特別視点 葉月
「ん~、買い物なんて久しぶりだなぁ・・・。」
私は、今とあるデパートに来ている。服を買ったり、アクセサリーなんかを見たり・・・。
由佳ちゃんの所為で、最近こんな事で来てなかったからなぁ・・・。
全く・・・あのクソアマ・・・。
私の彰人をとったりしようとするから悪いのよ・・・。
彰人は私だけのもの・・・。だから、ちょくちょく『無言電話』をしてチェックしてたのに・・・。
最初は、あの女と浮気でもしてるのかと思っちゃったけど、違ったのね。
私たら、大切な彰人を疑うなんて・・・少し反省・・・。
・・・でも、お母さんを殺されたのはさすがに予想外だったわ。
あの女がそこまで狂っていたなんて思わなかった。お母さん・・・。私のせいで・・・ごめんなさい・・・。
でも、あの女は死んだし・・・。これでお母さんも報われるでしょう。
まっててね。お母さん。私、彰人と幸せになるわ。天国にいるお母さんに見えるくらい・・・。
純白のウエディングドレスを着るときは、天国から見ていてね・・・。お母さん。
さてと、ちょっと暗くなっちゃったけど・・・、買い物の続きをしよーっと♪
「・・・え?」
意気揚々と歩き出した私の前・・・正確には、数十mくらい先に、ジーと私を眺めてくる女が・・・、いや、あれは由佳ちゃん・・・。
由佳ちゃんが私をジーと眺めている。周りの人は彼女が見えていないのか、気にもかけていない様子。
にっ、逃げなきゃ。
振り返り逃げようとすると、今度は私の目の前に由佳ちゃんがいた。
「ヒッ・・・!」
さすがに声を出してしまうと、開いた口から、由佳ちゃんが侵入してきた。
ズルズルズル・・・と入ってくる由佳ちゃん。吐き出したくても出てくれない。
一体何が起こっているのよ!!!!
チュルン・・・と由佳ちゃんが全部私の中に入ってしまった・・・。
でも、特別な変化は何も・・・。
そう思っていると、いきなり私の足が勝手に歩き出した。
なっ、なに・・・一体!!
・・・・・・!!
声を出そうとしても全く出てこない・・・!!
一体何なのよ!?
『お久しぶり。葉月ちゃん。』
頭のなかに、あの由佳ちゃんの声が響いた。
「由佳ちゃん!これは・・・あなたの仕業なのね!!」
実際は言葉なんて出ないのだけれど、頭のなかで返事を返すと、彼女には届いたようだった。
『そうよ~。あなたの体、奪わせてもらったわ♪』
「なっ!一体何をするつもり!?私に化けて、彰人君に会うつもり!?」
『はっ!発想が貧しいわねぇ・・・。』
「なんですって!あんたなんかに言われたくないわ!このっ・・・クソストーカー!」
『あらあら、随分とお口が悪いのね。彰人君の前ではあんなに猫を被っているのに。』
「黙れ!さっさと地獄にでも堕ちろ!!」
「いいわよ。ただし、あなたと一緒にね・・・。」
「え・・・?」
視界は私にも見えるらしい。
ここは一体。もうさっきのデパートではない。どこかのマンションかしら・・・。階段を上っている様子が見える・・・。
『さぁ、一緒に地獄まで堕ちましょうか・・・♪』
「まさか・・・!あんた・・・!!」
私の足が止まった場所は、マンションの屋上だった。
私の体を操って、飛び降りる気ね・・・!
『フフ・・・さぁ、行きましょう。』
体がだんだんと前のめりになって、一気にマンションから落ちていった。
あぁ・・・彰人・・・。
「彰人・・・くん・・・。」
・・・グシャッ!




