その9『間合いについて(5)』
しかし、その『いいとこ取り』ってのが、一番難しい。
だって、何が良いか悪いかなんて、先述しましたとおり、その状況条件下でコロッと180°角度を変えてしまう危険性がありますから、時には賭けでしかない様相もあります。
だから、そういうのの積み重ねで『安心』や『平穏』を求める場合の言い訳として、
【マニュアリズム】
という手法がもてはやされてしまうのも、分からなくもない話なんです。
だって、
「手本どおりにやったんだけど、こうなっちゃったんだ」
と言い訳されれば、
「それは仕方ないですね」
と返すしかなくなるし。人情としては。
☆☆☆
それと同じ様に前項で書いた、
【他人に好かれる人】
【他人を怒らせてしまう人】
というのが、実は【間合い】有る無し云々だけに起因しているのではないことも、ここで語っていかなくてはなりません。
というのも、【他人に好かれる人】が、すべて【間合い】を読んで関係性を持っているとは限らないからです。
実は、【たまたま天然で良い条件に当てはまっている】という、とても稀有で天才的な人もいるからです。
また、その逆に【間合いを読んでいるのにも関わらず条件に嫌われて、結果他人の心を逆なでしてしまう】という可哀そうな人も存在するからということですね。
☆☆☆
そう、人間てそれほど簡単に割り切れないんですよね。
つまり、正解はあるけど正解を定義できる正解がない、というのが本筋なのかもしれませんね。