子守唄とライラック 1
綺麗な薄紫色の薔薇が、灰色の空の中で佇んでいる。
背景は青空でも美しいのだろうが、こんな灰色の空だからこそ庭園の彩りがいっそうに詩的に見えるのかもしれない。
ふかふかとしたクッションの長椅子に座り、ネアはそんな風景をじっと見ていた。
部屋の中には瑞々しい果実と香草のようないい香りがしていて、かりかりとペンを走らせる音が聞こえている。
ここはリーエンベルクではない。
ウィームではあるのだが、地図上のどこにあるのかは謎のまま、けれどもネアはすっかり心を緩ませて、のんびりだらんと不思議な屋敷の中で過ごしている。
向かいの席には一人の魔物が座っていて、夜結晶のトリミングが繊細な長方形のテーブルには、幾つもの国の農業資料が並んでいた。
数字を扱った資料も沢山あり、目を凝らしてみると恐らくはここ数年の生産量と気候変動の資料なのだろうが、如何せん基礎的な知識がないので記されている物以上の事は分からない。
そして、細かい文字の資料を見ていたら、かくりと首が落ちた。
「……………おい、眠いなら横になってろ」
「……………むぐ。うとうとしただけで、眠たくはありま……………ぐぅ」
「眠いんだろうが。ったく」
「折角使い魔さんのお家に遊びに来ているのです。お昼寝で時間を無駄にせず、あの綺麗な庭園を、もっと見ているのだ……………」
「やれやれだな」
人間であれば、誰しもが経験した事があるに違いない。
ある程度ちゃんと寝た筈なのだが、起こされたところが良くなかったのか、酷い眠気を引き摺ったまま過ごさねばならなくなる日がある。
これはもう、一度しっかり寝て解消するしかないのだが、一日というものは利用可能な時間が決まっており、尚且つその日がいつもとは違う大事な日だったりすると、どうにかして我慢しながらやり過ごすしかないのだ。
「ねむ、……………にゃ……………むぐ」
「言葉すら選べなくなっているだろうが。大人しく寝ておけ」
「……………おにわ……………ぐぅ」
頑固な人間は、それでもと庭園の景色の方に体を向けたが、既にもうかなりの意識を眠りの側に持ち去られており、ぐらぐらと揺れてしまう体を伸ばされた腕がしっかりと押さえてくれた。
のんびり美味しい紅茶などを飲みながら過ごしていたネアの傍らで、ご主人様を預かる事になってしまったアルテアは、先程から何やら書類仕事をしていたところだ。
艶々とした灰色の羽のついたペンを置き、いつの間にか隣に来てくれていたらしい。
だが、体を支えられてしまうと、怠惰な人間の体は、ではこのまますやすや眠りますかという感じになってしまう。
だからこそネアは、長椅子の背もたれに寄りかからないよう、細心の注意を払ってきたのだ。
「……………まだ、本調子じゃないんだろうが」
そんな声が耳元で聞こえるが、これはただ、起きるタイミングがまずかっただけなのだ。
確かに先日の事件の影響が全く残っていないとは言わないが、とは言え、元気に街に出掛けてゆけるくらいには回復しているので、ここでしなくてもいい心配をさせてしまう訳にはいかない。
だが、健気な人間はそう思うのに、素敵な支えを見付けてしまった体はこれ幸いと眠りにつこうとする。
手を伸ばして背中を支えるだけでなく、なぜかネアはいつの間にかアルテアの腕の中にいて、隣に座った選択の魔物に寄りかかるようにしてその胸にもたれ、しっかりと抱き締められていた。
「……………おうち、……………すてきなおうちを堪能するので……………ぐぅ」
「諦めが悪いにも程があるぞ。ちゃんと起こしてやるから、少しでもいい、しっかりと休め。昼寝が出来たら、無花果のパイを焼いてやる」
「いちじくさま……………」
くたりとなってしまう顔を支えるように、大きな手のひらが頬に当てられる。
手のひらの温度を頬と耳で感じ、すりりと頬を寄せれば、ディノがよくそうしてくる理由が分かる。
なぜかそんな風にしっかりと頬を手のひらで覆われると、小さな子供のように甘やかされているようで心がふにゃりと蕩けてしまうのだ。
(でも、ますます瞼が重くなってきた…………)
なんてことをしてくれたのだと恨みがましく思いながら、あっさり陥落してしまったネアは、耐えきれずに目を閉じてしまった。
「どうせお前は、タルトひと切れじゃ我慢出来ないだろ。パイ生地の残りで、一口ソーセージパイも作っておいてやる」
「ぱいさま……………」
「それと、目を覚ました後で、少し守護を深めるぞ。……………ウィリアムの奴も息巻いていたが、基盤が万象の守護なら、まずは塩、次に選択がいいだろう。何通りか試したが、守護の層をより強靭にするには重ねる順番をこれ迄とは変えておいた方がいい」
「……………むぐ」
「来年までには、漂流物の問題も出て来る。………今回の一件は業腹だが、その時までに守護の脆弱性を克服しておくという意味では、いい転換期になった」
アルテアの声は、とても静かで淡々としていて、まるで独り言のようでもあった。
まだ辛うじてネアは起きているのだが、もう眠ってしまったと思っているのかもしれない。
まるで子供を抱えているように時折体を揺すり、手のひらで背中を撫でてくれる。
そんなあやし方をされてしまうと、ネアはいっそうに深く安らかな眠りの底に沈んでゆくようだ。
返事をする事が出来ないくらいにうっとりとした眠りに入り、けれどもアルテアの声はまだ聞こえていた。
「お前が手に入れてきたものを、一度全て引き剥がし、より親和性が高く効果的な順番で再編成する。どこかでやるべきだった手順だが、その間にどれだけ無防備になるかを考えると、シルハーンも踏み切れなかったんだろう。……………最初の守護を与えた時と今とでは、……………俺も、お前にかける思いや切り出せる分量が違うしな。……………中途半端に時系列で重ねていた守護を取り払い、こうして再調整出来る機会を、取り返しのつかない問題が起こる前に得られたのは幸運だったのかもしれない」
(……………そうか。ケーキと同じで、どのような材料をどのように重ねてゆくのかは、受け取る順に重ねてゆくよりも、相性を考えて決められた方がいいものが出来上がるのだ……………)
ディノからも、今までのネアの守護は、出会った順でもあるのだと聞いている。
また、古い層の守護については、出会った頃に与えられた分量が薄く重なっていて、無尽蔵に重ね掛け出来ない効果については、上の層を取り払い掘り起こして付与し直すしかないのだとも。
今回の事件で、図らずも、ネアの守護は沢山消費され壊されてしまった。
上の層のものがなくなった今だからこそ、今度はきちんと計算の上での守護がけが出来る。
まだその全てを修復し終えた訳ではないので、先日外出した際はディノと足元を繋ぎ、ディノの排他環境を全て借り受ける形にしておいたくらいだが、この方式はディノが離れれば無効化される上に、伴侶であるディノにしか扱えない。
これからの守護をどうするのかは、今後の大きな課題であったのだ。
(……………そうか。だから、今日なのだ)
まず、ディノからの守護を丁寧に直されたのが、あの事件の直後である。
伴侶という状態から重ねてゆけるので、かなりいい状態となったらしい。
そして一昨日、ディノの守護が定着するのを待ってから、ノアの守護を重ねがけした。
アルテアの呟きによると、次が選択の順番なのだろう。
因みに、妖精や竜の守護はまた別の階層なので、魔物達の重ねがけと同一ではない。
調べたところ、ヒルドの羽の庇護には薄くひびが入っていたので既にかけ直されており、ダナエの守護はなんと自己修復機能付きという、春闇という形のないものを司る竜ならではの特等の守護であった。
以前から継続の議論がなされてきたベージとの繋がりも継続される事となり、ベージから快諾の返答も届いている。
こちらは病に特化した守護に近いので、また別角度からの防壁となる予定だ。
(エーダリア様は魔術師だから、かけられた守護を都度自分でも再調整出来るらしい。私の可動域が高くて、自身の調整が可能であればこんな手間は必要なかったのに…………)
そう思うと少し悔しいが、これだけの守護を集められるのは、ネアの抵抗値があってこそ。
細やかな調整が出来ない代わりに、何層もの複雑な守護を可能としている。
「……………あいつの手前、指輪までをくれてやる事は出来ないが、同じくらいのものはくれてやる。どうせ、お前が生きている限り俺はここにいるんだ。それに、お前は目を離した隙に、……………すぐにとんでもない目に遭うからな」
どこか呆れたような口調で言う癖に、その声音はひどく優しかった。
さりりと髪を撫でられ、その心地よさに、眠りがとろりと深くなる。
「毎回、選択の俺の目の前で、俺の望まない形で身を削りやがって…………。何度目だと思っているんだ」
きっと、ディノやノアが怖がったように、安堵したとウィリアムに抱き締められ、ヒルドやエーダリアが泣いてくれたように、この魔物もそれを惜しみ、心を揺らしてくれたのだろう。
ディノ達とは違う気質の魔物なので、指輪に準じる物となるとやり過ぎだと思ったが、とは言え、森の魔物がそれを渡してくれるというのなら、ここは受け取ってしまってもいいのだろうか。
そんな事を考えながらすとんと眠りの中に収まり、どこか遠くから聞こえてくる歌声にむふんと頬を緩める。
歌われている曲はネアが前の世界で大好きだった物なので、きっとこれは夢だろう。
けれども、子供のようにあやされながらその歌声を聴いていると、立派な歌劇場の中で美しい天鵞絨に包まれて大事にされているような、溜め息を吐きたくなる程の美しい夜の中に横たわるような満ち足りた思いになるのだ。
どこまでも、どこまでも。
安らかで美しく、艶やかで暗い。
こうして感じられる印象はディノとは違い、きっとノアやウィリアムとも違うのだろう。
だからネアは、この揺り籠の心地よさを余す事なく楽しむと決めてしまい、頬を擦り寄せて体を伸ばした。
誰かが耳元でふっと微笑む気配があったが、それすらも夢の中での事だったのかもしれない。
「お前は…………俺の、」
その囁きがどう結んだのかは聞こえなかったが、ネアはもうすっかりとろりと眠りの底に沈んでいた。
そして次に目を覚ました時にはもう、柔らかな日差しは少し色を変え、夕暮れの色に変わる手前だと分かる色になっていた。
「むぐ!パイ!!」
「……………おい、起きるなりかよ」
「む。…………なぜ私は、アルテアさんを敷物にしているのでしょう?基本的に、敷物はごつごつしていない方が良いとされるのですよ?」
「その割には、起こしてもなかなか起きなかったがな?」
「まぁ。私は目覚めはいい方なのです。予定のない休日は怠惰にごろごろしますが、予定のある日はしゅばっと起きますし、遅刻などはした事がありません」
そう弁明しながらも、ネアはもそりと体を起こした。
下敷きにしている使い魔を潰さないように慎重にもぞもぞしていると、なぜかアルテアが顔を顰める。
「……………おい」
「内臓への圧迫具合はどうですか?どうしても体重がかかってしまいますし、私は狐さん程軽くはないので、もし耐え難い痛みなどがあったらすぐに申告して下さいね」
「お前ごときの体重でどうこうなる訳がないだろうが。それより、おかしな動き方をするな」
「となると、脇腹の横に手を突いたのがいけなかったのです?擽ったかったでしょうか?」
「そうだな。お前に情緒がないのを失念していた。下ろしてやるから動くなよ」
「もはや、貶しすらしなくなったので、たいへん遺憾だと言わざるを得ません………」
呆れ顔の使い魔に床に解放して貰い、ネアはててっと窓辺に駆け寄る。
まだ陽の光が青白い内にあの庭園を散策する予定だったのだが、既に光の色が変わってきてしまった。
「ぐぬぅ………。この時間帯だと、お花の色合いが変わってきてしまいます」
「明日の朝にしろ。朝食後までは滞在予定だからな」
「は!そうでした。では、お庭の散策は明日の朝にしますね。まずは、美味しい無花果のパイなどを………」
「やれやれだな。…………食欲は無事に戻ったようだな」
「………おかしいのですよ。その前にだって、エーダリア様と同じくらいには食べていました。成人男性と同じ量を食べているのに、なぜ心配されてしまっていたのか、謎でなりません。………とは言え、アレクシスさんのスープで復調したので、パイはふた切れでもいいかもしれませんね」
「前半の主張と後半の主張の乖離に気付け」
「む?」
伸ばした手でわしわしと頭を撫でられ、立ち上がったアルテアが丁寧に袖を折り上げている。
すっかりパイのお口になったネアが弾み回れば、如何にもパイを焼き慣れた人の手際の良さでささっとオーブンに放り込んでくれた。
無花果のパイとタルトでは、大きく食感が変わる。
とろとろになった無花果の美味しさが楽しめるパイに対し、タルトでは瑞々しい果実の味わいが楽しめるので、ネアとしてはどちらも大好きなのだ。
そう主張するとアルテアが遠い目になったが、作り置きのパイシートの横にタルトの準備があったので、念の為に伝えておかねばならぬと考えた次第である。
「そう言えば、ユーグさんには、ディノからお礼を伝えておいて貰いました」
「ああ。万象が訪ねて来たと震え上がっていたからな」
「………あの方がですか?」
震え上がるという表現とは無縁に思える特赦の魔物の姿を思い出して首を傾げると、こちらを見たアルテアが溜め息を吐いている。
「いいか、シルハーンは王だ。お前の見慣れている万象は、お前用の側面が大きい。ユーグだろうと、その反応が普通なんだからな」
「まぁ。…………ウィームの街では、偶然出会ったジッタさんに、動物パンを貰ってしまったり、ヴァロッシュの祝祭でお見かけするご老人達からは、よく頑張ったなと紅茶飴を貰える優しい魔物なのですが………」
「…………は?」
「そして、市場のキノコ屋さんのおかみさんには、いつも変わりキノコで脅かされて私の背中に隠れてしまうのです」
「………いいか。ウィームは特殊だ。特に中央はな」
「アルテアさんも、キノコで脅かされたりします?」
「…………さてな」
ネアは、これは経験者の誤魔化し方だぞと考え、にんまりと微笑んでおいた。
焼き上がったばかりでさくりと切り分け、お皿に載せて出されたパイが目の前に置かれ、先程の温かな紅茶ではなく飲みやすいアイスティーがグラスで用意される。
こんなところに選択の魔物の拘りが出るのだが、ネアはいつも、アルテア宅で出されるアイスティーが大好きでごくごく飲んでしまうのだった。
「いただきますです?」
「ああ。食ってろ。こっちのオーブンの物を出したら、俺もそちらに戻る」
「は!さてはもう一品あるのですね?」
「ソーセージパイだがいらないのか?」
「い、いります!!パイ様!!」
このパイはネアのお気に入りの一品で、果実の味わいの強い甘めのカレーのような異国風のソースを入れたパイの上に、美味しいソーセージを載せて焼くのだ。
食事用に大きめに焼く場合は、削ったココナッツなどがかけられており、今回のような一口パイの場合はそのままでいただく。
ぷわんと漂ういい匂いに心を弾ませ、まずは無花果のパイからである。
さくさくとろりとしたパイを口に運べば、あつあつはふはふとした素敵な時間が始まった。
ここで注意せねばならないのが、お皿の上のパイを完全にやっつけないようにしておき、ソーセージパイをいただく事だ。
途中で塩っぱいものを食べて幸せの天秤を吊り合わせておいてから、最後の味をどちらにするのかを決めるのがネアの流儀である。
「ふむ。本日の最後の一口は、こちらの無花果のパイですね」
「おい、なんで皿を差し出したんだ」
「ソーセージパイが二つあるので、無花果のパイももうひと切れあっても良いのですよ?」
「ほお、それなら夜はいらないんだな?」
「……………いります」
「じゃあ、パイはひと切れにしておけ」
「ぐぬぅ………」
それからネア達は、お喋りをしたり、屋敷に併設されている工房で宝石の細工を試したりしつつ夕刻迄の時間を過ごした。
途中でアルテアに素晴らしい声の女性から夜会のお誘いの通信が入っていたが、選択の魔物はあっさり断ってしまい、このお屋敷であれば留守番も吝かではない人間はへにゃりと眉を下げる。
「そろそろイブメリアですし、恋人さんなどを作られても………」
「踏み込むなと言わなかったか?今週は、お前の為に切り出してやる守護の準備で手いっぱいだ」
「なぬ。………他のご予定は大丈夫なのですか?」
「ウィリアムじゃあるまいし、何もかもを現場で行う必要はないからな。それと、お前を放っておく方が後々に面倒な事になる」
「そんなアルテアさんにお礼をするなら、今はザハの焼き菓子セットと、シュタルトの湖水メゾンの白、くまさんクッキーに、森の仲間のおやつしかありません………」
「最後がおかしいだろうが」
「こうして美味しくパイをいただくのも御礼ですので、残りの部分を補うにはやはり、そのような物がいいのかなと思ったのですよ?」
ディノ達は今日、あの事件の最終的な調整を済ませてしまうのだそうだ。
リーエンベルクの外周から、正面の広場、そして並木道までの魔術の調整や揺らぎを整え直す大掛かりな作業となるそうで、とは言え危険の全てを取り払う事は出来ないものの、あの死者の足跡などは絶対に洗浄しておかなければならない。
だが、普通の人間の魔術師であれば何年もかけて行う事を、魔物達は一日で行ってしまうのだから、とんでもない事でもある。
エーダリアもその作業に参加する為、その間のネアの周囲が手薄にならないよう、こちらに預けられたとは聞いていたが、今回のお泊まり会では、アルテアにも守護を重ねてゆくお役目があったらしい。
“ディノ、アルテアさんに守護を重ねて貰ってからお家に帰りますからね。なお、こちらでは無花果のパイとソーセージパイが振る舞われました。ディノも、ノア達と一緒にきちんと晩餐はいただいて下さいね”
“アルテアなんて………”
カードから伴侶に定時連絡を入れつつ、ネアは、夕暮れの青さに染まる庭園と、その向こうの湖を見ていた。
先程までは湖はなかった筈だが、こんな風に景色が変わるのは魔物の屋敷だからだろうか。
夕暮れの光を映した湖は美しく、見ているだけで心が澄み渡るようだ。
「晩餐のメニューは………」
「おい、食い気しかないのをどうにかしろ」
「先程の保冷庫に、素敵な海老があったのです!」
「ハイフク海老だな」
「じゅるり………」
ネアは素敵な時間に想いを馳せ、夕暮れの庭園でぼうっと光り始めたブルーベリーの茂みに目を輝かせた。
凝視していると、溜め息を吐いたアルテアが籠と鋏を取りに行ってくれたので、これからブルーベリーの収穫が出来るに違いない。
ブルーベリーのデザートが加えられるだろうかと微笑み、ネアは、戻ってきたアルテアに駆け寄った。




