由佳視点 ダイジョウブ?
結局4つも提案を出してみたけれど、実行できそうなものは1つもなかった。
思ったのだけれど、下手に私だけで考え込むよりもそれとなく彰人くんに話を聞いてみた方がいいんじゃないかな・・・。
「由佳ちゃん!おはよ。」
登校中に考えをまとめていると、ちょうど彰人くんと遭遇した。
それとなくと思っていたけれど、心配するあまりつい単刀直入になってしまった。
「おはよう。あのさ、最近困ってることでもあるの?よく考え込んでいるようだけど・・・。」
最後のは不自然に思われないように付け足した。
さて、彰人君の答えは・・・?
あると言うかないと言うか。
「えっ!由佳ちゃんすごい。よく分かったね。実は最近無言電話が酷くてさ〜。」
彰人君ずいぶんとあっさり教えてくれるのね。
もう少し間が空くかと思ってたわ。
彰人君の話を聞くと、どうやら一週間ほど前から無言電話がかかってくるようになったらしい。
大切な人達にも危害が及ぶかもしれないと、周りを警戒しながら過ごしているから最近すごく疲れているらしい。
「そうだったんだ・・・。」
無言電話のことは知っていたけれど、怪しまれてはいけないから知らないふりをする。
それにしても、無言電話被害にあってたならばまずは自分の身を最優先に考えるところを・・・、人の心配しかしていないなんて、さすがというか・・・彰人君らしい。
無言電話・・・普通に考えればストーカー。
・・・やっぱりあの女か。
「何か身に覚えないの?そういうことしてきそうな人とか・・・。」
彰人君、あの女がそうなんだよ。とは言えない。だから、少し遠まわしにきいてみる。
「・・・いないなぁ。」
もっとよく考えてみてよ・・・。彰人君。
あなたのすぐ傍にいるんだよ。あなたに付き纏っている人が・・・!
「・・・そっか。」
やはり、彰人君のことは私が守ろう。
どうせ彼では、周りの人のことで手一杯で自分のことにまで頭がまわらさそうだから・・・。
「というわけだから、しばらくの間周りで変なこととか起きるかもしれないから、気をつけて!
何かあったら、すぐ俺に知らせてね!」
「へ?私は関係ないでしょ?」
・・・彰人君のストーカーに私は関係ないだろうに。危ないのは、彰人君と周りにいる彰人君にとって大切な人だけ・・・。
「ダメだよ!由佳ちゃんだって、俺にとって大切な人なんだから!」
そういうと、少し照れた風になり「そういうことだから!」とだけ言ってあっという間に走って学校に行ってしまった。
・・・今のって・・・。告白・・・?
いやいや、告白じゃないにしろ、彰人君が私のことを大切だと言ってくれた・・・。
すごく嬉しい・・・!
私も彰人君のことがすごく大切・・・。
・・・この無言電話のことが落ち着いたら、彰人君に告白してみよう。
好きですって・・・。
・・・っと、その前に無言電話をどうにかしなきゃなんだ。
彰人君、私の大切な人。必ず、守る!