表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

あるいていったら

アルファポリス主催

第七回絵本・児童書大賞に参加しました。

よろしくお願いします。

ふしぎな木がならんでいる

その木のまわりに、白いわたげのようなものがフワフワとまっている

木のねもとに、小さなかんばん

「ポプラ?」

はじめて聞く名前の木

長い長いその道をあるき、今日もぼくは前にすすんでいた

「おっきなわたげ?」

とおくから見てもわかるほどの大きさ

あるいていったら、その大きさはぼくの二つの手のひらにのるくらい

つかんでみれば、気もちよさげにねむっているネコで

「って、ぼくがつかんでいるのに、なんでおきないのかな」

しんじゃってるのかなと、少しドキドキしながらジーッと見てみる

おなかのあたりが、ほんの少しだけうごいている

(生きてる?)

ちゅうブラリンにされていることに気づかないで、ねむりつづけているネコ

ネコをうでにかかえて、またぼくはあるきだす

ゆられているのに、まだねむるネコ

ぼくに、気づかないネコ

「おまえは、いつ、ぼくに気づくのかな」

うでにかかえながら、水をのんでいても、しょくじをしていても

においにも、ぼくのたいおんにも、ちっとも気づかないみたいだ

「……星がみえないな」

今日はくもり

ただ、星が見えないだけで、みょうにさみしい気にさせる

小さくためいきをついた時、うでの中のネコがモゾリとうごいた

「おまえは、あたたかいね」

ぼくのうでに、かおをこすりつけたネコ

たったそれだけなのに

「あったかい、な」

たった今まであった、さみしい気もちがすこしきえた

(早くぼくに気づかないかな)

目をさまして、もしかしたらにげてしまうかもしれない

そんな気もちもあるけれど、ぼくはぼくに気づいてほしくて

「ふわふわだな、おまえ」

ネコの頭を、そっとなでた

またすこしだけ、さみしくなくなった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ