電脳でドラゴン
一人寂しく牢屋の中に入るのも悪くない選択肢。
でもまあそうまでしてまで生きたいと思える理由はないのだけれどこの限られた自由を享受しようか?おお神よこんな不出来なカセットのデータに自分を連れてまだ困難を与えになるのですか?
目先の生に眩んで輪廻転生を捨て苦難と嫌がらせしかない現代社会の縮図に押し込めて何をしたいのですか?
「ゲームだろ?楽しもうぜ」
本来の目的なんて忘れたさ。ただ戻れるか否か?どうすれば戻れる?んなもん解らずただ用意された答えをなぞっていく。それも難解で途中罠も張られている。現実なら飽きない工夫、もしくは手抜き工事か嫌がらせ。ドラゴンて…バカにしやがって!
ひたすら暗雲立ち込め稲妻が走る…なんとも強敵が現れそうな演出ではないか。火山の洞窟内にドラゴンがいるらしい。ほんのり温かい斜面をゆっくりと登っていく。火山のステージは場所によっては暑さで体力、HPが削られる場所もある。そこまで深部にたどり着かなくても…戦いやすい場所で戦えば良いのだ。
洞窟に入ると所々岩石の割れ目から溶岩が流れ出ている。そのおかげもあってか洞窟内はほんのり明るかった。さて目当てのものを探すとするか…
洞窟内もいくつかのエリアに別れている。何度か無謀な挑戦もし、だいたい地図を買わずにダンジョンの全貌は記憶している。何度か四つん這いで狭い穴を潜り抜けたり岩の段差でロッククライミングしたりしてずんずん突き進む。
「む…」
雷鳴が聞こえ上を見上げた。洞窟だがここは吹き抜けのようになっており天井がなく暗雲と稲妻が確りと確認できた。周りを見渡すと錆びた剣やら骨やらが散乱して中央が地面が少し盛り上がっており干し草が敷き詰められている。
辺りをキョロキョロとうかがい敵を確認する。このエリアは雑魚とかち合う心配はない。ポップ、モンスターが湧いたりしないエリアになる。代わりに何があるのか?このエリアでは特別なアイテムが採取できる。中央の干し草の山をかき分けると赤茶けた色の艶々したものが3つ現れた。
「ギャアギャアギャアギャア!」
「しー!静かに!親が来るでしょーが!」
藁の下からドラゴンパピーが3体現れた。ドラゴンの赤ちゃんだけに小さなドラゴンの出で立ちだが油断してはならない。体力はドラゴンの子どもかと疑うほど低い…それもHP30ほどでアクションのキック数発で殺せてしまう。問題はそこにはなく執念深い親の復讐だ。
卵を持ち帰る、又は子どもを討伐した場合親がエリア移動しても後をしつこく追跡し確実に戦闘になる点。ドラゴンパピーをもし今ここで倒そうものなら親がどこからともなく飛んできて確実にバトルすることとなる。もちろん死ぬ、逃げても見えない雑魚との戦闘になり終わったとたん追い付いたドラゴンとの戦闘で確実に連戦となる。
「ちょっと端詰めてね…うんうん…」
端に居座る僕、違和感でしかない。ドラゴンパピーも外敵と思いきや襲う気配もなくちゃっかり巣に上がり込んだよそ者に親を呼ぶ声を止めなつこく少し噛んでみたり身体をぶつけてくる。痛い痛い、もう少しおとなしくできないのかい。
アイテムからM60VNを選択し設置作業に入る。このM60VNにはバイポッドが標準装備されているがM112トライポッド(三脚)を使うと楽に射撃が可能となる。これを使用すれば1km以上離れた目標でも正確に射撃できる。でも今回は交戦距離が50mと短いけど長時間伏せ撃ちの姿勢なので疲れないように今回は使用する。バイポッドにはたくさんの穴が空いており折り畳まれて密着したバイポッドは冷却フィンの代用にもなっている。
「こらこら!ベルトを引っ張るな!」
「ウーググワー!」
犬がロープを口で咥えて引っ張って遊ぶようにベルトに噛みついて弾丸とリンクがバラバラになって巣の中に飛び散る。やってくれたなガキども!
怒って機嫌を損なうものなら親が出てくるのでここは我慢だ!たかが実弾が散らばっただけだろ、ぶつぶつと独り言が酷くなるがドラゴンパピーを撃ち殺す気持ちを落ち着かせていく…ふぅーはぁー深呼吸…よし、これから戦闘になるんだから冷静にな。
M60VNの設置が終わると吹き抜けの穴から敵がこないか見張りに入る。遊んでくれないとわかるとドラゴンパピーたちはまた眠りに入る。さてこれからが正念場だ。もし失敗すれば自分だけでなくこの場にいるドラゴンパピーも死ぬこととなる…
その時空を切る音が聞こえその音で一斉に子どもたちが起き上がる。親ではない羽音にいち早く気付き起き上がったのだ、ってことはつまりだ…これからこの子たちの敵が現れたわけだ…グリップを握る手に力が入る。敵の侵入経路である穴を見る。空を飛んでやって来たのは青い体毛がびっしりと生えた巨体な蜥蜴。ドラゴンのようにびっしりと鱗に覆われた姿とは違い鳥に近い風貌をしているがこれでもドラゴンの一種。下級ではあるが今の自分にとっては強敵だ。
「ギャアギャアギャアギャア!」
「来やがったな卵泥棒め!」
陣地からM60VNを掃射するもほとんどが弾き返されている。さすがドラゴン、固いな…ほとんどが弾かれて火花を散らしながら違うところへと飛んでいく。LV3 7.62mm貫通弾では貫通どころか弾かれてしまうのか…さすがは元々対人兵器だっただけにあんな化け物を相手は想定してないよね。改良したとしてまともに戦えるわけがない。
「カッカ・ククルスめ!死んで素材になりやがれ!スキル反動減(大)発動!」
銃のブレを無くしフルオートで目標に当て続けるが全くもって効いてる気配がない。弾かれてたらダメージ判定無いからな。ただ足止めには成功してる。
「クォック!クカカカカ!」
「殺らせはせん!殺らせはせんぞ!」
ドドドドドドドッ!銃声だけは派手だが向こうもなれてきたのかじょじょに距離を詰められる。ドシンドシンと接近してくるさまは流石ドラゴン。小便チビりそう、でもここが正念場だ!逃げるわけにはいかない!
「うおおお!マジ勘弁してー(涙)」
カッカ・ククルスはよく知るカッコウって鳥と似たような習性がある。他の上位のドラゴンの卵を食べそして食べた卵に似た卵をその巣に産み落とし立ち去る。残された卵はその巣の親が自分の子どもではないが生まれて全然似てない子どもでも自分の子どもだと思い込み育てる。そうすり替えられても気づかずに自分の子どもと信じて育て上げるのだ。
「ギャアギャアギャアギャア!」
「どんだけ遠くに行ってるんだよバカ親は!長くは持たんぞ!」
次弾を装填し急いで発射!給弾不良にならないように左手で真っ直ぐ弾を送っていく。これだけ弾幕を張れば直に銃身が焼けてしまう。グローブをはめバレル・ロッキング・レバーを上げ銃身を引き抜く。バイポッドとガスシリンダーが付属したままなので重くて重ばるしいちいち伏せ撃ちの姿勢から立ち上がって分解しなければないないしかも銃身交換するためのハンドルがないからグローブが必要になるしその間に巣の近くまで接近してくる。
「クゥーカカカッ!」
「笑ってるように聞こえるな!イラつく!目にもの見せてやるからな動くなや!」
M60VNはほっぽって横に立て掛けてある3つの筒の1つを手にする。M72A2と言って小型軽量なロケットランチャーだ。中に66mmHEATロケット弾が装填され手持ちで唯一ダメージを与えられる武器になる使い捨てがたまに傷だけど…大タル爆弾と同じで高価なくせに使い捨てだが十分な威力を持ったアイテムだ。
「跡形もなく消し飛ばしてやる…もうこの依頼で元とるなんて考えるか!最大火力で確実にぶちのめす!」
借金上等、安全ピンを外しリアカバーとスリングを外す。ランチャーをスライドさせインナーチューブを引き出す、同時に照準機も立ち上がる。後は目標狙ってセイフティー解除しセイフティーを押さえながらトリガーを押す!
「ギャアギャアギャアギャア!」
「クゥーカカカッ!」
「吠え面かけ鳥野郎!」
トリガーを押すとロケット弾が発射されフィンを展開し回転しながら飛んでいく。弾はカッカ・ククルスの左肩に命中、深く刺さり爆裂する。
「ビャーーー!?」
「まだだまだ終わらんよ…」
続けて2度3度と発射する。それぞれ命中し大きな痛手を負わせることに成功した。血を吹き出しながら狂ったように壁に自分を叩きつけている。
HPも4分の1は削っただろう。へへへへ…
「ん?なんか焦げ臭いな…お前たちビビって炎吐き出したのか?」
「ピキッ?」
三匹そろってこっちを見てくるがどいつもブレスを吐いたような形跡はない。でも煙も出てるし…
ドラゴンパピーがレッドドラゴンの子どもだから炎のブレスだって吐けるはず、でも吐いてないのなら何が燃えてる?恐る恐る後ろを振り返ると藁が燃え盛っていた!
「バックブラストまで考えてなかった!」
「ギャアギャアギャアギャア!」
ひえー!ロケットランチャーのバックブラストで後ろは火の海、前は怒り狂って攻撃力の増したカッカ・ククルス!ほほほほこれはいかんですよ。
「いっいそいで次の手だ!」
お次も大がかりなロケットランチャーを取り出し組み立てていく。時間はない、まださっきの攻撃を警戒して近づいてこないが攻撃がこないとわかるとまた突進してくるはず!その前に!なんとしても組み立てなければ!M74ドラゴン対戦車ミサイルを設置する。
背中に背負ったバカでかい筒を下ろし支持二脚を設置しその上に筒を起きポーチから誘導装置を出して筒に設置する。
「まだ止まってとけよ…」
薄々気づいたカッカ・ククルスがまた少しずつ向かってくる。歯からだらしなく血の混ざった唾液がぼとぼとと滴り落ちる。むき出しの歯の大きさからあんなのに噛みつかれたら綺麗に寸断されることでしょう。血走った目がさらに恐怖を孕んで手元が狂う。落ち着けー落ち着け!
砲口カバーを外し照準眼鏡内の十字目盛りにカッカ・ククルスの頭…ではなく正面、胸に照準し発射装置のセイフティーボタンを親指で押し込めグッリプ型のトリガーを力強く握った!
「アバヨッ!」
ドバンッ!
誘導ミサイルが発射され後ろから伸びるワイヤーからテレパシー(誘導信号)を受けて目標に向かっていく。照準眼鏡で常に敵の胸に照準する。目標に当たるその時まで…
「今!」
「ゴアアッ!?」
大きな爆発と飛び散る肉片、白煙に包まれて消える巨体と地面を揺るがす轟音。今までで一番の手応えを感じていた。やっ殺ったのか?恐る恐るM60VNを手にし火炎地獄から耐火性あると思うがドラゴンパピーを…死ぬほど重い…抱き抱えて巣から出すと腰に構えながら煙の向こう側に進んでいく。
「ごほっごほっ!ごほっごほっ!」
前が見えない…てか目が染みる。左手の袖を口に当て前に進むと爪先が何か大きなものにぶつかる硬くそして生き物のような…爪先から視線を上げるとカッカ・ククルスの鼻先を蹴っていた。大量の出血で地面が濡れていた。ふぅ~と息を吐き出す。ひと段落…………くっ!
すぐさま冷静になってM60VNを構え直した。なんであの忌々しいファンファーレが流れない!下級でもドラゴンを倒したならクリアになるはずだ!
その場から離れようとした瞬間!巨体がまた立ち上がった!それと同時に身体を回転させ横から振り抜くように迫った尻尾を避けきれず横腹に当たった。骨が何本か折れる嫌な音、そして軽い身体は飛んで壁に強く激突する。HPがいきなりMAXから瀕死状態まで減るのがわかった。
「あっかっかはっ…」
声がでない、血の泡を吐き出しながら悶絶しながら地面を転がることしかできない。わからないわからないわからないグルグルグルグル頭が回る。転がってるせいだがわけがわからない!痛い、痛すぎるぞ!回復薬を取り出すなんて思考回路には決してならない。痛い以外にわからない!
「ギャアギャアギャアギャア!」
「クルアー!クアー!」
「うっううう…」
三匹はそろって逃げようともせず泣き叫んでいた親を呼び続けている。カッカ・ククルスの意識は自分から三匹に向けられていた。なにしてる…早く逃げろよ!
「ギャアギャアギャアギャア!」
「グルルル…クアッ!」
カッカ・ククルスが大きく口を開き一匹に狙いを澄まし素早く噛みつきにいく。HP30のドラゴンパピーなんか一発で絶命、お陀仏だ。
「やっ止め…」
「グガーッッッ!」
地を揺るがす咆哮、カッカ・ククルスの動きが一瞬で硬直する。曇天の空から赤い巨体が真っ直ぐカッカ・ククルスの上に落ちてきた。カッカ・ククルスより二回りほど大きい。レッドドラゴンとみて間違いない。あの子達の親か、間に合ったのか…元々弱ってはいたがあっという間に八つ裂き、解体され肉片に姿を変える。何の抵抗もできずに今やミンチ肉となっなカッカ・ククルスに少しだが同情してしまった。苦戦してたあの生物はさらに食物連鎖の上のレッドドラゴンによって狩られる。当初はもっと早く到着し僕は無傷で生還が正しいシナリオだ。鬱陶しいファンファーレが今頃頭に流れたことにイラつきを覚えます。
「ひっ!とりまクリア…だな…」
傷ついた身体でその場に五体倒置、もう一歩も動けないぞ…帰りどうする?
ドシンドシン…
「んん?」
目を開いたら目の前にドラゴンが…目玉をギョロつかせ見下ろしている。やっやばい…疑われて当然ですよね…人の巣にまだ異物がいたらそりゃ排除されますよね…
スンスン…フゥー…スンスン…
めっちゃ匂い嗅ぎますね。てかドラゴンパピーが集まってきてまたギャアギャアギャアギャア騒ぎだした。おいおいさっきと若干ニュアンス変わってるがまさか「トドメをさせートドメをさせー」なんて言ってないよね?助けたの一応僕だからねそこんとこよろしく頼みますよ?
「兄ちゃん兄ちゃん死んじゃダメだよ」
……きっと疲れてるんだ。
「助けてくれた助けてくれた好い人」
ドラゴン語が理解できはじめたらもうそんなの人間やめてますやん。ふぅ…優しく食べて。痛くないのがいい、一思いに…うう…
ドラゴンの涙を入手しました。
なんか大粒の雨が降って…え…
ドラゴンの涙を入手しました。ドラゴンの涙を入手しました。ドラゴンの涙を入手しました。ドラゴンの涙を入手しました。ドラゴンの…
頭にアイテム採取した時の効果音が連発する。鬱陶しいんじゃ!あれ?HPが…地味に回復してやがる。
「回復した、全快とまでいかないが…お前の仕業か?」
「グルルル…」
レッドドラゴンの涙が降り注ぎHPが半分になりとりあえず危機は脱した。レッドドラゴンからは敵として認識されてないつまり後は帰るだけ。また逃走劇が始まるなんてこともなかった。助かったがそれにしても…
「あーあどうするよ依頼…こっこんな…ひぃ!」
カッカ・ククルスのトドメはもちろんレッドドラゴンによるもので剥ぎ取ろうとしたものの剥ぎ取れない。逆だったら今回のドラゴンを自分がトドメをさした!ってことでクリアだが…これだと…どうなるの?なにがなんでも剥ぎ取りたいが…
スカッスカッ…
通り抜ける。剥ぎ取れねぇー証拠がないー!どうしようか途方に暮れるがドラゴンパピーがついばむ内臓にあるものが浮かんでいた。それをM60VNで乱射する。膜のようなものが敗れ中から黄色い液体が流れだし球体がゴロゴロ出てきた。こっこれはまさか…
「カッカ・ククルスの卵か!」
卵…でもこれでもドラゴンだ。卵が先かドラゴンが先か。M60VNを乱射し卵を砕いていくおっおおこれは!剥ぎ取れそう!剥ぎ取れ剥ぎ取れ!
剥ぎ取り剥ぎ取り♪
「おっおうこれは!」
未熟な青鱗を入手しました。
………やっ!やったぞー!死体の親から卵の素材が取れたぞー!だいぶグレードは落ちたけど取れたよ!黄色い体液でネトネトした小さな鱗が1枚だけ奇跡的に剥ぎ取れた。後はうまくいかなかったがとりあえず証ゲット!
「ほげっ」
疲れが出たのか足に力が入らない。へへでもこれでクリアだー!汚い鱗を空にかざす。うん汚い。
汚物、もうやってることが汚い。
「グルグルグルグル」
○乗る
「なんだ、なぞアイコンが前に」
■乗る
乗るを選択するとなぜかレッドドラゴンの背中に瞬間移動する。するとレッドドラゴンは急に浮かび上がり飛んでいく。
「おっおお…高い…落ちたら死ぬなこりゃ…てかこんなドラゴンの背中でエリア移動できるのか…下の雑魚との戦闘もこれでなし」
なんということでしょうショートカットされてモンスター不可侵地点キャンプの隣のエリアまでレッドドラゴンが運んでくれた。これで帰る途中に死んだ事故がなくなった。やった!本当にもう帰るだけ!
「ありがとうー!ありがとうー!」
そしてドラゴンは元いた巣に帰っていった。最後まで姿が見えなくなるまで手を降っていた。ふう疲れた。今回の依頼、火山の子竜は渦中…
「クリアだー!そして修行達成!」
もう当分仕事しない。部屋からでない、そう心に誓った。
依頼:火山の子竜は渦中
☆依頼者
フードで身を隠す怪しい女性
☆場所
火山
☆依頼内容
私が留守の間可愛い我が子…こほん!ドラゴンの赤ちゃん、ドラゴンパピー3体を見ててもらいたいの。最近物騒でしょ?カッカ・ククルスが火山に現れたって聞くし…とりあえず親が戻るまで子守りを…こほん!観察をよろしくお願いします。




