少女のお願い その2
さて、少女――リンネが飛び出して数刻、リンネは依頼をした女の子の家の前にたどり着きました。
そこで待っていたのは、髪をショートに切った小さな女の子――今回の依頼人です。リンネは女の子に一目散に駆け寄り話しかけました。
「こんにちは! あなたが今回の依頼人?」
「うん……」
頷いた女の子は誰かを心配しているといった様子です。
「それで、お願いって何かな。私にできることなら何でもするよ?」
とリンネはしゃがみ込んで、女の子を覗くように同じ目線で問いかけます。女の子も少しだけ安心したのか、ゆっくりと話しだしました。
「あのね、わたしのおともだちがいなくなっちゃったの。でも、おとーさまもおかーさまもしんじてくれないの。おねがい、わたしのおともだちをさがして!」
女の子は涙目ながらも力強い目線でリンネを見つめます。何としても会いたい、そんな気持ちが嫌でも伝わってきます。
「うん、分かった。それで、そのお友達って誰なのかな?」
「ずかんでしらべたら、『ぶらうにー』ってなまえなんだって。わたしは『はなちゃん』ってよんでたけど」
と女の子は語ります。ブラウニーとは家に住む妖精で、家の掃除などを手伝ってくれるそうです。ただし、人見知りなのでめったに人前に姿を現しませんが。
「分かった。リンネお姉ちゃんに任せて! ……ついでに、心強い友達がもう一人いるから」
この子、スート君を巻き込む気満々ですね。昔からそうらしいのでスート君本人も「仕方ないな……、ついていけばいいんだろう?」というと分かっているのでしょう。
「わかった、まってる! ……でも、なんだかいやなよかんがするの。はやくみつけてね」
「もちろん!」
とこうしてリンネは女の子の願いをかなえることになりました。はてさて、はなちゃんは見つかるのか、そして振り回されるスート君の未来はどっちだ!?