「大手商業ビル火災」
ネットカフェにいる男がある匿名サイトに犯罪計画を投稿した。
園村は社会に強い不満を抱いていた。
「なんで派遣社員ばかり切るんだ。俺が1番職場に貢献してただろ。」
会社を辞めさせられ、家を追い出され、生活保護の申請も通らなかった。
ふと自販機のコーヒーを買おうとし、財布の中身を見た。もう200円しか入ってなかった。こんな状況じゃ明日生きられるかなんてもうわからない。
それならいっそ、、、。
彼はふとネットで見たある犯罪計画を思い出し、実行することにした。
ある大手商業ビルに侵入し、電気設備がある部屋に入った。
そして、震える手先を整えて、制御盤の太いケーブルを切った。
駆け足で、懐中電灯で照らしながら玄関を目指す。
燃え盛る炎を背に出ていった。
変な汗をかきながら、小走りでビルから逃げていく人に混じりながら、園村は消えていった。
そして少し離れた公園でコーヒー片手に、
「はあはあ、やり切った、、、。」
という言葉と、彼の暗い笑顔は晴れた空の下に気味悪く広がっていた。
胸に残る気持ち悪さをコーヒーで流し込んだ。
「ニュースを報道します」
「3/14火曜、10時ごろ、とある大手商業ビルの電家系統が完全に切られ、1階玄関より火の手が上がりましたーー。」
「エレベーターやエスカレーターが使えず、階段で逃げようとした者の多くが被害に遭い、死傷者200名超、ーー。」
「犯人は数日後、確保され、「社会に不満を抱いていた。とある投稿を読み、自分にも実現できそうだと思い、実行した。」と証言しており、警察は事件の詳細を調査していますーー。」
若手警察官の樋口陽一は憤っていた。
「ハッキリ言って陰湿だ。どうしてこんなことするんだ。」
悔しげに唇を噛み、事件の調査を続けた。
大村卓二は、報道を観てニヤリとした。
「思ったより簡単だったな、、。」
少し息を吐き、気持ちを整え、
「これならいけるかもな、、、。」
静かにだが重い声でそう言い、ゆっくりした足取りで家に帰って行った。
ピロン、ピロン。
彼はふとスマホの画面を見て、力なく腕をだらんと降ろした。
彼のLINEには、母と父の未読のメッセージが個別に何件も入っていた。




