プロローグ
___嫌われ者に転生した。私の前世は普通の女子高生で卒業式の日に頭が痛くなってそのまま意識を手放してしまった。そこからの記憶がない。そしてその代わりに増えたのは、このミシェル・アルランカという嫌われ者の記憶。つまり私はミシェルになってしまったのだ。なんということだろう。
ミシェルの記憶を辿っていくと、それはそれは性格の醜い少女だった。義理の兄を虐めまくるし、婚約者である第二王子に無理矢理迫るし、第二王子の周りの女を必要以上に牽制していた。そして自分はイケメンを見付けると媚びに行った。友達が居ないので、周りを脅して取り巻きを作った。クソみたいな女だ。外見はこんなに美しいのに、勿体無いことをする。親に甘やかされたせいだろうな。
まあ、こんな嫌われ者の私がいきなり性格が変わったらおかしいだろう。卒業するまで、この性格の悪いキャラを演じるしかない。面倒だがしょうがない。
ただひとつ、嬉しかったのは、アルランカ家の家柄がとても良かったこと。きっと将来遊んでいても飯を食っていくには困らないだろう。
いや、まだあるわ。外見だな。今、自室に居るんだけど大きな鏡が置いてあってね、それずっと見てるの。5時間ぐらい。いくら見ても飽きないこの美しさ。薄い紫の髪に、ぱっつん前髪、腰ぐらい長くて髪の先を軽く巻いてあるツインテール。そして深海のような深い青の猫目。それと、ゴスロリを着ていると痛い人を連想するが、ミシェルにはとても似合っていた。小悪魔系ゴスロリ女子ってやつか。オタクもびっくりだ。
忘れていたが、この世界には魔法というやつもあった。一般ピーポーには使えないが、使えると魔法学校に入れるのだ。大体使えるのは貴族だがたまに平民とか農民も居る。身分社会のせいで差別が酷くて退学する人も居るが。
魔法には属性がある。
火、水、土、風、雷、氷、光、闇・・・その他諸々。普通、魔法が使える人が持ってるのは1種類から2種類まで。3種類以上の人は非常に少ない。
ミシェルも魔法が使えるのだが、持っているのは雷属性。しかもクソみたいに弱い。だが、ミシェルは魔法の練習を全くしなかったから弱かったのだ。魔法は、鍛えたら伸ばせるものなのだ。この先暗殺されるかも知れないので鍛えておく必要があるだろう。
まあ、何より面倒なのは人間関係だ。この先王子に婚約破棄されるのはもう見え見えだ。そうしたら私の立場が無くなる。
だが、それはまだいい。問題なのは義理の兄に復讐されて殺されるのかもしれない事だ。それ程にミシェルは奴に恨まれる事をしてしまった。取り返しがつかないだろう。今更謝っても遅いので、謝らないが。
この死亡フラグも鍛え次第で回避出来るかもしれない。これから何とかして生きてやろうではないか。