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彰人視点 守ル女

由佳ちゃんたちが帰った後、俺は改めて葉月に話をした。

無言電話がきていて、ストーカーの可能性がある。最近、ストーカーが人を殺したりする事件があるから葉月も気をつけて欲しいということ。それと、できれば下校は今日の様に俺が学校まで迎えに行った方が安全だと思う。などなど・・・。

全部聞き終わった葉月は、ふーんと言いながらパフェを頬張っていた。

なんか・・・あんまり興味なさそうな感じ・・・。


「葉月!俺マジで話してるんだけど!」


すると、少しアタフタとしてパフェを食べていたスプーンを置いてごめんと言ってしょげている。

・・・しょげてるのもかわいい!と思ったのは置いといて・・・。

さて、次は何について話すべきか、と悩んでいると葉月がおそるおそるといった感じで後ろのほうを指差して「あれ」と言っている。何だろうと思い後ろを見てみると、さっき由佳ちゃんたちが座っていた席に鞄が1つ置いてある。もう3人とも帰ったのに鞄があるってことは、誰か忘れたな・・・。

はぁ・・・普通誰か気付くだろ・・・。


「あれ、由佳ちゃんたちの鞄じゃない?」


「うん。多分そうだろうね。しょうがないから俺が持って帰って、明日学校で渡すよ。」


正直、今はそれどころじゃない。

今は何よりも葉月のことを大切にしなければ・・・!

あぁ、いっそ監禁でもできれば簡単なのに・・・。


「ん~、やっぱりおいしぃ~。」


考え事してる間にもう立ち直ってパフェ食ってるし・・・。うまそうに食ってるなぁ。

・・・やっぱり、しょげてる葉月より幸せそうに笑ってる葉月のほうが断然かわいいな・・・。

あんな顔見てたら、こっちまで幸せな気分になるよ。

でも・・・


「ふぅ・・・、ごちそうさまでした♪」


幸せそうな顔は長続きしない・・・(泣)


「相変わらず食べるの早いね~。」


俺が少しあきれたように言うと葉月はニパッと笑って答える。


「おいしいものは、味わいつつ素早く食べるべし!これ私の鉄則よ。」


「・・・ぷっ、ははは・・・!」


それからはなんだか楽しくなって、ストーカーのことは忘れて葉月といつもみたいに・・・いや、いつも以上に楽しく話していた。

葉月もパフェをおかわりして楽しそうに話していた。

またパフェかよと笑うと、だっておいしいんだもん~とまた幸せそうな顔で食べていた。

ちょっとちょうだい♪と言ったらやぁだ♪と笑ってない目で言われてちょっと傷ついたのは秘密だ(泣)


「あっ、もうこんな時間!そろそろ帰ろうか。」


メールが来たと言って携帯を開いた葉月がそう言った。今何時だろうと俺も携帯を開いてみると、もう暗くなり始める時間になっていた。


「そうだな。あっ・・・かばん忘れんなよ(笑)」


「はぁ~い♪」


-------------------------------


帰り道は帰り道で楽しくしゃべりながら帰った。

葉月はもういっぱいパフェ食べたかったなぁ・・・と呟いていた。まだ食べるつもりかよと思いつつも笑えた。

しばらく歩いた頃、話題はまたストーカーの話になった。


「ホント・・・気をつけてね?」


葉月は心配そうに俺に言ってきた。


「それはこっちの台詞だよ。まぁ、俺が守るけど・・・でも、葉月自身も周りを気にして、危ないなと思うことがあったら警察に助けを求めたり、俺や友達に電話したりするなりしろよ?」


分かったと葉月は言ったけれど、不安だ。

葉月にもしものことがあったらと思うと怖くて怖くてどうしようもない。


「・・・大丈夫!私のことは彰人が守ってくれるんでしょ?なら絶対安全だよ♪」


・・・不安がなくなったわけじゃない。でも、今から俺が怖がってたんじゃどうしようもないじゃないか。大丈夫。葉月は俺が守るんだ。


「・・・ありがと。」


道端だったけど、周りに誰もいなかったし葉月にキスをした。

一瞬ビックリとしていた様子の葉月も少しすると目を閉じて受け入れてくれた。


「もう、外でしないでよね!」


口を離すと、葉月は頬を赤く染め照れたような怒ったような顔をしながらそう言った。

ごめんと口では謝るけれど、口のにやけが止まらなかった。葉月は怒ったようなことを言いながらも笑っていた。


そのときは、映画に出てきそうなほどに幸せな景色だよなぁなんてのん気なことを考えていたけれど、それは違った。

これが俺にとって人生を狂わせるきっかけを作る、最悪な景色だったんだ。もしここで俺がキスなんてしなければ、きっと葉月を巻き込むこともなかったんだ。


ゴメンナ・・・ハヅキ・・・。

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