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NOフリー 電脳で遊べる  作者: ふじひろ
2.ドア
11/12

電脳で遭難

『Yes』

















土の冷たさに目が覚めた。

濡れた腐葉土、最後の景色とは随分変わってしまっている。頭を抑え、ゆっくりと立ち上がる。


「痛てっ!?」


咄嗟に膝を抑える。出血はないが酷く痛む、折れてはいないようだが…打ち付けた覚えが…痛む膝を抑え頭をあげて周囲を見渡す。霧が濃く、木が乱立している。ああ、今森の中に立っている。


一つ一つ思い返していこう。最後の記憶はそうだ仕事に…仕事?そう、森の中?にいるのはおかしい。バイクに乗って走っていた、そうだ。


辺りにはバイクはないし、そもそもアスファルトの地面などどこにもない。事故して道から放り出された?通勤途中でこんな森などなかったはずだ。


足を引きずりながら近くの木にもたれかかる。どこまで覚えている?そう家からでて会社には到着は…していなかったはずだ。つまり足の怪我からして事故にあった説が自分の中で有効性がある。


「寒い…」


1人孤独に嘆くが人の気配もなく誰もこの男性を助けるものは現れそうにもない。通勤路は人通りの多い道しか通らずこうして誰にも会わないことこそおかしい。普段とは知らない場所に…そういきなり移動したとしか思えなかった。


状況がわからない怖い…思い出せば思い出すほど今の自分の置かれた状況と食い違い混乱する、謎が謎を呼ぶ展開だ。


携帯は!?確かリュックの中。そのリュックは?そう言えば身につけていない。公衆電話?そんなものあるはずがない。


「それにしても道がないしどうしてこの場所にいるのだろう?」


どこかから転げ落ちたとは考えにくい。霧が濃いとはいえ辺りに落ちるような場所もなく自分が今いる場所も傾斜なんてない。


「道はないのにどうして…考えるのは止そう、説明なんてつきっこないさ」


幸いにして夜ではないし、暗いが進めない訳じゃない。視界も悪いし怪我のこともある、ゆっくりだが人目の多い場所を目指して助けてもらうべきだ。一つずつでも今やるべきことを片付けよう。


腰を上げ、木を支えにしながら闇雲に歩いていく山で遭難したなら山頂を目指せとか、沢を見つけて沢づたいに下ればいいとか聞いたことがあるきが…どうも人間は死にかけるとあることないこと色々思い出してしまうものらしい。


「今の自分の顔は…ハァハァ…絶対に酷い顔してるにウグァ…違いない!」


横倒しになった大木、朽ちて折れたのだろう。進行方向を塞がれたら回り道をするもんだ。しかしこの辺りからなぜか木が全て倒れている。引き返せばいい?引き返しても何もなかったしな、怪我した膝に鞭打つように指を引っかけ上体を起こす。なーにそれをあと数十回こなせばいいだけだアハハ…うん、アハハ…


「最初の一回でこれだけ体力使ったんだぞ?無理だろ、見積もり甘いぞ自分」


さて、木上に座り込みながらまた降りてまた登ってを繰り返し、先に進む。はたしてそれは正しい選択でしょうか?違うだろ、もし大木が折り重なってる部分が崩れて転がってきたら?1tとか重さがあればどうする?正直何キロだろうが丸太が転がり潰されれば死ぬことに変わりがなさそうなほど大きい。そんなデメリットだらけの酷道を進むべきでしょうか?


「失敗だったか、もっと早くに気づいたらな…」


違うんだ。最初からそうじゃないかなーとは思ってた。それでもこれくらい余裕と登ってみたんだそしたらどうだ、辛くなるにつれて諦める理由が頭の大部分を締め始めたってだけだ。


パキッ


音がした方向を振り向く。もしかして悪い予感的中?丸太が一斉崩壊あり得る!?しかしだがリズミカルな音に変わっていく。そう、一定のテンポで音がする。そしてその音が近づいてくる、霧の向こう側に何者かの気配を感じてしまう。


引っかけ登ってまた引っかけて、一つの動作を繰り返しそれがいくつも重なって聞こえる。


目を見張った、前ばかりに気をとられていた。音はする、するんだが…次に見たものは強い衝撃と自分の胸を突き破って出てきた鋭いなにか。


(あ、れ?)


生き物の一部であること、それが自分の血で赤く染まっていること。頭が理解するには十分なほどの鋭い痛みが一拍置いて頭に届く。ゆっくりと宙に浮く身体に頭は痛み以外に奇妙なものを思い起こさせた。ゆっくり顔を上げた、前ではなく頭上にそいつの頭らしきものが。


(こいつを知っている。どうして今まで忘れられていたのだろう)


死後の世界があるのなら前世と同じ死に方をしてしまったわけだ。なぜ認めることができなかったのだろう。あの日もこうして食べられたじゃないか。


(神様、あんまりでしょう。同じ苦しみをまた自分に与えるなんて)


身体は熱を失い感覚がなく空中にだらんと投げ出されたまま機能を失っていく。視野は色を失い真っ白に音は遠くに、そう遠ざかっていく。


虫けらに遠く及ばないなんて

眠りに落ちるように何かが落ちた、感覚だけがあった。落命、うん一度味わった感覚だけに説明できる、身体から何か意識が抜け落ち眠りに近いコントロールの効かない状態になること。

2度目の死を経験したんだ。



















「周辺を荒らし回ったのはやはり」


「マンティス系の亜種でしょうね」


調査に訪れたとあるギルドのエリートたちは口を揃えてこう言った。


「突然変異か、それにしてもここまでするほどに巨大化した例は今までにない」


「自然発生以外の、人為的な要因も視野にいれて調査が必要ですね」


凶悪なモンスターから人民と国土、財産を守るために捕縛、討伐、調査を主任務とするハンターと言う職業。そのハンターが多数在籍し店として国に許可されたものがハンターギルド。

この土地はもともと木材となる木を植えた、自然林に密接する人工林。なんの境界線もなくモンスターがたびたび入り込むのだが人や家畜を襲う危険度の高いモンスターは確認されていない場所だった。にもかかわらず前日より入った情報にハンターギルドは事態を重く見て国家公務員職のハンターになるギルドナイトに救援要請、今回の調査が回ってきた。

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