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NOフリー 電脳で遊べる  作者: ふじひろ
1.トンネル
10/12

電脳でお引っ越し

「ちょっと!どこ行く訳?」


ナビ子を置いて三千里とは行かないよな。無駄に色んな街に行けるようでこのゲーム。訓練生が終われば次のステージ、次の拠点へと進むことができる。居座ってもよかったし正直その方が賢い。


「仕事探しさ、無職だろ?」


「だったらあのまま…」


「細々と目立たずに…かつ上位を狙うなら過疎が進んでるとこが良い。良くも悪くも利便性が良すぎたんだ。もっと田舎から始めよう」


メチャクチャ唾はいてくるな!女子である自覚皆無か!唾避けもなくただなすがままなのも自分への戒め、としておこうか。


「お世話になった道場も見向きもせずまたダンジョンまでの危険な道のりを一人で!あり得なくない!?」


無くもないんじゃない?用がなければ行くこともないし正直介護いらないボケたふり老人とか?妙に勘の良い友人とか?(やぎちゃん)足しげく通ってあの道場紹介してくれたお姉さんとか?どうもあの道場強制入門からやっと逃れられ、さらに裏スキルもあの無茶ぶり依頼達成のおかげで身に付いたわけだし?もう思い出したくもない。逆にお世話になったんじゃない。仕向けられたといった方がここのとこ正しい。


「息苦しかったしな…これで監視の目もなく次に行ける」


「次?次ってなによ!いつ出会うやも知れぬモンスターに狩られることか!あん!?」


もうやだーこいつうるさい。やっと初心者登竜門から秘伝スキルを会得し次の専門職手学校への道も蹴ったんだぞ?ギルドにも属さず一人、最高にかっこよくてそれでいて自由だ。


「仕事だけが目的じゃないでしょ」


「仕事よ!金よ!どうやって明日から飯食っていくと思ってるわけ!」


ヒステリックに叫ぶ彼女はきっと自分の心配より自己の保全に躍起なんだ。僕からは離れられない可哀想な運命だからね、こっちとしても心中してもらおうなんて思ってもないが僕が消えることは彼女の存在意義も無くなる。


「もしこの身になにかあれば一人助かってくれたらいい。瀕死の僕を捨て置いても決して君を恨むまいよ。むしろここまで付き合わしたのだから当然だ」


「い・や・よ」


「ちっ」


どうあがいても鬱陶しく飛び回る蝿は僕を一人にはしたくないのか。このプログラミング(呪縛)は相当因果なものらしい。


「本当に一人好きね」


「基本喋りかけないでいてほしいしむしろ側にいないでほしい。一人がいいのにまったく」


不機嫌な彼女はどこか寂しげだ。何が彼女をそこまで孤独にさせているのかは僕が原因。だが素で容赦なくナビ子が嫌いと言うわけではないが、どこか遠くに行ってほしい。これは恨み辛みから来るものでは決してないと言い切れるが本当に疎ましい存在として僕は認識している。


「怒った?邪険に扱わないで…ね?」


猫なで声はもうたくさんだ。何度かは放置してみるなど一人になる努力はしたが何の力か戻ってきやがる。貴方を一人にはさせない…歯の浮くような台詞をいけしゃーしゃーとほざくあの口!たかがゲームのキャラか僕の幻想に過ぎないくせに心配する振りをする。糸と針があるなら縫い付けてやる。検討しとこうか…


「何度も言う、さっさと消えてほしい。これが本心だ。お節介なんて必要ないゲームのキャラのくせしてよ」


キツく当たっても決してへこたれないその鋼の精神を是非とも分けてほしいもんだ。現実を知ってる僕としてはこの世界の住人とは反りが会わない。どこまでも矛盾が僕に行き当たりその都度戻りたいと思う。それすら甘えと言うなら死ぬことをせめて許してほしい。


「真面目な空気になるの嫌ーこっちとしても何度も言うようにゲームとか?わかんないしなにそれ?避ける理由ならもっとましな言い訳考えてよこっちとしても納得できない」


納得できないからいるのか?違うだろ。言い訳が多いのはそっちかもな…すらすらとまあよくそれだけ言えたもんだ。付きまとわないでほしいのになんでか言い訳だけが上手になるもんだ。


足を止めて言う話でもないか。でもはっきりさせたい。君を置いて行く訳になるなら早かれ遅かれ離れ離れになる。今、離れてもいいだろ?なら。


「はぐらかすのがお上手になって」


「そっちこそ、理由もなく嫌って遠ざけようとして!」


「理由ならあるだろ?本気で言ってる?なら…」


「あーあーあー聞きたくなーい」


耳を防いでそっぽ向く君の横顔を見て無性に罪悪感と殺意が沸いたよ。比率1対9で叩き潰したいが残念だ。ここは戦闘画面がでないよ、なんでかな?


殺意のこもった目で睨み付けているとまた寂しげな顔でこちらを見てくる。なんだよ、被害者気取りか?被害者だとしてこちらはなにも補償はしないよ。


「約束、覚えてない?」


毎回この下りだ。結論を出さずして謎の記憶喪失なんでしょ?混乱するのも無理ないわみたいな哀れむオチ!1つ言わしてもらう。僕がログインするまでどんな関係だったか知らんが今は白紙だと言うことをお忘れなきよう…てか別人な?故に守る義理などもうとうないよその謎約束。


「だから記憶違いだろ赤の他人様」


「私だけは永遠に側にいる、例え世界の終わりが来たとしても」


意味深だな、このゲームラスボスを倒してシナリオを完結させても戻れないと言われてるようだ。

(ここを告白だなと捉えない辺り僕の孤独で味気ない人生だったことが伺える)


「何にせよ勝手にさせてもらうからな」


「なら勝手に付いていくから」


ふんっと鼻をならすと先に進んでいく。不思議と今日、ド田舎の依頼を受けられるクエストボードがある村までの道のりで二人の会話を遮るような戦闘が起こらなかった。モンスターが出ない、空気を呼んだ意外な…そりゃないか。運営がめんどくさがってモンスターを配置してないに違いない。


















日課は草むしりから始まる。仕事だけどな?草むしり=雑草ではないよ。見た目完全雑草と大差ないがこれは薬草。田舎に需要ある依頼とはせいぜい採取クエスト、ああなんて素晴らしいんでしょうこの殺伐としてない素晴らしい狩場ダンジョンのことな血を見ることなんて…あるにはあったは。クソ運営め、採取クエストでなぜ容赦なく命を狙ってくるのか。そこエキサイティングさせてどうするよ、スローライフカムバック。


「即死草…毒だよな」


「そのままでは食べられないから。加工するなりなんなら調合でその毒素を利用して…」


メニュー→所持品→アイテム→即死草(選択)→捨てる→はい(^o^)


「聞いといて、話は最後まで聞こーかー」


「外道に用などない。物騒な名前通りだな一目でわかるからいいよね、見た目もあれだし」


例に出してキノコとか種類多すぎるけど毒ある系は名前からしてわかるし見た目も完全アウトなわけでそこら辺仕事してくれた運営に感謝。合掌。


ゲームの花形はやはり戦闘、こんな採取クエストなんてもはや適当に作られているな。適当に作られているからバランス崩壊するようなモンスターも野放しにされているが適当なので行動パターンができてしまっている。姿見せずして遠目から見て鎮座してる敵発見、スルーして別ルートへみたいな戦闘を避けやすくなっております。村人もあんなモンスター出るんじゃ依頼するよな。


最初はよそ者、しかも若者なので激しく警戒されました。何の犯罪しでかしたみたいな、別に夜逃げしてきた訳じゃない。監視の目と勧誘から逃げてきたのだ。まあ置いといて着々と信頼を得つつ微妙にレベルを上げて素材を集めながら小銭も稼いでその日暮らしを堪能している。いやー誰かの目線を気にせず自分のペースで仕事できるのなんて素晴らしいんでしょう!もうモンスター倒さずこれでいいよ。これで!ハッピーライフってな。


午前中で依頼の達成量まで確保し村の役場で薬草を提出し報酬を受けとる。ギルドとは同じ職業の集まり。この村役場みたいなのもギルドの1つだろうけど老人ばっか依頼を受けとる。定年退職したあとのシルバー雇用専門にやってるみたいだ。若者は僕のみ!田舎の手抜きにより老人しかいない。この世界の田舎全て老人キャラしかいないよおそらく。運営仕事してないから。住んでる住居も皆同じ。てか余分な家が無いから借りることも買うこともできぬ!


なので廃墟に住み着いてます。ボロ屋です、ええけどボロボロの家の敷地にまだ傷んでない馬小屋と言うか小屋があるのでそこを住居にしている。運営仕事してないから家は廃墟感をだすためにボロボロにするが同じ敷地の小屋まではしていないから新築レベルで綺麗です。運営に感謝。合掌。


家賃も払わずに借りれましたよ。役場に問い合わせたら好きに使っても良いとお達しが出たので何とか人が住めるくらいに改築を始めた。お風呂とかトイレとかはボロ屋にあったのを近所の大工さんに来てもらい直してもらい台所は新しく小屋に作ってもらった。ありがとうね大将のおじいちゃん手伝えって言われて手伝って多少費用も安くしてくれて。こうしてとりあえず住める場所を手に入れ午前中は働き、午後はリフォームに力を入れています。こんな暮らし、憧れだわ。危機とは無縁のほのぼの暮らし、日光も暖かく…ええわー


「とりあえず庭の雑草刈って集めといた」


「こっちも川から上水引いてきてボロ屋の方もこれで水道が使える」


庭の井戸もまた時間があれば様子をみるか、水が湧いてりゃ腐ってるなんてことはないよな?そこまでリアルなのか?水で当たって寝込んだら色々生活に支障が出る。


「もう日が暮れる、その前に夕飯の用意しないとね?明るい内に」


「風呂にお湯貯めてくるか」


二人で分担しこの気ままに暮らして行くのも悪くない。風呂とトイレは遠いがなれてしまえば問題ない。日が暮れればさっさと就寝。と言っても小屋の方も照明器具もなく家具もない殺風景だ。台所がある他はもとからここにあったガラクタや木箱が片づける時間もないから放置してあるだけ。寝床と言ってもこれまたわらが積まれているだけのもの。てか壁が確りしてるしこれだけでも冬がくるまではこれでも十分さ。必要なものは買い足せばいいし。不便だがそれなりに満足な生活だ。


でも翌日、ある問題にぶち当たる。


「必要経費もバカにならないし転職したら?」


「自分に合う合わないがあるの!もっと吟味して決めなきゃ即断即決できるもんじゃないの」


職業は無職…まぁ仕事はしてるけど今の状態を言葉に現せない。無頼の喧嘩師の称号を得て格闘家になるか!?ってそうでもないしむしろあれはアクション、格闘家じゃなくてヒーラーとかでも出来るし。メニューからアクションで出来る喧嘩をモンスターに吹っ掛けてるだけだし。なら銃を武器にガンナーなる職業を作って…出来ないし、てかこのゲーム進化するならシナリオを変化させずに新しい職業開拓せえよ、な?職業訓練所、別名道場で多少学んだ剣士を職業とし剣装備して…そんな金ないよ。てかこれまで戦闘避けれたのって職業未定だから?いや関係ない。雑魚敵とは普通に戦闘とかになった。心臓に悪い急に出てくる連中な、無から敵が涌く連中。


職質されても何にも答えられない謎な立ち位置に今、立たされてることを理解した。これから先、きっとこの世界は僕に試練と言う即死罠を仕掛けているはず絶対!そんなときどう切り抜けるか。銃があるじゃない。でも弾とか本体の強化はどうする?工房はこの村にないしそもそもその日暮らしでまとまったお金すぐに用意、貯金もできないつまりお金のかかる武器、銃は充沢な資金のあった道場こき使われ時代ならではなのだ。今の極貧フリーターでは当然扱えない。つまり戦う術がない!


「魔法を覚える?それとも格闘家になってスキルを…結局のところ学校に通う必要あるじゃん」


「手に職よこのご時世。そして専門職のギルドか鍋のごとくごちゃ混ぜ一括りの冒険ギルドに属するが常識。今からでも街に戻って鍛え直し」


そんでまた死に急ぎマラソンか。そこまで精神の耐久力無いから。発狂もんだわ続けるにしても。


「大丈夫、着実にレベルは度外視だし」


「まぁその辺のルーキーと比べりゃ…な。その為に必要最低限を通り越して通い詰め後ろ指刺されながら裏スキル会得したかいがあった」


レベルが上がればHPにMPそれにスタミナや素早さに新スキル解放など潜在能力を引き出して自信を大きく強化できる。スキルにもある条件を満たしてのみ発動できるものがある。その一つ習得した『竜駆』がある。あのカッカククルスを始末したときに覚えたものだ。これはどこからかコピーや後になって職業訓練所卒業してからでは会得出来ないもの。辛い恥ずかしい思いと死を乗り越えて得たものだ。


その能力はステータス上限3倍に引き上げそしてレベル上げに必要な経験値が常時3倍になる。つまり人より3倍速く成長し上限も皆がどれ程頑張ってもMAXになってもこっちはその3倍、上を目指せる。まぁ肝は得られる経験値が3倍になること。つまりは


「今から学校入るやつでレベル80台は貴方だけに違いない。間違いなく」


そう無職にしてレベル87もあるのだ。草むしりして溜めました。どこいっても嘗められない!

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