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由佳視点 新シイ作戦

葉月ちゃんを襲ってから三日目。

彼女は学校以外で一歩も外に出なくなった。唯一外出する学校も彰人君が送り迎えをするようになった。

出てこないかと一応家の前を見張っているけど、彼女の家から出てくるのは母親だけだった。


「このままじゃ埒があかない・・・。」


慌てて口を両手で押さえる。

1人なのを忘れてついつい独り言を言ってしまった。でも、本当にどうしようか。

新しい作戦・・・。燻り出し作戦・・・がいいかな。

彼女が出てこないのならば、彼女の周りの人を殺して「お前が出てこなければもっと人が死ぬ」と脅す。

我ながらなかなかいい策だと思うのだけれど。

・・・昔、何かの本で読んだな。人を最も残酷に殺す方法。その1つに、「殺したい人がいるならば、親しい友達や家族から順々に殺していき、弱ったところを狙い殺すのだ」と。

あの頃はよく分からなかったが、今なら分かる気がする。

彰人君や友達を先に殺され、自分だけが最後に残ったら苦しくて、悲しくてもういっそ殺してと思ってしまう気がする。


あれ?


私友達なんていたっけ?


名前・・・なんていったけ?


かおる?ゆうこ?なお?


まぁ、いっか。



よ~し!さっそく燻り出し作戦をもっと細かく計画しなきゃ♪


・・・細かい計画はこうだ。

まず、葉月ちゃんのお母さんを殺す。でも、お母さんだけ殺すと疑われてしまう可能性があるから、関係ない人を殺す。ついでに、家にいる「あの人」も殺してしまおう。一石二鳥♪私には得しかない。

よし、じゃあ作戦開始!

まずは母親カラ・・・♪


「葉月!じゃぁお母さんは買い物に行ってくるから、戸締りに気をつけるのよ!」


葉月ちゃんを襲ったときと同じ格好で家を見張っていると、中から母親が出てきて、わかったと言う葉月ちゃんの声がした。

どうやら葉月ちゃんは家にいるようだ。葉月ちゃん、あなたは後悔することになる。この危険な夜に自分は家に隠れて、母親を外に出してしまったことを。

自分ヲ呪エ!!


母親は私には気付いていないようだ。騒がれても面倒だし、さっさと殺ってしまおう。

前を歩いている葉月ちゃんの母親に、足音が出ないように走りよっていき、隠し持っていた包丁を背中に突き立てた。

葉月ちゃんのお母さんはこちらを振り返りながら、小刻みに震えていた。そして、背中に刺さった包丁を引き抜いて私の方にふらふらと近づいてきたのだ。


「あんたが・・・葉月を…!」


背中と口からはすごい量の血が出て、今にも倒れそうなくらいふらふらとしているのに、歩くのをやめようとしない。

私が少し押せば、きっと彼女は倒れ二度と動かなくなるだろう。

でも、出来なかった。それどころか、指一本動かすこともできず、息を吸うだけで精一杯だった。

じわりじわり、と近付いてくる包丁を見ると、殺される!本当にそう思って目をぎゅっと瞑った。

カチャンという音と一緒に、おなかのあたりに生暖かい感触が広がった。

刺された!と思い、おそるおそる目を開けると、そこには私のおなかにしがみついた葉月ちゃんの母親がいた。

生暖かかったのは、血まみれの彼女がしがみついてきたから。カチャンというのは、彼女が包丁を落とした音だった。

しがみついたまま動かない葉月ちゃんのお母さん。首筋に手を当ててみると、もう脈がなかった。


「・・・死んだ。」


分かりきっている事をなぜだか口に出していた。

頭の中を整理したかったんだ。


「フフ・・・死んじゃった。」


なぜだか、すごく可笑しかった。

だって、彼女は自殺したようなものよ。自分で包丁を抜いたりしたから死んだのよ。

包丁を抜かなきゃ、死にはしなかっただろうに。

バッカみたい♪

やることもやったし、さっさとかーえろっと♪

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