彰人視点 嘘ダロ
由佳ちゃんが自殺して、俺と葉月は怯えながら日々を過ごしていた。
普通なら、もう心配することはないんだ。と安心するところなのかも知れない。なのに、俺はどうしても怖くて仕方がないのだ。
由佳ちゃんが・・・近くにいるような気がして・・・。
「ただいま・・・。」
学校が終わってから、俺はすぐさま家に帰るようにしていた。
葉月は、今テスト期間のため午前中で学校がおわりだが、俺のほうは来週だから葉月の送り迎えをすることができなかった。
心配だったけれど、学校を休むわけにはいかないし、葉月にも『もう大丈夫でしょう』と言われ、何もすることが出来なかった。
「あら、おかえり。」
母さんが出迎えてくれる。
あれ?いつもなら葉月も出てきて迎えてくれるのに・・・。
「母さん、葉月は?」
「ん?葉月ちゃんなら、お買い物に出掛けてるわよ。」
普通ならふーんで終わりだろう。でも、俺は嫌な予感がしてならなかった。
「出掛けてどのくらい経つの!?」
と聞くと、『んー 30分くらいかしら。』
母さんは心配してる様子なんてなかった。まぁ、それが普通だよな。探しに行きたいが、どこに行ったかなんて分からない。母さんもそこまでは聞かなかったといってるし。
闇雲に探して、すれ違いになっても心配だ。
・・・ここは、大人しくまっていよう。
しばらくして、携帯が鳴った。
葉月かな?と思って勢いよく見てみるが、『渋めな刑事』とディスプレイに出ていた。
なんだ・・・。あの刑事か・・・。
少し落胆しながら電話に出る。
「もしもし?」
『あっ、落ち着いて聞いてくれ!』
一気にさっきの嫌な予感が舞い戻ってくる。
やめてくれ・・・。
「なっ、なんですか・・・?」
恐る恐る聞く。
最悪な予想が当たってないことを願って。
でも、こういうときの最悪の予想は、大体当たってしまう・・・。
『君の彼女・・・葉月さんが死んだ。』
やっぱり・・・としか思えなかった。
なんで・・・なんで・・・。
「なんで・・・死んだんですか?」
我ながら、冷静になったものだと思う。
刑事さんは、言いにくそうにしていたが、しばらく待つとしっかりと答えてくれた。
『・・・自殺だ。とあるビルの屋上から身投げ・・・飛び降りて・・・。』
俺はここで何かがキレてしまった。
「葉月が自殺なんてするわけない!殺されたんじゃありませんか!?」
『それはありえない。争った形跡はなかったし・・・。
彼女が1人で屋上に向かっていくのを見た人がいた・・・。』
「そんな・・・そんな・・・。」
『ざんねんだよ・・・。』
そんなかんたんな言葉で葉月の死を片付けないで欲しい。
その日は、母親が刑事さんと電話をしたり、明日の葬式について色々な人と話合っていた。
『お前は2階で休んでいなさい。』
母の気遣いか・・・そのときは凄く助かった。
疲れきった体をなんとか癒そうと、制服を着替えもせずそのままベットに倒れこんだ。
「・・・葉月。」
1人になると・・・どうしても葉月のことを考えてしまった。
・・・由佳ちゃんが殺したんだろうか・・・。
「由佳ちゃん・・・なんで・・・。」
『ご・・・め・・・ん・・・な・・・さ・・・い。』
「由佳ちゃん。君なんだね・・・。」