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1話 やる気のない勇者

皆さんこんにちは。 セラヴィーっていいます。

職業は勇者です。


小さいころ、預言者が村に来ました。

何人かお供みたいな人たちが一緒だったけど、

一番偉そうにしている爺さんが、自分が預言者だって名乗ってたな。


その爺さんは、でかい透明な球体を持っていて

村の子どもが、1人1人その球体に手をかざしたんです。

それまではなんともなかったのに、俺がかざした瞬間、少し光ました。


「おお、君が勇者だ!この村から勇者が生まれたのだ!みな祝福を!」


それを聞いた瞬間、村の人はこぞって大きな歓声をあげていました。

今思えば、太陽の光が反射しただけでは?とおもわなくもないです。

あの爺さん結構ボケてそうだったし。

あと、疲れてそうだったから、もう勇を者探すのが嫌になったんじゃないかな?


それまでは、村にいる友達と遊んで、カエル捕まえて家に持ち帰ったら母さんに怒られるみたいな生活をしてました。

それが一変。

選ばれたその日に、刃こぼれのある剣と薄いマント持たされて家族から


「行ってらっしゃい!!」


って言われて、家追い出されて。

信じられます?まだ12歳だったのに。


それから

魔王とか居るんかな?と思いつつ仲間探して。


街に出るといろんな人がいました。


サイフ取られそうになるし。変なツボ買わされるし。


2年くらい経って、やっとの思いで僧侶、戦士、魔法使いを探しました。


ところがどっこい。

僧侶だった女の子は

「そんな傷も直せないんですか?」と言って全然治してくれないし、


戦士の男は、女の子にばっかり夢中で仕事しないし、


魔法使いは、狙ってんのかって言いたいくらい、

俺たちの方に攻撃魔法打ってくるし。

なんか、気合い入ると狙いがずれちゃうんだってさ。


それでパーティーを解散にしちゃったわけ。

仲間に殺されたくないしね。


上手くなったのは、魔物から逃げることと、

弱そうな魔物を探して倒すこと。


そう、俺は全然勇者なんかじゃない。

弱いし。



しかし、歩いていれば目的地に着くもので。


今俺がいる場所は預言者から渡された地図に書いてある、魔王がいるとされる場所。


でかい仰々しい扉。さっきまで晴れていたのに急に嵐になってきた空。

扉は鬱蒼とした森の中にあって、魔物なのか普通の動物かわからない変な

鳴き声しか聞こえない。


流石に震えるし、帰りたい。


でも、まがいなりにも勇者だし。

行かなきゃな。


そうだ!扉が開かなかったら帰ろう!そうしよう。


「開け!ゴマ!」


これ扉開ける呪文らしい。知らんけど。

昔話にあった気がするんだよね。


なんと!ゴゴゴォと言いながら扉が空いてしまったではないか!

前に明かりを用意しないといけないほどの暗さが広がっている。


持っていたレイの実を叩くと青く光り、ランプの中に入れる。

淡い光だから、魔物との戦闘を避けるのにもってこいなんだよな。

(ちなみに、食べると薬みたいな苦い味がする。)


生唾を飲んで、ビビりながら進んでいく。


地下に降りた時、でかいアイスバットが出た!

見た目はコウモリそっくりだけど、氷を吐き出してくるし、何より人間くらいのデカさがある。


あいつは音で敵を認識するから静かにしないと!

口と鼻を手で覆い、その場に静止する。

よかったー!見逃してもらえたみたいだ。

魔物は首を傾げながらもどっか行ってくれた。


その後も暗い道のりを進むと

広い部屋に出た。


大きい椅子が置いてある。背もたれは大人の身長より一回りデカそうだ。もしかしてこれが魔王の座?


でも魔王どころか、何の気配もない。


一応、挨拶してみる。

「我、勇者なり!魔王を打ち破る者!」


声高々に宣言するもシーンとしている。

急に恥ずかしくなってきた。

もいいや、帰ろ。

そう思って振り返かえると、

シクシクと鳴き声が聞こえた気がした。


「そんなわけないか……?」


声がするのは、あの大きな椅子からのようだ。

近寄りたくはないが、見ておくか。


傍に行くとビックリして尻もち持ちをついてしまった。


なんと、5歳くらいの子供がいたのだ。


「ええっと、君だれ?」

「何を見ている!私はまおうだぞ!」


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