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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ブックシェルフ

お釈迦様に転生したらしい

掲載日:2026/03/19

異世界転生 勘違いネタ? サイコパスっぽい主人公

お互いに勘違いしているやつ


死んだと思ったらどうやら赤子に転生したらしい。現在の月齢はわからない。割と躯が自由に動くので実は一歳以上なのかもしれない。試しに寝かされていた揺り籠の縁を掴んで立ち上がる。

掴まり立ちはできたので、外に出てみる。多少よろけたが成功した。

そのまま立って歩いてみる。なんだ、思ったより月齢がいっていたらしい。そうでなければ異常出生譚になってしまう。

そう、例えば、お釈迦様は生まれてすぐに七歩歩いて右手で天を指さして「天上天下唯我独尊」と口にしたとかいう話がある。まあ後から付け加えられた話だろうけど。

それがどういう意味の言葉かは諸説ある。世界中で(天上天下)尊いのは私独りだけ、という意味に捉えるのが一般的だが、世界の全てが尊いものだという解釈もあるとか、ないとか。生きて仏になるのは釈迦ただ一人だけだからそれを表してるんだとかそういう説もある。

まあ、現代で唯我独尊を単独で使う場合、自尊心が高すぎる的なニュアンスで使われることが多いが。

「なっ、何ということだ…」

おや。あの男はもしや、この赤ん坊(わたし)の父親だったりするのか?すまんな、初めて立つところが実績解除済みで。いや、私の意識が表に出る前にやってた可能性もあるか。こんだけすんなり動けるんだし。

「あの子が生まれたのは、つい七日前のはずだろう?!魔物とでも入れ替わったか?!」

おやおや。いや、うーん…。中身が転生者って意味では別物との入れ替わりも的外れではないのか?

魔物と言われる筋合いはないつもりだが。前世も人間だったはずだし。


寝て起きたら森の中だった。捨てられたらしい。まあ情のある反応ではあるんじゃない?生まれて数日で立って歩ける赤ん坊なんていないはずだもん。生まれて数日の赤子と一歳以上の子供を入れ替えてバレないってのも不自然だし。

そんな異常な子供を殺さず、命溢れる森に置き去りにしたのは温情ある方だろう。生き延びれる可能性はあるし。単に殺すのも恐ろしいとかな可能性もあるが。

まあそれはそれとして、死にたくはないので何とか森の中で生きられないか頑張ってみるか。

「とりあえず、安心して休める場所を探さないと」

入れられていた揺り籠はちょっと自分で移動させられそうにない。多分子供でも動かせるものではあるが、流石に赤子では無理だ。しかしこの場所では雨はしのげそうにないし、中途半端に人に見つかりそうな感じがある。

私の月齢が見てわかるかは不明だが、ただの赤子の振りは多分できないので親切な人間に拾われるパターンは期待しない方がいいだろう。拾われてもまた捨てられるか、酷くすると魔物扱いされて殺されるかもしれない。

行動と年齢がなんとかつり合いが取れるまでどうにか森の中で生き延びるのが恐らく確実だろう。

とりあえず森の中に向けて足を踏み出す。裸足で踏み出したものの不思議と足に痛みはなく、柔らかい感触だ。下草に柔らかいのが敷き詰めるように生えているらしい。足元を見ると転びそうなので見れないが。

ゆっくりと歩いていくと数mもしない内にガサガサ音がして、茂みから動物たちが集まってきた。鹿だの兎だの狐だのいるが、じっと私を見て付き従うように少し離れてついてくる。

少なくとも私を襲おうという意志はないようだ。謎の行動だが、魔物とやらだったりするのだろうか。何なら頭上から羽ばたきらしき音もしている。鳥もいるんだろう。

歩きやすい方に進んでいくと、いい感じの木の(うろ)があった。クッションになる草葉でも敷いたら休み場所にできるだろう。

「休める場所が見つかったら、次は水と食料の確保かな。それに、できれば火も使えるようにしておきたい」

しかし食料は木の実か何か見つかれば持ち運べるが、水は器がないと運べないからな。魔物とかいるなら魔法もある可能性もあるかもだが。

気が付けば動物たちはいなくなっていた。何だったんだろう。

まあ考えてもわからないので、とりあえず獣道の一つを辿ってみる。水場は多くの動物が使うだろうから、その周囲は多少開けてたりしないかな。川とかだと落ちる心配があるかもだが。湧き水が多分一番ありがたい。この森の中にそんなもんがあるかはともかく。

幾らか歩いていくと、まるで誰かが踏み割ったような割れ目の入った岩があり、割れ目から水が湧き出ていた。

少し手ですくって舐めてみたが、味に違和感はない。まあ後々お腹を壊す可能性はあるが、当面は此処から水を汲めば何とかなりそうだ。コップ代わりに使えるものでも手に入れないと持ち運んだりは出来ないが、拠点から然程離れてないし何とかなるだろう、多分。

「…ふう。人心地ついた。生物は水がないと死ぬからな」

さて、周囲に何かそのまま食べられるものがないか探しながら一度拠点に戻ろう。赤子だからか、やや眠い。まだ体力がないのだろう。更なる探索は一度仮眠を取ってからの方が良さそうだ。あれだけ動物がいるなら、何かしら食べるものはあるだろう、たぶん。

拠点まで戻ってみると、洞のある木の周囲の草がざっくり刈り取られて小さな空間が作られていた。刈り取られた草は洞の中に敷かれている。

誰の仕業かはわからないが、洞はあまり大きくないから人間なら幼い子供くらいしか入れないだろう。うーん?

ともあれ、眠気もピークだったのでありがたく寝床にさせてもらうことにした。人がやったにしては不揃いに千切られた草だと思いながら目を閉じた。


ぐっすり眠って目を覚ますと、洞のある木の傍の小空間に木の実の小山と焚き火が用意されていた。それに周囲の茂みからまた動物たちが覗いている。まさか、彼らの仕業なのか?

「君たちが私を助けてくれたのか?ありがとう」

しかしよく考えると私は木の実を食べられるだろうか。生後数日の赤子(ではないかもしれない)だぞ。

歯は…あるな。まあないと明瞭な発音は出来ないが。

小山になっている木の実の中から柔らかそうなものを選んで手に取る。ベリーの類だろうか。齧ってみれば口の中に甘味と酸味が広がった。どうにか食べられそうだ。美味しいかどうかは正直よくわからない。多分今世で初めて食べるものだし。

空腹だったからか、腹の虫が鳴いてしまった。すると、茂みから飛び出してきた子兎が焚き火に身投げしてしまった。

「えっ」

子兎は火の中で暫くゴロゴロしていたが、やがて動かなくなった。動かなくなった子兎が木の枝で突かれて焚き火から押し出された。調理も何もねえただの丸焼きである。食えと?

血抜きも下味も下処理もない丸焼きは案の定、美味しくなかった。美味しくないが、無駄にするのは気が引けたのでなんとか肉の部分を平らげた。

そういえば、お釈迦様の説話か何かで、空腹のお釈迦様に動物が食べ物を提供しようとして、何も用意できなかった兎が自分を食べてくれと言って焚き火に飛び込んだ話があったな。一部地域で自分の死体を獣や鳥に食わせるのが善行とされる根拠だとかなんとか。実際されると若干迷惑だが。

「このようなことはもうしないで欲しい。命を無駄にしてしまうかもしれない」

ちゃんと処理したら多少なりとも食べて美味しいものにできたかもしれないし。毛皮剥いだら何かに使えたかもしれないし。肉は出来れば食べたいけど、ワイルドすぎる。効率が悪いというか。

いやまあ、道具は今の所何もないと言っていいけど。やっぱり食べるなら美味しいものが食べたい。

流石に胃がいっぱいになってしまったようで少し腹が苦しい。探索の前にまた少し休もう。

動物たちが暫く世話を焼いてくれるかもしれないが、周囲の状況くらいは把握しておかないとな。



時は戻って、主人公が立って歩いているところを目撃された少し後の話。

揺り籠の中で安らかに眠る赤子を横目に、その父親である男は頭を抱えていた。

「王の信任厚い我が大公家の待望の継嗣が、欠片も魔力を持たないばかりか、生後七日で翻意を見せるなど!」

「まあ、本当ですの?」

「私も耳を疑ったとも。まさか、我が子の第一声がパパでもママでもなく、世に尊き者は私独り、などと流暢に言い出すなんて!」

「あらまあ、随分な自信家なのねえ」

「王に仕えいずれは次代の王を支えることになる公子がそのようなことを言っていると王族や政敵に知れたら、一体どうなることか」

「そうねえ…獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすと言います。この子を魔の森に置いてきましょう。それで無事戻ってきたら、私たちも腹をくくりましょう。それができるのであれば、世界を手中に収めるだけの何かがあるのかもしれませんし」

「うむむ…」

赤子の母親はそっと男に寄り添う。

「乗り越えられぬ子であれば、いずれ政敵にでも殺されることになりましょう。私も代わりの仔を産める保証はありませんが、大言をするからには、相応の実力を持たねば」

「しかし、この子は魔力が欠片もないのだぞ?そのまま放り出せば野垂れ死ぬだけではないか?」

「生まれたばかりの幼子が何もないのに己は尊いと宣うはずがありません。この子には私たちにはわからない何かがあるのでしょう。それに、本当にただの幼子であれば、見守って、本当にダメそうになってから回収すれば良いのです。己の無力を悟れば、大言もただの妄言と口にしなくなるでしょう」

「ううむ…みすみす死なせたくはないが、それはただこのまま育てても同じこと。荒療治も試す価値はあるか」

「ええ。魔力がないのも、命の危機に瀕すれば眠っていたものが目覚めるかもしれません」

「確かにそのような話は聞いたことがあるが、それは期待するものではあるまい」

とまあ、そのようなやり取りがあって、主人公は森の中に置き去りにされることになったのであった。

魔の森は文字通り魔物の棲む森であり、大公領の端から隣国への境界に位置している。魔の森の監視が辺境伯の重大な役割のひとつだった。

一般的には、魔の森は人の住む場所ではないとされている。普通の子供が生き延びられる環境ではない。

数日中に迎えに行くことになるだろうと父親は思っていた。



マジで本人は異能とかなくて、ただ自然が主人公の口にした願いを全部叶えてくれるだけ 魔力もない まあ生まれて数日で立って歩けて肉も食えるのは多分人間じゃない 多分魔王か精霊王とかの類 それか聖女聖人の類

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