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その0



 あかりはみんなのアイドルだった。


 無数の照明にあたっても、それに負けないだけの輝きをはなっている。千人をこえる


ファンからの歓声をあびても、それを返すだけのパワーをもっている。その大きくはな


い体のどこにそんな力があるんだろうと感心してしまうほど。


 ステージの上にいるあかりは今、このホールの中の誰よりも躍動している。ポップで


キャッチーな曲を力強く歌い、かわいらしいダンスを踊り、コールアンドレスポンスの


ように振りつけをあわせているファンへ満面の笑顔をとどけていく。


 そんなあかりの姿にファンも心の底からうれしくなれる。ここにいるみんなは中学生


の初恋のときの新鮮な思いでいる。忘れかけていたあのころのピュアな心をとりもどし


て恋をしている。


 あかりはただのアイドルじゃない。世間一般的には他と何がちがうわけじゃない普通


のアイドルとされてるし、ファンもいればアンチもいる。でも、それはあかりのことを


分かってないだけだ。


 それを知ってるのは僕しかいない。アンチだけじゃなくファンでさえもあかりの真実


を知らない。今もこの先も誰一人も知ることはないだろう。教えられるものじゃないし、


あかりの笑顔を守るためにはつらぬかないといけない秘密だから。


 僕はあかりの笑顔が好きだ。あかりにはいつまでも笑っていてほしい。だから、あか


りの真実は光にさらさせやしない。ずっと闇の中にほうむっておく。みんなは華やかな


今の姿だけを知っていればいい。


 あかりはファンに愛されている。それは、あかりがファンを愛しているからだ。愛を


受けずにそだってきたあかりにはなによりも愛おしいものだから。愛されることで幸せ


になれると誰よりも信じているから。



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