで良かったのだろう。
この、青灰色の髪に鳩羽色の瞳を持つ、奪われるばかりではなく、憎悪ばかりではなく、目を輝かせてこの世界を弾むような足取りで歩くこの人間でよかったのだ。
ナイフしか持たない怪物を飼いならすのは愉快だが、そればかりではきっとすぐに飽きる。
それでもきっと、あの眼差しと憎悪は、この人間の内側に満ちる暗い湖の底にずっと眠り続けるのだろう。
だからこそこの人間は、選択の魔物の唯一なのだった。
「……………おい、何を狩った。その手を見せてみろ」
「靴下生物なのですよ。こやつは、アクス商会で高く売れるのです」
「また森編みを狩ってる……………」
「お前な……………」
目を離した隙にまた獲物を掴んでいた手を開かせ、指先で額を弾くと唸り声を上げるネアがいる。
ふと、シルハーンがよく、伴侶が動いていると喜んでいる姿を思い出した。
(そうか。………そういうことか)
向こう側に立っていたあの人間が、こんな風に動き、表情を変えることはなかったに違いない。
そこに残された憎悪も絶望も息を呑むほどの美しさであったが、それはやはり、死にゆくものの凄艶さである。
だが、あの人間を長らく鑑賞していた日々があるのかと思えば、初めて、ほんの僅かな万象への羨望を覚えた。
とは言え、万象の手に落ちたからこそ、ネアはこの手に長らく残るものになったのだろう。
「まぁ、いいさ。俺が気に入っているのは、こちらだからな。並べ置かれたとしても、こちらを取るだろうよ」
「ぐぬぬ、なぜご機嫌に頭をわしゃわしゃされたのだ。乙女の髪の毛をくしゃくしゃにするのは、許し難い重罪なのですよ!」
暴れるネアを宥めて髪を撫でてやった手を返せば、贈られたリンデルがきらりと光った。
これこそが、そうして手にした選択の粋というものである。
引き続き、繁忙期にで明日のお話も短めになります。




