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彰人視点 1ダヨネ?

「あっ、ごめん!違くって、ん~と・・・。」


説明もなしにいきなり『1と2どっち?』なんて言われても普通分からないよなぁ・・・。

頭の中でもう1度整理してから、由佳ちゃんに説明を始めた。


「あのさ、今日俺に、『昨日の夜、あんな時間に何してたの?』って聞いたよね?」


由佳ちゃんは不思議そうな顔をしながらも、うんと答えてくれた。


「それで、通り魔を探してるって言ったら、『そんな危ないことしないで。』って言ってたよね。」


また由佳ちゃんは不思議そうにうん、と答える。


「たださ、由佳ちゃんこうも言ったよね?『背中を包丁で刺されて死んじゃうところだったんだよ』って。」


さすがに俺の言いたいことを察したのか、由佳ちゃんはもう、うんと答えてくれなくなった。

それでも俺は続ける。


「なんで知ってたの?俺が襲われたこと。」


「ニュースで見たから・・・。」


少し困ったように笑いながら答える。

・・・残念だよ。由佳ちゃん。


「ニュースじゃ俺の名前は出てないんだ。」


一瞬言葉に詰まりながら、由佳ちゃんはこう言う。


「あっ、住所が彰人君の近くだったから、高校生って言ってたし・・・。」


明らかに苦し紛れな嘘をつく。由佳ちゃん・・・!


「由佳ちゃんに家の場所・・・教えたことないよね。なんで俺の家知ってるの?」


「それは・・・。」


また言葉に詰まる。


「それに、なんで『背中』を『包丁』で刺されそうになったことを知ってるの?

まだ、ニュースでは凶器が包丁だ、なんて報道はされていないし。俺がケガしてるのは腕。『背中』を刺されそうに、なんて誰も知らないはずなんだけど。」


もう、由佳ちゃんは苦し紛れの言い訳も、言葉に詰まることもしない。

選択肢を聞く必要すらないのかも知れないけど・・・。

最後の望みを・・・。


「由佳ちゃん・・・。俺の考えは2つ。

1つ、由佳ちゃんは俺が刺されそうになったところを目撃した。だから色々と知っている。

2つ、由佳ちゃんは・・・」


さすがになかなか言い出せない。

今度は俺のほうが言葉に詰まってしまった。


「通り魔の犯人なのではないか。だから、彰人君が背中を刺されそうになったことも、凶器が包丁なのも知っているんじゃないか。・・・かな?」


言葉に詰まった俺の変わりに、しゃべってくれたのは由佳ちゃんだった。

その顔は、へんに清々しい顔をしている。さっきまでの顔ではなく、まるでイタズラしているところを見つかってしまった子供のようだ。


「あ~ぁ、バレちゃったかぁ。そう、私が通り魔なのよ。

ごめんね。腕、刺しちゃって・・・。彰人君だなんて気付かなかったのよ。」


・・・え?


「なっ、えっ?嘘・・・だよね・・・?」


「ん?ほんとだよ。私ハ通・リ・魔・♪」


狂ってる。そんな笑顔で・・・。悪びれもなく・・・。

無性に泣きたくなった。俺を刺して、葉月を襲って、葉月の母さんを殺した人のことを心配して・・・。バカみたいじゃんか。心配する必要なんかなかった。

コ ノ 子 ガ 通 リ 魔 ナ ン ダ カ ラ ・・・ 。


「・・・自首して。由佳ちゃん。」


「イヤだよ。まだ、殺してない人がいるもん。」


今度は駄々をこねる子供のよう。

でも、もう恐怖とイラつきと・・・こいつを葉月のお母さんと同じように殺してやりたい、という感情しか沸いてこなかった。


「え・・・?」


嫌な予感が全身を駆け巡る。

まだ・・・殺してない人・・・?


「は・づ・き・ちゃ・ん・を・♪」


それだけ言うと、由佳ちゃんは物凄い勢いでテーブルを俺の方に投げてきた。そう、まるでちゃぶ台返しみたいに。

でも、このテーブルは俺が起こすのも大変なくらいに重いものだ。

それを・・・あんな軽がる・・・!


「由佳ちゃん!待て!!!・・・クソッ!!葉月が・・・!!!!!!」


俺は、倒れたテーブルも俺を止めようとするウエイトレスの声を無視して、由佳ちゃんの後を・・・葉月の家へと向かった。

携帯で急いで電話をかけながら・・・。

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