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とても小さくて大きなこと
Bルート
「コウタくん!」
授業が終わった帰りの廊下に、上ずった声が響く。
「これ、この前のクッキー、アレンジしてみたんだ。サクッとした食感の方が好きって言ってたでしょ?」
戸惑い気味の彼の手に差し出す。
「えっ?わざわざ作ってくれたんだ?……その、サンキューな」
笑ってくれた。
「ううん。コウタくんのおかげで夢が出来たから。そのお礼。だから気にしないで」
良かった。
君のおかげで見つけた将来の夢よりも、クッキーで届けたお手紙よりも、もっと嬉しかったのは、
始めて、君の名前を呼べたこと。




