彰人視点 愛シテル
その日の放課後。パッパッと帰りの支度をして、すぐに葉月を迎えに行った。
友達が何か言っていたけど、かまっている余裕はなかった。一刻も早く葉月のところに行きたかった。
走って葉月の学校まで行くと、校門の前が葉月が待っていた。
「あっ、彰人君!」
はぁ、はぁと息を切らしながら向かう俺に、葉月はぱたぱたと手を振りながら迎えてくれた。
校門の前で息を整えるために少し話してから、いつもの喫茶店に行こうと言って駅へと向かった。
いつもの喫茶店とは、俺達の家のそばにあるデパート内にある喫茶店で、最近はパフェのおいしい店として雑誌に載ったりしている。ガヤガヤしてるわけでもなく、人が居すぎるわけでもない落ち着ける隠れ家的な喫茶店で、俺と葉月はよく学校帰りによっている。
「・・・で?どうしたの?」
「実は「・・・彰人君?」」
これから話そうというときに、誰かに名前を呼ばれた。
誰だよ、と思いながらも振り返ると、そこには由佳ちゃんがいた。それから、由佳ちゃんのクラスにいる女子2人も。
「へ・・・?ゆっ、由佳ちゃん!?」
驚きのあまり、そんな分かりきっている言葉しかでない。
でも、なんでここに?
由佳ちゃんの家はこっちのほうじゃないはずだけど・・・。
「・・・お友達?」
不思議そうに葉月が俺に言う。
そっか、葉月は違う学校だもんな。知ってるはずないか。
「うん、学校の友達。」
葉月に由佳ちゃんたちのことを説明すると、納得したらしく満足!という顔をしていた。
「そうなんだ。あっ、私は葉月です。」
あっ、今度は由佳ちゃんたちに葉月のことを説明してなかった。
いきなり会うとテンパるなぁ・・・。
由佳ちゃんもあいさつをして、由佳ちゃんの友達らしい2人にもよろしくと言い合ったりしていた。
なんか仲良くなってる・・・?
「葉月ちゃんは彰人君の彼女さん!?」
といきなり言い出す子がいた。
突拍子もない質問に俺と葉月は只管アタフタとして、言い訳じみたことを言っていると、3人に一斉に「どっち!?」とスゴイ声で言われてしまった。
葉月はまだ困ったみたいな顔をして俺の方を見るから、俺が意を決して答えることに。
「・・・付き合ってるよ。葉月は・・・俺の彼女だよ・・・。」
由佳ちゃんの友達2人がおぉ~と言いながら、さらに質問をしてきた。
押され気味に軽く受け答えしていると、元気のなさそうな由佳ちゃんが見えた。体調でも悪いのかもと思ったから、質問を葉月に任せて由佳ちゃんのほうへ行って見た。
「・・・由佳ちゃん?どうしたの?」
少し辛そうにしながらも、由佳ちゃんも俺に質問してきた。
「彰人君は、葉月さんのこと好き?」
由佳ちゃんもかと思ったけど、少し葉月を見てから正直に答えることにした。
「うん。俺は、葉月を愛してる。」
やべっ!俺なに真面目に答えてるんだろ。しかも好きなの?って聞かれて何愛してるとか言ってるんだよ~!?
恥ずかしさがピークを超えて頭をガシガシと掻いていると、葉月からヘルプが出たので由佳ちゃんの下を離れて葉月の隣に戻った。
また質問攻めにあってしまったけど・・・
『俺は葉月を愛してる』
愛する葉月の隣で惚気るのもいいかな・・・と楽観的に考えられるようになった。
でも、質問しすぎじゃない?この2人(笑)
だれか助けて~(笑)