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NOフリー 電脳で遊べる  作者: ふじひろ
1.トンネル
7/12

電脳で達成

この世界に楽しいお遊戯会がしたくてここにいるんじゃないんだけどね。分解結合が終わるとメニューのポーチに直す、そしてM29リボルバーを選択、装備するここで異変に気づいたグレイはマリアを突き飛ばした。


「逃げろ!」


身代わりになるようにわざわざ銃口に身を乗り出すグレイに44マグナムを6発全弾叩き込む。魔力付与もされてないただの弾丸なら例え生身の人間なら1発で致命傷の44マグナムでもこのゲームの世界ならたいしたダメージにもならない。現に瀕死までHPを削れても殺せはしない。


「ど…どうして?なっなぜグレイを…」


「早く逃げてください!遠くへ!早ーく!」


照準をわざとらしくゆっくりマリアの頭に合わせる。青ざめた彼女の顔。今僕はどんな顔をしているのかな?そうはさせないぞグレイが腰にしがみつき時間を稼ぐため瀕死の身体で抵抗を続ける。事態が飲み込めないマリアはその場に座り尽くすもグレイの罵声を二度三度、浴びせられて発狂したように地べた這いずりながら半狂乱のマリアは急勾配の向こう側に消えた。


「あっああ…うあああああああ!」


残されたのは二人だけ、もうマリアはこの際依頼達成の邪魔にならないようにそのままどっかに行ってくれたら助かる。


「どういうつもりだ!狙いはノアの箱庭…」


「おっとっと、暑苦しいのはごめんだ。演技は結構、十分見せてもらったよ」


「演技だと!?」


グレイを力ずくで取り払い埃を払う。悪いが何度もここまでは普通にクリアしている。そっちの事情も少なからず理解している。


「君が最後の一人だ、閉じ方は知っているってこっちが言い出した時からこうなることは知ってたんじゃないか?同じ人形の一人ならノアの箱庭を閉じるなら中の人形を停止させれば不具合を起こして初期化、つまりノアの箱庭が閉じることは知ってるはずだ」


グレイはモンスターが侵入してきたのも人形の行動の上書きのことも全部仕組んだのかと聞いてきた。


「…100年前、マリアの祖父に当たる人が出した依頼、100年間誰も閉じること、このノアの箱庭の世界に干渉すらできなかったのに…少年、君が最初の一人だ」


「子孫がやっとノアの箱庭から出られる。死んだマリアの祖父も報われるだろう」


グレイは止めをさせと言ってきた。言われなくてもそのつもりだ。マリアを100年ぶりのシャバに解き放つ時が来た。浦島太郎と同じ100年の月日が流れた世界にマリアは生きていかなければならない。でも手伝わんよ、親愛度上がったら死にますもんあなた!革命起こされて!


「あばよ人形」


「ありがとう夢の無い人間」


次弾装填から撃鉄を起こし、引き金を絞る。ハンマーが雷官を叩いて火薬に火がつく。薬莢内部の圧力が高まり弾頭が発射され銃口内のライフリンングを通って目標までの直線を回転しながら飛んでいく。グレイに当たった時、対象モンスターを討伐した時のクエストクリア音が頭に流れる。


クエストクリアと目線の先にデカデカと現れる。それは手を伸ばしても霧のようにすり抜ける。ゲーム的演出だ。この頭に響く鬱陶しいファンファーレも全部胸くそ悪い。


「ゲームだろうと人間を射つのは気が引ける。まあ作り物の世界の作り物の人間だがそれでも…」


何度諦めて逃げたしたか。クリアしないと先に進めないがな。クリアしてもセーブされてなければまた最初からやり直しだからな。


「考えてもしょうがない…か」


ノアの箱庭が壊れて霧散する。空間の亀裂が拡がり砕け散った先は変わらず森の中だった。マップを拡げてクエスト達成してノアの箱庭から出られたか確認する。


時忘れの森 南西


間違いない出られた~長かった。1週間はかかったぞ。間違いなく!長いため息の後どっと疲れがやって来た。M29をしまい職業が格闘家に戻る。

マップを拡げながら念じると地図上の自分のいる位置が効果音とともに信号を発信する。サインと呼ばれるもので仲間に自分の位置を地図上のどこにいるか報せるためにあるものだ。念じるとなぜかできてしまうサイン昨日。モンスターは感じ取れないのに仲間にはわかるとは不思議な…突っ込んではいけないか。


水色の髪、蝶のような羽を持つ手のひら大の小人がふよふよと飛んで来る。


「遅くなったナビ子」


「3日オーバーじゃボケェ~その間モンスターに追われ続けては逃げ隠れしたこの1週間どんな思いで過ごしてたか!」


姑かよ、妖精は肩に止まると耳を引っ張ったり頬をペチペチ叩いてくるが苦笑いするだけで本人の好きにさせておく。ダメージないし、モンスターに狩られることはシステム上は無いだろうが変に現実が混ざってるから油断はできない。


「通常の依頼だったらタイムオーバーで強制的に街に戻るだろうが今回時間の縛りが無かったから採取もたんまりできたろ?」


「今回は分業とか言ってたのは素材が狙いか~ふんっ!まぁいいわ!街についたら報酬画面に採取した一部を載せとくから」


「あざーす」


「感謝しなさい!そして休みをたんまり寄越しなさい!やっと…やっとよ?平穏に眠れる!」


ご苦労様と言いたい。さて戻る前に確認だけしていこうか。ナビ子の苦労話は後でお涙頂戴するとして心配事の確認を。


「ちょちょっと!どこ行く気!まだこれ以上なにするってよのさ!依頼は達成したんでしょ?一分一秒でも早くダンジョンから抜けて街に戻りましょうよ!」


「それもそうなんだけど何事もケアって大事だろ?」


キーキー声で騒ぐヒステリック妖精は置いといて彼女を探す。谷から下を見渡せるところに立ってそこから一望すると人だかり、馬と武装した人間が何人か…冑はしておらず長い髪と胴が若干膨らみのあるデザインの甲冑から察するに…数人の女騎士に囲まれて憔悴したマリアが毛布に巻かれて保護されていた。ここはストーリーが改変されてなかったか。安心した、ならあの集団はクリスティーナ女学園の騎士候補生だろう。マリアも保護されそこの学生になるはず…


「クリスティーナ女学園の上級生よ、なんか2、3日前からうろちょろしてた。なによ?絡まれたら厄介だから早くおいとましましょ」


「そうだな、帰ろう」


帰る途中で初期化中のノアの箱庭を見つけた。なんの変哲もないオルゴールだがそれをポーチから大樽爆弾を3つしかけ爆発範囲の外から石ころを投げ込んだ。大爆発の末、オルゴールがあった地点は焼け焦げてオルゴールは消し飛んだ。


「依頼はこれで達成でしょ!あの騎士候補生が来る前においとましましょ!」


「ああそうしよう…」


これでキークエを何とかクリアしてみせたのだ。

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