由佳視点 カノジョ
彰人君に会った日から、お昼は彼女たちと食べるようになった。そして、帰りも彼女たちと一緒だ。
しかし、その日は2人とも部活らしく久しぶりに1人で帰った。いつもはおしゃべりな2人がいるから騒がしい帰り道も今日は静かだ。笑い声も私を呼ぶ声も聞こえない。…少し寂しいと思ったことは秘密にしておこう。
「…でさ、俺ウサギの着ぐるみ着せられてさー。」
横に曲がる道に聞き覚えのある声が聞こえた。毎朝会うたびにおはようと言ってくれる声。間違えるはずもない彰人君の声だ。誰かとしゃべっている感じだから、友達といっしょなのかな・・・?じゃぁ、話しかけないほうがいいかな・・・。うん、話しかけないでそのまま帰ろう。帰り道に彰人君の声が聞けてよかった。
「ほんと?見てみたかったな。彰人君のうさぎさん姿・・・。」
・・・気のせいかな?女の声が聴こえた気がした。それに、彰人君って名前・・・呼んでた。誰だろう?気安く彰人君のことを呼ぶ奴は・・・。
「やめてくれよ。恥ずかしいなぁ・・・。」
彰人君と笑ってる。なんだろう?同い年っぽいけど、制服が違うからうちの学校の人じゃない。中学のときのお友達か何かかな・・・?
それにしてはいやに親しげだ。ぶつかりそうな位近い距離。今にも繋ぎだしそうな手。・・・何?まるで、カップルみたいじゃない・・・。
・・・まさか、彰人君には彼女がいたの?私、多分あなたのことが好きだったのに・・・。
・・・フフ。やっぱり、こんなもんよね。私の人生なんて。神様がくれた幸せかなって思ったのに・・・。残念。まぁ、いっか。彰人君はいい友達。それでいいじゃない・・・。
・・・でしょ?・・・由佳・・・。