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雪の日に
庭に積もる雪を、一平は自室から見下ろしていた。
彼はもうかれこれ二年、学校へ行っていなかった。行かなくなった初めの日も、雪が降っていた。
「寒いから休む」
その一言で、彼は引きこもりの仲間入りをした。
好きな時間に起きて、好きな時間に寝る。食事もまばらでゲーム三昧。
頭抱える両親をよそに、勉強なんてしていない。机に向かう理由はただ一つ、夢想をノートへ写すため——。
一平はゆっくり落ち行く雪をじっと見つめた。暖房の効いた部屋から、パラパラと落ちて纏まっていく冷たい雪を見つめた。
手元にはノートがあった。開かれたページには、影喰。
その擦れて薄くなった黒を、一平は鉛筆で濃く塗りつぶしていった。部屋には、鉛筆の滑る音だけが響いていた。




