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「浄水場毒物混入事件」

高校生の浜村拓也は退屈な日常にウンザリしていた。


「何か面白いことはないのかな。マジで毎日つまんねー。」


成績もパッとしないし、彼女もできねー。おまけに来年には進路も決めなくてはならない。


俺の成績じゃ就職だし、先生も「お前なんてろくな大人にならない。」って言ってたしな。


「こんな俺じゃ、社会に出ても上手くいかないよな。」


「これじゃ、あんだけ馬鹿にしてた親父と大して変わらない未来を歩むんじゃないか。」


少し苛立ちと悲しげな本音を漏らし、


「なんか最高の暇つぶしはないのかな。」




そんな時だった。


ある匿名サイトに書かれた犯罪計画に強く惹かれたのは。


「これって完全犯罪じゃん。面白れー。」




夜中の浄水場の警備は手薄でいとも簡単に侵入できた。


面倒なカギ問題も投稿内容通りやっても何も問題起きなかったし。


思ったより手薄なんだなー。


「というより、これなら日中でも十分いけたんじゃ。」


と、少し呆れ。


眠いわ。と目を擦った。


あとは、あの配水池って箇所に俺が入手可能な範囲で仕入れた最高の薬品を入れて、、、。


ぽちゃん、、。




配水池に落とした薬品の音が、彼の心に広がっていく黒い染みを表現しているように見えた。




「ニュースを報道します。」


「昨晩未明、何者かが〇〇浄水場に侵入し、〇〇と思われる薬品を配水池に入れたようです。〇〇地域の水道を飲んだ住人100人程度が腹痛を訴える等の理由で病院に搬送されております。警察は引き続き事件の詳細を調査し、犯人の行方を追っています。」




警察官の樋口陽一は事件の調査をしていた。すると、


「どうだ?少し休まないか。」


缶コーヒー二本持って、先輩刑事の足利秀彦が声をかけてきた。


「ありがとうございます。自分もちょっと煮詰まってたんで助かります。」




「そうか、、、。やっぱり証拠とかは掴めてないか。」


ふー、っと大きなため息を吐いて足利は天を仰いだ。


「犯人像はどう見ていますか?」


足利は樋口の目をじっと見つめ、静かにこう言った。


「、、、こういう奴って社会的弱者だよ。で、実行犯は暇人とか社会に不満を抱えている奴。ま、俺の勘ではなんとなくだが、黒幕は、いずれ自分で動かざるを得なくなるタイプ、とみているよ。」


ま、それまで根気強く調査を続けるしかないな、と。足利は樋口に言った。




足利がいなくなった後、樋口は拳を握り締め、


「やるしかないか、、、。」


と呟いた。




大村卓二はネットカフェで例の犯罪計画を投稿した後、もうだいぶ恒例となりつつある家への帰宅に向けて歩いていた。


帰る途中、スマホできっちり両親、俺の3人分のマックセットをモバイル注文をし、それを受け取る。履歴には離婚危機、別居婚、新しい家族の形などの言葉が並んでいた。


「お、これは母さんが好きな映画だよな。今日はレディースデイで安いんだ。帰ったら伝えとくか、、、。」


寝不足でクマができている目を擦りながら、彼はあくびを押し殺しながら人混みに静かに姿を消していった。

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