同じ空を見よう
君と見た空を
部屋の中から見上げてみる
海と同じ青い空
どこかから
波の音が聞こえる気がする
君と拾った貝殻が
机の上で息をしているから
君も笑って現れてくれるかも
なんて
もう叶わないんだ
忘れたくて、一度
貝殻をゴミ箱に放り込んだけれど
君との想い出を忘れたくなくて
忘れることなんてできなくて
いつの間にかまた机の上に
好きだって
真面目に伝えても
冗談めかして笑ってくるから
少し嫌になっていたけれど
嫌いになんてならなくて
だんだん惹かれてゆく
君と見るなら
雨が降りそうな暗い空だって
素敵な日になるんだから
君はきっと魔法使いなんだ
僕にとって
最高に素敵な魔法使い
あの空のように
ずっと隣にいてくれたら
当たり前のように
好きの一言を冗談めかして
ありがとうって言ってくれたなら
きっともう
魔法が使えなくなっちゃったのかも
魔法が使えないから
どこかへ行ってしまったのかも
いいのになあ
それでもいいのに
魔法なんか使えなくたって
一緒に並んで
海を見て空を眺めて
それから貝殻でも拾おうよ
魔法使いじゃないなら
僕が君に魔法をかけるから
素敵な毎日になるように
君のそばにいるから
真っ白の貝殻は
机の上で波の音をたてた
風に揺れる君のスカート
海を背景に白いセーラー服
私には似合わないって言ったくせに
今日の空よりずっと綺麗じゃないか
いつだって蘇る記憶は
きっと忘れることなんてできない
あの空のようにこびりついて
一生離れない
もう忘れることなんて諦めて
あの空を見よう
あの日と同じ空を見よう
いつまでも僕は
あの日の空を眺めている
ご覧いただきありがとうございました。
空を見れば思い出してしまう
誰かに届きますように。




