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ビーズと鴨肉




雪の門が現れた翌日とあって、その日の外出では転移を多用することになった。

リーエンベルクからの林檎の大盤振る舞いによって、既に歩道の雪かきは終わっているが、祝福の大盤振る舞いで元気いっぱいの雪溜まりなどに潜んだ者達が悪さをする可能性はある。



朝までにリーエンベルクに入った情報によれば、昨日中に、二名の行方不明者と一名の負傷が確認されているので、祝福過多の雪が沢山降るという事は、ネアが思っていたよりも遥かに危ういものであったらしい。



(ヒルドさんは、一概にあの雪のせいとは言えないと話していたけれど、そうでもないとも言い切れない。屋内にいれば回避出来るけれど、仕事柄そうはいかない人もいただろうし、そうして身を損なう事もあるのだと覚えておこう…………)



祝福は多いに越したことがないのだが、均衡を崩すということが与える影響の多さについては、この世界なりの不安定さを招くのだと知れば、また新しい視点ということになるのだろうか。



「けれども、今回のような事は滅多にない事なんだ。自身の領域を超えて影響を与えられるような者が、そこまで心を揺らす事はあまりないからね。その代わり、雨乞いの儀式などで過分な祝福を集めようとしての事故というものはあるかな」

「むむ、今回は、ニエークさんは何か素敵なお届け物があったらしくての大はしゃぎで、ジゼルさん以下の雪竜の皆さんは、子狐さんのおままごとな結婚式に付き合って心がぽわぽわになってしまったのだそうですが、確かにその二つが重なるような事は稀ですものね……………」

「結婚式があったのかい?」



不思議そうに目を瞠ったディノに、ネアは、おままごと遊びについて教えてやった。

ジゼルが娘のように慈しんでいる子狐は、最近、若い雪竜の女性から贈られた竜用のおままごとセットが大のお気に入りであるらしい。



「……………おままごと」

「ふふ、人間の子供もよくやっていますよ。主に、小さなお子さんが大人の生活を模倣するごっこ遊びなのです」

「………君もやりたいかい?」

「……………小さなお子さん向けの遊びなので、私は遠慮いたします」



魔物は、可動域の低い人間にも必要なのかなと考えたようなので、ネアはにっこり微笑んで辞意を表明しておいた。


ディノはほっとしたようにこくりと頷いたので、もしかすると、可動域の関係で出来ない事の多い伴侶の生活を案じてくれたのかもしれない。



見上げた空からは、今日も雪が降っている。

まずは転移で街の中心部に出ると、そこからは少しだけ徒歩になるので、歩道脇に積み上げられた雪から、どれだけの降雪だったのかをあらためて知ることになった。


買い物や用事に行き交う人々を見ていると、こんな街の中心部にあの門が現れた事を考えてひやりとしてしまうし、白樫が現れたのも、リーエンベルクの前で良かったのだと思う。


昨日の夜、ネアが門の向こうに感じたものの事をディノに話すと、ディノは、心などを損なうような災いが門の向こうに控えていたのかもしれないと話してくれた。


だからこそノアは、生贄代わりの対価として己の心の苦痛を差し出し、災いが成された事にしてあの門を閉じたのかもしれない。



そしてそこには、火とラベンダー畑があったのだろうか。




(雪の門は、高位の人外者の慶事のあった土地に面する人間の国や、高位の人外者達の宴や会合の跡地に、祝福交じりの雨や雪が降った時に現れる事が多いのだとか。以前の祝い嵐の時は、季節的に今回の門のようなものは現れないらしい…………)



勿論、魔術の均衡が崩れればあわいに準じるようなものが動く可能性はあるのだが、春の荒天は芽吹きを、そして秋は収穫を損なう可能性がある為に、門を発現させて災いを招き入れるまでもないというのがこの世界の判断であるのだそうだ。



「似たような別のものはあるけれどね」

「むぅ。門が現れる条件が謎めいております。冬とて、大雪で遭難などしてしまうかもしれないですし、夏の豪雨などでは畑が駄目になってしまう可能性もあります。それでもなのですね」

「世界に敷かれた理が、どのようにして線を引くのかは分からないんだ。だからこそ、あのようなものは我々にも操作が難しい。かつては、白虹やクライメルが災いの門を作ろうと試行錯誤していたようだけれど、どちらも途中で諦めていたようだ」

「………その方々は、余計な事ばかりしています」




こつりと靴の踵が鳴り、いつものアクス商会の建物のエントランスに立ったネアは、こっそり入り口の扉の向こうを窺った。


高級テーラーの装いのこの商会は、内側にこそ世界的な商会が隠されているのだが、時折、紳士服をお求めの一般のお客様が多くて、入店に少しばかり気を遣う時がある。


幸いにも今日は、そんなお客は少ないようだ。

ネア達は、入り口で迎えてくれた店員に案内され、いつものように建物の奥へと通された。



今日は、どんな部屋に通されるのだろう。

ネアは、こうしてアクスを訪れる度に、この建物にはどれだけの空間が隠されているのだろうと考えてしまう。


天窓から一筋の月光の差し込む不思議な程に広大な廊下を抜けると、こっくりとした青色の絨毯の敷かれた見慣れない通路があり、その奥でアイザックが優雅に腰を折ってお辞儀をする。


さらりと揺れた漆黒の髪のこの魔物は、黒いスリーピースに白い手袋がはっとする程に鮮やかであった。



「ようこそ、お待ちしておりました。昨日は、訪問日の変更のご連絡をいただき、有難うございます。雪の門の顕現とあれば、我々も扉を閉じなければなりません。ご予定を振り替えていただき、幸いでございました」

「そうか。あの門は、君にとっても望ましくないものだったね」

「ええ。何を以て災いと成すのかは門の判断に委ねられますので、商売をしている我々にとっては、あのようなものとの遭遇は特等の災厄に等しいものです。こちらに現れた場合は、私が閉じさせていただいたと思いますよ」



そんなアイザックの言葉を聞いて、ネアは少しだけ安堵した。


すっかり街に何かがあればという怖さを抱いてしまったが、このウィームの街には、それを退けることが出来る者達が大勢いるではないか。

アイザックのように、拠点を置いたウィームへの災いを望まない人外者も多いのだろう。



「では、本日の買い取り品を拝見させていただいても宜しいですか?」

「はい。獲物も沢山ありますが、幾つか、あわいのものも増えましたのでそれも持ち込ませていただきました。まずは……、」



早速部屋に入り、ネアは獲物をテーブルに並べることにした。


小瓶に隔離したハハカリなども含め、ザッカムの宿から持ち帰った観光マップの一枚や、ザッカムの固有種であったらしい薔薇の小枝など、幾つかは好ましくなかった事件の中からのお土産もある。


ハハカリについては、疫病を含むかもしれないのでアクスにも卸すようにというアルテアからの秘密の任務も兼ねてのものだ。


ザッカムがクライメルの実験場であった以上、その罠から因果的に再発した疫病を含むハハカリには、治療薬がどこにも残されていないような珍しい疫病も含まれている可能性がある。


その治療薬の独占を譲る代わりに、アクスに在籍する疫病の魔物に、今後の為の治療薬を用意させておこうというのが、アルテアの考えであった。


なのでネアは、エーダリアやダリルの了承も得た後、ガレンの研究用に残されたハハカリの一つを引き取ってディノに小瓶に隔離させて貰い、こうして持ち込んでいる。


また、日々の研鑽により続けている狩りでの獲物も多く、最近は光るカワセミなども入荷済みだ。

これはイルミネーションかなという感じにぴかぴか光り、ディノが怯えてしまう程であったので高く売れるかもしれない。



「………ネア様、この獲物はどちらで狩られたものでしょう?」



しかし、そんな獲物の中で、最初にアイザックが興味を示したのは、ディノと乗り過ごして行ってしまった季節の駅で入手した獲物だった。


ぶーんと飛んできたので手刀で叩き落とし、そっと金庫にしまっただけの獲物であるが、綺麗な包装紙を折り上げてから握り潰したような体と、そこについている尾だか紐だか分からないものがたいへん謎めいている。


すっと虫眼鏡のようなものを取り出し、アイザックが眼鏡を外して真剣に調べている姿に、ネアは、どんな高価買取になるのかなとわくわくと小さく弾んだ。


虫眼鏡だけでは足りなかったのか、今度は、モノクル型の拡大鏡のようなものを片目に装着して更に調べ上げ、アイザックが顔を上げたのは暫くしてからのことであった。



「こちらは、私が買い取らせていただきましょう。…………素晴らしい。土地の固有種である妖精が、辻毒の一種を取り込み、魔術と生物の間の存在として変質していたもののようです。様々な季節の祝福を得て、複数属性迄有している。このようなものに出会うのは、私とて数百年に一度あるかないかというところでしょう」

「………ほわ、思っていた以上の大物でしたが、やはり狩りの女王の下には珍しい獲物が集まってしまうのですね」

「…………そんなものだったのだね………」



ディノが調べてくれ、良くない要素はなかったという事であったが、取り込んだ辻毒を季節ごとの祝福で強引に無力化し、いっそ祝福すら纏っていたというのだから驚きだ。


本来は食欲や盗み食いを司る種族の妖精であったらしく、食べ物を持っていたネアを襲おうとしたのだろうと教えて貰う。



(……………そう言えば、トゥルデルニークを食べた直後くらいに狩ったような気がする………)



そんなくしゃ紙の獲物は、アイザックが個人的に買い上げて研究をするということで、ネアが想定していた五倍くらいの金額で売れた。

アイザックが拡大鏡を取り出してから想定した金額からの五倍なので、これはもう帰り道は弾み回るしかない。



更には、銀狐用のジャーキーかと思って拾ったら妖精だったものや、禁足地の森で悪さをしていた金色の蝙蝠などもある。


この蝙蝠は本来であればガーウィンの方に生息しているものであるらしいが、商人の馬車に潜り込んでウィームに入り込んでしまった外来種だ。

こちらもまた、ただ乗りの精霊の貴族だと分かり、なかなかに高値で売れた。



「……………いやはや。ネア様の獲物の質の良さは存じ上げているつもりでおりましたが、それでもまだ驚きがあるとは…………」

「なお、これは獲物なのかごみなのかが分からないものなのですが、ディノが生き物の一部だったものの気がするというので、持ってきてみました」

「…………っ、」



そう言ってネアが取り出したのは、刺繍糸で編み上げた編み紐の端を処理する為に切り落とした糸の切れ端の束のようなものだった。


本当にごみではないのだろうかと懐疑的であったネアだが、アイザックは小さく息を飲み、恭しくその糸くず的なものを水晶の小皿に乗せるとそっと泉結晶の覆いをかけるではないか。



「森編みの女王の断髪式の名残ですね。これは蒐集家がおりまして、その中でもかなり希少なものです。ましてやこの色合いですと、女王が直前まで夜会に出ていた事が明らかですのでかなり喜ばれるでしょう」

「………森編みの、……精霊さんの方ですか?」

「ええ。獣についても、十年に一度落とす毛束を手に入れると魔術の境界を払う筆になるのですが、こちらの方が小さなものである分、なかなか手に入らないものなのです」

「ふぁ………」



アイザックの静かな興奮に完全に圧倒されてしまったネアは、よく分からないが、この世界の森には沢山の高価なものが落ちているのだろうなと頷く。


なお、この刺繍糸の切れ端のようなものは、可動域の低い人間が触れると体が砂になってしまうそうなので、たいそう危険なものでもあったらしい。


ネアが思わず振り返ると、ディノは水紺色の瞳を瞠ってふるふるしていたが、可動域が高過ぎる魔物と抵抗値がかなり高い人間では分からない事も多いのかもしれない。



アイザックは、その後もあれこれとネアの持ち込んだ品物について教えてくれながら、全ての品物に値段をつけてくれた。

取り引き不可でお返しするものがないのが良いですねと、薄い唇をきゅっと持ち上げて欲望の魔物なりの大満足の顔をしているので、今回も良い取引きが出来たようだ。


あまり表情の変わらないアイザックであるし、現在も冷淡さにひと刷毛の感情を加えたくらいのものではあるが、それでも今日の取り引きは大興奮だと伝わってくる。



(そういう意味では、アイザックさんが感情を表に出すのは、やはりルドヴィークさんに関わる時だけなのかしら……………)



最後に買取金額が計算されると、ネアは俄かにお金持ちになった。


だがここで、今後の対策を見込んで高価な赤帽子の疫病の常備薬などを購入しておかねばならず、ネアのお財布は、入った分だけの安全を買うように出来ているのかもしれない。



治癒薬や予防薬を既にネア自身が手にしていても、それを無効化したり引き剥がす作用がある魔術もある。

縁があったものは都度対策を備えておき、再び出会った時に後悔しないようにするのが、ネアなりのこの世界の学び方だった。



「それと、傘祭り用のビーズを、今年もいただいて帰ろうと思います」

「ええ。ご用意しておりますよ。今年からは、星削りのビースなど、幾つかの新作が入っておりますので、そちらも揃えさせていただきました」



アイザックが指先を動かすと、テーブルの上の大きな木の板の上に乗せられていた獲物たちはしゅわりと消えてしまい、代わりに、水晶の小箱や天鵞絨の化粧箱のようなものに入ったビーズがこれでもかと並んだ。


獲物の売買の際には、シャンデリアに灯された明かりは、淡く僅かにシュプリ色がかった屋内用の魔術の火だったのだが、ここで陽光に近い色相の結晶石のシャンデリアに変えてくれるのもまた、アクス商会の手厚いサービスである。



傘祭りは外で行われる祝祭だ。


こうして照明を変えてくれることによって、屋内で購入した時には気に入っていたのに、実際に祝祭の日に使ったらビーズの色味が思っていたのとは違ったという悲しい思いをせずに済む。


アイザックは全てのビーズの説明を簡単に済ませると、祝福効果や素材などを記したカードを残し、さり気無く部屋を出てゆく。


運ばれていた飲み物が替えられ、後はネア達だけでゆっくりとビーズを選べるのだから嬉しい。



「今年のリボンは、どうするんだい?」

「ディノと以前に見た、白灰色のものにしようと思います。少しだけ、ダイヤモンドダストの煌めきが入っているものなのですよね?」

「あのリボンであれば、ビーズの魔術を阻害しないだろう。白いリボンが続いたので、少し趣を変えたいのだよね?」

「はい。なので今年は、悪者がいれば少し油断させますが、実際にはとても守ってくれるというものにしようと思うのです。昨年のものが、武器狩りの時に活躍したりもしましたものね」

「うん。…………どうして銘のある武器に勝てたのかな」

「なかなかに邪悪な武器が粉々になったそうですので、やはり同色きりんさんの威力でしょうか」

「……………同色?」



ここで、ビーズの腕輪に恐ろしい仕掛けがあったことに気付いてしまったディノがぴっとなってしまい、ふるふるしながら怯えたように獰猛過ぎる伴侶を見ている。


ここでネアは、何かの守りになればいいと思い、リボンと同色で一見すると見えないきりんスタンプを、リボンに押してあったことを告白した。


使い手には負荷のかからない形で、リボンに隠しきりんが潜ませてあったのだ。




「効果があったようなので、今年も挑みますよ!」

「ご主人様……………」

「ただ、壇上に上がるエーダリア様達のものは、いざという時に武器になるよう、しっかりと目視出来る隠しきりんさんを入れましょうね」

「入れてしまうのだね…………」



今年の傘祭りでは、特筆すべき程に問題のある傘は登録されていないのだそうだ。

幾つか事情のある傘はあるものの、昨年までであれば騎士達に渡されていたようなものであるらしい。



(となると今年は、沢山の傘が空に昇ってゆく光景を、のんびり楽しめるのだわ……………)



綿菓子などもそうだが、傘祭りにだけ販売される食べ物や記念品も多い。


いつもは傘の散歩にかかりきりであったが、今年は、祝祭の雰囲気そのものを楽しむ事も出来そうだ。

そう考えてにやりとしたネアは、いっそうにビーズの腕輪に力を入れることにした。

各自の守りがしっかりしていれば、更にのんびりお祭りが楽しめるだろうという邪悪な計画の一端である。




ネアは、今年も沢山のビーズを購入した。



アイザックお勧めの星削りのビーズでは、無色透明に近い淡い檸檬色と水色のものを気に入ってしまい、想定していた色味とは違うものだが購入してしまった。

その変更に合わせて幾つか予定とは違うビーズを買えば、頭の中の完成図は今年もなかなか素晴らしいではないか。


この時期はどこもそうだが、傘祭り用のビーズを購入する際には、男性もしくは女性用の手首の大きさに合わせたトレイにビーズを並べるので、完成図が想像し易くなっている。

アクス商会では、更にそのトレイを乗せる台座の色も選べるので、ネアはリボンの色味に近しい白灰色を事前に頼んでおいた。



「騎士の皆さんのものは、そちらでお揃いにしました。エーダリア様とヒルドさん、ノアのものは少しだけ同じ要素を持たせまして、私とディノは一粒のビーズを除いてお揃いですよ」

「うん…………。お揃いなのだね」

「それとも、気になるビーズがあればそれで作りますので、お揃いではない別のものにしてみます?」

「ネアが虐待する……………」

「解せぬ」



後はリボンを組み合わせる為の結晶石の金具なのだが、今年は淡い水色の煌めきのある湖水水晶を選び、ネアはビーズの腕輪の準備を終えた。




なお、帰り道で市場に寄って念願のキノコ串を探したが、ネアは、まさかの完売に打ちのめされる事になる。


聞けば、販売開始の昨日は、ネアと同じように外出出来ず、慌てて朝から買いに来た領民が多かったようだ。



「……………キノコ串を貪り喰らう所存でしたので、お昼はいらないと言ってきてしまいました」

「あらまぁ、可哀想なことをしたねぇ。昨日の雪のせいか、今日は朝からお客が沢山来て、何本も買い上げる方が多くてね。朝の内に全部売り切れになったんだよ」

「……………むぎゅ」

「ネア、大丈夫かい?」

「……………せ、せめてものキノコ気分に、このキノコを買います。……………ぎゅ」



大雪でキノコな気分のお口を持て余したまま待たされた分、皆の心は荒ぶってしまったようだ。

市場が開くのと同時にキノコ串を求めるお客が押し寄せ、あっという間に完売してしまったという話を聞きながら、ネアは無念さに打ち震えるばかりである。


悲しい思いで売れ残ったキノコなどを購入していると、キノコ屋の女将さんが、奥の肉屋に質のいい鴨肉が入っていることを教えてくれた。


ネアは、震えながらそんな鴨肉も購入させていただき、あまりにもへしゃげているご主人様を危ぶんだディノが、蜂蜜クリームチーズを買い与えてくれたのでそれをむぐむぐといただく。


更に、たいへん優秀な伴侶は、ネアが失意のどん底にあることを、使い魔に伝令してくれたようだ。



呼び出し過ぎだぞと不満そうにしながらも、アルテアは、ネアの買ってきたキノコと鴨肉で、美味しい昼食を作ってくれた。



使い魔は対価としてビーズの腕輪の所望であったので、ネアは、アルテアとウィリアムの分の腕輪の準備をしておいた己の慎重さにも感謝したのであった。


なお、急に呼び出されたからか、ちょっぴり神父風の装いだったアルテアがどこで何をしていたのかは、謎のままである。









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