由佳視点 アノ人
…人間は、嫌いだ…。
ザワザワと五月蝿く、誰が誰を好きとか、誰と付き合ってるとか…
くだらない話ばかりをしている…。
私はそんな低俗なものに興味はない…。
私は…愛なんて知らない。
知りたくもない…。
人は信用すると裏切ったり、傷つけたりする。
人は生き物の中で最も低俗な生き物だ。
絶滅すべき生き物は人間だろ。
なのに、無駄に生き延び繁栄している。
本当にくだらない世の中だ。
消えてしまえばいいのに…。
そう思っていた…。
でも 今は世界があって良かったと思っている。
あの人に会えたから…。
あの人に会わせてくれてありがとう…。
神様…
あの人との出会いはまさに運命だった。教科書を忘れた私に優しく
「あ、教科書貸そうか?」
と言ってくれた。断ると、
「あー ごめん。言い方変える。
俺の教科書貸す代わりに、数学の教科書貸してくれない?」
忘れちゃってさ。と少しイタズラっぽく笑う彼。
ふふ…嘘が下手ね。
さっき数学の教科書持ってたじゃない。
私に教科書を貸させるために嘘を付いたのね。
優しいのね。
私は彼に数学の教科書を貸した。
そして、彼の教科書を借りた…。
彼の教科書には名前が書いてあった。