彰人視点 間ニ合ッタ?
間に合ってくれ・・・!!!
そう願いながら、葉月の家へと急いで向かう。
守るって言ったんだ・・・!!
葉月・・・!!!
葉月の家へと着くと、家の周りをパトカーが囲っていた。
間に・・・合ったのか・・・?
「あっ、彰人くん・・・!」
あぁぁあああぁぁぁぁぁ・・・。
「葉月・・・!よかった。間に合ったのか。」
一台のパトカーのそばに葉月を見つけた。
どうやら・・・俺の『通報』は間に合ったらしい・・・。
葉月ちゃんにテーブルをひっくり返されてすぐ、俺は警察に通報をしていた。
本当は、すぐにでも葉月に電話をしたかったが、今は警察のほうが先だと思った。電話に出た人に、今の状況を説明し、すぐに葉月を保護してくれるようにお願いした。
さすが警察。対応が早くて助かった。
『君だね。通報してくれたのは・・・。
ありがとう。君のおかげで、彼女を守ることが出来たよ。』
「いえ・・・。こちらこそ、葉月を保護していただき、ありがとうございました。」
本当に、この刑事さんたちには感謝しなきゃな・・・。
『それで、すぐで申し訳ないのだけれど、君達にも詳しい事情を聞きたいから、署まで一緒に来てもらえないかな?』
「・・・葉月は大丈夫か?」
「うん・・・。大丈夫!」
葉月は思ってた以上に元気だ。
いや、俺に心配をかけないように元気に振舞っているのかな?
「そうか・・・。はい、行きます。」
早くこんな事件にけりをつけて、葉月と一緒にあのケーキ屋にパフェを食べに行こう。
『ご協力感謝します!
じゃぁ、こっちのパトカーに乗って。』
パトカーに乗ると、あぁ・・・終わったんだな、と妙に安心した。
もう、安全・・・。これからはまたいつもの平凡な日常に戻るんだ・・・。
安心からかパトカーの中で少しウトウトとしながら警察署に着いた。先程の刑事さんに会議室のような場所に通された。
そこには、ドラマとかに出てきそうな渋めの刑事が座ってまっていた。
『どうも。お忙しい中、捜査にご協力いただき感謝します。』
「いえ・・・。」
ぺこり・・・と軽くあいさつを交わして、席に着くように促された。
『さて、いきなりで悪いけど・・・。犯人との関係を教えてくれるかな?』
本当にいきなりだな・・・。と思いながらも質問に正直に答える。
「同じ高校の友達・・・でした。」
『本当に?彼女さんの前で言いにくい・・・とかナシだよ?』
少しムッとする。
何なんだ、この刑事は!
「嘘なんかついていません。」
『ふーん・・・。では・・・。』
この後も、なんだかんだと少し勘に触るようなことを聞かれたりはしたが、事情聴取らしいものが終わりかけていた。
『はい。もう結構です。
貴重なお話ありがとうございます。』
「いえ・・・。」
やっと終わったよ。と安心していたのに・・・、刑事はこの後も話を続けた。
『じゃぁ、君!彼らを家までお送りして。
あっ、彼女さんはしばらくホテルの方へお泊まり下さい。家のほうはもう少し詳しく調べたいので・・・。』
俺達を連れてきた刑事が、渋い刑事に『はっ』と言って敬礼をしている。
立場は渋い刑事の方が上みたいだ・・・。
「はい。分かりました。」
「あっ、俺ん家に泊まれば?母さんも葉月が来れば喜ぶと思うよ。」
「ありがとう。じゃぁ・・・お言葉に甘えちゃおうかな♪」
そんな話をしながら刑事さんに連れられ署内を歩いていると、前方にぐったりとした刑事さんがイスに座りうなだれていた。
『おい、大丈夫か?』
見かねて、俺たちを連れてきた刑事さんが声をかける。
すると、ぐったりとした刑事さんが大丈夫じゃなさそうに『大丈夫です』と答えていた。
『あぁ、お前『あの子』の取調べだっけ?』
あの子・・・?
『はい。自分は見ているだけなのですが・・・。彼女すごいですね。
まだ高校生なのに、こう・・・狂気が吹き出しているというか・・・。言っていることが支離滅裂で・・・。
今、先輩が精神医に診せよう、と言っていました。おそらく精神異常と診断されるでしょうね・・・。』
・・・なんとなくだけれど、あの子が由佳ちゃんのことを言っているんだろう。と予想できた。
・・・精神異常。
由佳ちゃん。あんなに優しく笑っていた君に・・・いったい何があったんだい?