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NOフリー 電脳で遊べる  作者: ふじひろ
1.トンネル
3/12

電脳で開始

こそこそ…


野生のモンスターが闊歩するフィールドをそろそろと歩く、気づいたのだが強敵や集団で固まるめんどくさい敵は突然現れるわけではなくフィールドに表示されて確認できる。だから隠れながらバレないようにしていればやり過ごせることができるのだが…問題はフィールドに表示されない突然現れる雑魚敵だ。何もない空間から敵が現れ強制的に戦闘になる(雑魚でもLV30越えとか普通)


森林がどれほど危険か、見通しが悪すぎる。雑魚敵の強襲もだが強敵の出現にこちらが気づかないからだ。向こうは待ち構えている、それがどこにいるのかこちらはまったくわからない。シャドウでも不意討ちをされ先制を逃せば死ぬことは必死だ。モンスターのLVがどの程度がでるのか、始まりのステージでもLV30台は普通に出たからな。ゲームバランス無視は実に恐ろしい。挙動一つ一つに細心の注意が必要だ。もうチュートリアルから外れた行動しているぶん何が起こるかわからない。予習が意味をなさない。


「ナビ子の位置が大まかだが設定画面の地図に出ている。色からしてまだ死んではないな」


カラスに拐われ今どんな状況かわからない案内人の安否、しょせんはゲームキャラだ。データのみの存在だろうが僕は違うぞ、生身だ。モンスターのようにHPが0で死んだらそこで全てが終わるんだ。でもだ、この世界で生きるそして現実の世界に帰るにはそのゲームの世界の住人の手を借りなければならない。そのためには多少の危険に足を突っ込むことも、迷わない!


自分の背丈を越える笹のような植物をかき分けて前へ前へと進む。足下は泥濘、運動靴は汗と泥水でぐちゃぐちゃと音をたてて足裏に気持ちの悪い感触を残す。脱ぐのも嫌だこのままずっと脱ぐことも忘れて歩いてたい。止まった時が心がやられる時だ。腐って脆くなった倒木を足で踏みながら歩く。バキバキとこぎみいい音がなる。そこで相手に気取られたのだろう。泥濘によろめき何かを思わず掴む。それは間違いなく生物のような感触で身体が総毛立った。汗が止まらない、顔もあげられない。間違いない最初から見えている敵は強敵つまり…


「シャドウ…」


いきなり視野が暗くなった。何が起こったか考える前に深い眠りに落ちるように全ての意識が飛んでいく。暗くなった世界が明るくなった時に全てを悟った。












gameover コンティニューしますか?


「はい」・いいえ











「■」・「いいえ」

















草原に一人、クローバーをくわえ気だるそうな目で地平線を眺める男、常人なら動くこともままならない甲冑に身を包みじっと何もない一点ばかりを見つめる。きらびやかな甲冑や剣には無縁とばかりに使い込まれて血で錆が浮いた鎧とメッキの剥げた両手剣を腰に下げている。歴戦の猛者と言うにふさわしい中年の男。


「グレイどうしたの?もう休憩も終わる時間なんだけど、そろそろ部隊を動かすから早く用意してもらえる?」


うってかわり綺羅びやかさが表に出てる女騎士、

金色の艶やかな髪をなびかせ男の横に並び立つ。草原を撫でた風は同じように彼女の髪を波立たせた。右手で前髪をかき上げる、整った顔があらわになる。街中でスレ違えば100人が100人振り返るほどの美貌だ。綺麗、美しい…彫刻のように作られたような完璧な顔。あの顔で笑顔をみせられたら惚れない男はいないだろう。キリッとした表情をみせる彼女に男は一筋の汗をかく。


「この先に化け物がいる、情けない話だがブルッちまって一歩も動けない」


微塵もそんな表情ではないにしろ冷や汗をかく男を初めてみたのか、女騎士は生唾を飲み込んだ。

「王国最強の護衛騎士」が歴戦の猛者が恐れるものは?オーガか?はたまたビッグボアか、どちらもこの近辺にはよく見られるが彼が恐れるとは考えられない。


「モンスターですか?あなたが恐れるとは…考えられないのだけどここは兵を退かせたほうが得策なのですか?ちょっと!」


打開案をあれこれ考える彼女を無視し男は構わず前に進む、確かめずにはいられない、恐怖心が好奇心に塗り変わる。そんな彼の心情の変化を知ってか知らずか待機命令を出したまま部下を置いてきぼりにして女騎士は男に追いかけた。


「一人で無茶するつもりですか!?直感のスキルで危険と判断したなら即座に引き返して…」


「モンスターじゃない、人間だ。ずっと人殺ししてたらわかる。こんな気配は初めてだ…化け物、と形容するにふさわしい…」


「人だ」


歩く先にゴマ粒みたいな影が、じょじょに近づくとそれはあぐらをかく人間だとわかる。背中を向けてうつらうつらと昼寝の最中らしい。黒髪に小汚ないシャツと半ズボンに木靴、みすぼらしい村の少年のようだ。ほっそりとした外見、この国には珍しい茶髪ではなく黒髪。きっと難民だろうと女騎士は決めつけた。男の勘違いだったかとほっと胸を撫で下ろす。


「…間違いない奴だ」


「何がですか?ほら、いちいち難民に気をかけてたらきりがない。当初の目的を果たすべきです立ち止まってないで先を急ぎましょう」


「噂の出所にたどりついたな無頼の喧嘩師とみて間違いない。懐柔は諦めるか」


「嘘でしょ!?あの小汚ないガキが?あなたもついに焼きが回ったってことね!」


男は嬉々として少年に近づく、悪意のない顔だ。

また何度目だ、追い払っても追い払っても未来は同じなのか…ゆっくりと振り返りながら立ち上がる。今日は山賊ではなく騎士団がお出ましか。


「何度モンスターと村を襲う山賊を潰したらこの騎士団イベント発生だっけ?そうだ…8回だ。8回過ぎたってことだな」


少年は固く拳を握った。まだリセマラの範囲内だから相手の言動が全て読める。この先の展開も、

予習と身をもって体験した実体験から得られた情報だ。ベストな選択を試す、リセマラも随分目処がたった。今日から先へ進むか、どうしても乗り越えられない壁まで。


「君を騎士団に引き込むか牢屋に入れるか悩んでるがどちらがいい?」


知った質問だ、知った顔だ。そしてこれからだうなるか、ゲームならこっちがしゃべるコメントは自動的に表示されてプレイヤーはただボタンをポチポチするだけで済む話だがこの世界では自分の言葉一つで無限に選択肢が広がったりする。ここはきちんとはっきりと答える。


「それ以外の選択肢をつくりゃいい」


メニュー画面から装備を選択する。この間は時間も全て止まる無敵時間、装備は頭、胴、腕、腰と足に分類されているが今の最高の装備でもオークの鉄兜、首領の大猪鎧、オーガの腰布とどれも低レベルのドロップ品ばかり、ただ装備の中には身につける防具の他に別枠としてお守りと言うものがある。つけていれば付与されたスキルのポイントを上げるものである。たとえば攻撃力(小)がお守りの力で攻撃力(中)になったりする。スキル発動には付与されたスキルと合わせないと効果が発動しないが。


とりあえず装備なしの回避行動+2を選択する。武器はもちろんなし、一通り試したが不器用さがここで裏目にでたな。技の組み合わせも考え発動できる技もここで選択する。これで準備よしだ。



「手間はかけないさ」


男の姿が消える、次の瞬間には目の前にいる。最初はわからなかったさ、目にも止まらぬ俊足で相手に近づき心臓ブスりで即死させるこの技。けどないくら速くても一芸なんだよ。


先制してこちらも何もない空間にシャドウで殴るすると敵の方から間合いに入る。身体をよじることで剣は避け、こちらの攻撃は確かに相手に届くレベル差を考えたならこの男、グレイとは短期決戦を挑むのが最善、なんせレベル差は20、グレイが29としたらこっちは9だ。まだ一桁、レベルが上がりにくいにもほどがあるだろ。レベル30の敵とか倒してもなんで上がらないのと言いたくなるがもういい、これからはそれを覆す。


必殺の一撃をかわされ、そのまま後ろへ数歩歩いたところで倒れた。状態異常気絶だ、部位によっては一撃で会心の一撃が発動して相手を気絶状態にさせることもできる。


「うっ…嘘、こんなことが…」


うろたえる女騎士、目の前で頼りの仲間が一撃で倒されたのだから。みすぼらしい村のガキに、運とかまぐれでないのは理解してる、混乱してしまう。素手で王国最強の護衛騎士をのしてしまったから。


「「こっこんなこ汚いガキなんかに!」か?」


「!」


「次のセリフはこうだ「うっ嘘よこんなのありえない!」だろ?」


女騎士は慌てて口をおさえる。ズバリなにからなにまでこっちはしってんだ。今度は激昂して剣抜いてむかってくるんだろ?女騎士は予想通り手を腰の剣にまわす。そして抜くと同時に走って向かってくる。そこで迷わずキックを発動させる。足は剣に直撃、ダメージとなって相手に与える。先制すれば武器ではなく体の一部として扱われるそして自分の身体は武器として扱われる。何度も戦ってわかったことがある。道具の耐久力ってのがあって一撃でその耐久力を越えると道具は壊れるんだ。そして超過分はそのままダメージになる。


ポッキリと小枝のように真っ二つに折れる。女騎士はぽかーんと大きな口を開いてヨタヨタと数歩後ろに下がると急に力が抜けたのかその場にへたりこんでしまった。何度も折れた剣と僕の顔を交互に目を落とす。これ以上びびらす必要もない、

本当のイベントクリアにはグレイと戦ってグレイに実力を認めてもらい一緒にお城まで連れていってもらうのだが…


「できればもう会いたくはない、これにこりたら静かに過ごさせてほしい…他に何も望まないからどうか…マリア」


くるっと背中を向けて歩く、後ろにいるであろう

彼女に手を降る。できればもう会いたくはないがこの世界のストーリーはそれを許さないだろう。

悲惨悲劇が押し寄せる、盛り込まれてるこのゲームの世界では…


「どうして私の…名を」


唖然とする彼女だがはっと我に返るとぐっと拳を固め地面に向かって打ち付ける。その表情は悔しさと恥辱でぐしゃぐしゃになっていた。次会ったときは間違いなく殺すことだろうと覚悟を胸に誓うのだった。




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