彰人視点 ユカ
彼女の名前は由佳と書いて、ユカと読むらしい。
その次の授業では、彼女が少し笑ってくれたことを教科書を見るたびに思い出して、笑ってしまいそうで…授業に集中できなかった。
授業を聞かないとテストがヤバくなってしまう(汗)
次の休み時間…。
俺は彼女に教科書を返しに来た。
「助かったよ、ありがとう。…さん」
さっそく、教科書で見た名前を呼んでみる。なれなれしくないように名字で。でも、教室のザワザワで最後のとこがよく聞こえなかったとおもうけど…ね(汗)
「…由佳でいいよ。名字でさん付けはやめて?」
彼女に俺の声はちゃんと聞こえたらしい。
俺はそれが嬉しくて笑顔で
「うん、分かった。由佳ちゃん。」
俺は自分の名前を告げ
「俺のことも、彰人って呼んでね。」
と言った。
「分かったわ。彰人君。」
彼女はそう言ってくれた。
心なしか笑っていたような気がする。
それもまた、うれしい。
「ーねぇ、由佳ちゃん。」
俺は彼女の名前を呼ぶ。
「なぁに?」
「これって何でこうなるか分かる?」
話しかけた内容は数学の事。
前の授業で分からない事があったから、由佳ちゃんに聞いてみた。
それはこの間やったときの内容だったらしく、由佳ちゃんは普通に答えてくれた。
俺は納得して、「あー!なるほど!」と言った。
言ってからちょっと恥ずかしくなった。だから話をそらそうとして
「由佳ちゃんって人に教えるの上手だね。分かりやすくてすぐ分かるよ。先生とか向いてるかもね。」
由佳ちゃんは、ビックリって顔をしていた。
少し人嫌いな感じがするけど、根はやさしそうだし教えるの上手いし、本気で先生に向いてると思ったんだ。
「先生なら・・・彰人君の方が向いてるんじゃない?」
今度は俺がビックリした。そして「お、俺!?」と言った。
そして、俺はこう言葉を続けた。
「俺は・・・夢があるから、先生はムリだなぁ」
「夢?」と聞かれ「うん」というだけでそれ以上は何も言わなかった。
彼女も無理矢理聞こうとはしなかった。だから、俺もそれ以上は言わない。
絶対にいえない。誰にも言わない。いや、言えない。
アイツにでさえも・・・。
でも、アイツにはいつか言いたいなぁ・・・。




