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case1. 死にたがりの少女



『死にたいわけじゃないの。生きてたくないだけ。』



刻は夕暮れ。僕らが通う学舎の屋上で彼女は儚げにそう呟く。



『いいじゃないか……。死ぬ意味なんてこの世界にはないだろう?』



『生きる理由もないわ。』



言葉を続けさせないようにピシャリと彼女が言葉を放ち、続けて紡ぐ。



『世の中には死ななくていいなんて、死ぬ理由がないなんていう人はたくさんいるわ。そうかもしれない。』



彼女は微笑む。



『でも、何のために生きるのか……

そんなこともわからないまま惰性で生き続ける人がほとんどよ。何となく私たちは生きているの。君は……何のために生きてるの?』



情けない。目の前の彼女の問いに言葉を出すことができない。僕は何のために生きるのか。



『人はね。須く死ぬために生きるの。最後は死ぬんだもの。ならいつ終わったって、いつ死んだって一緒じゃない?』



『……だからって今死ぬのは」



『死にたいわけじゃないって言ったでしょ。生きていたくないのよ。だから死ぬしかないの。私もイヤイヤなのよ。』



風が吹き、彼女の腰まで伸びたきれいな黒髪が揺れる。



差し込む夕日が、彼女の奥に見えるこの街の風景が、よりいっそう悲しませているように見える。

でも、彼女に紡がねばならない。

ここで何もしないほど馬鹿でもなければ人間腐ってもいない。

拳を固く握る。



『なら僕が生きる理由になるよ。君が明日も生きてみてもいいかもと思えるように。君が明日も楽しめるように。僕が……そうなるから』



『気持ち悪いわね。あなた。」



『え?』



『だってそうでしょう?見ず知らずの生徒にいきなり声をかけて、「君が楽しめるように」?笑わせないでちょうだい。私を助けているつもりなのでしょうけど、あまりにも自分勝手極まってるって思わない?本当に気持ち悪い。それとも』



『この世界の主人公にでもなったつもりかしら?』



胸に突き刺さる言葉、そう確かに僕は自分の都合で自分のいいように捉え、言葉を紡いだ。

最初から、彼女のことなど考えていなかった。

僕が、彼女にそうなって欲しいと理想を押し付けただけだ。



それはそれとして不思議なものだ。そういう言われ方をすると、どう言ったものか………

あっ、そうだ










ムカつく。










あー違う違う!それじゃあ、話が続かないじゃないか!えーと、こうなったらどうすればいいんだっけ。。。なんかこれと似たような作品とかみたことあったっけ??

てか何が『主人公になったつもり?』だ!こいつ。

俺が主人公だよ!わりーか!てかレスパ強すぎだろこいつホント腹立つわ。ぶん殴ろうかな。俺男女平等主義だし。よし。殴ろう。今決めた。



『…………はああぁぁぁ、もうやめだ。今回のは無理がある。背景とかわかんねぇし、いきなりすぎるだろ。』



『あら、もうやめるの?なら帰りましょう。』



淡白にそう言い彼女は踵を返し、俺の横を通り過ぎて、出口の方へ向かって歩き出す。



『はぁ……』



そう。俺が主人公ということは、当然憎たらしいこいつがヒロイン。



『ほら、早く行くわよ。』



ボーッと突っ立てると手を引っ張られる。



『おい。顔が赤ーぞ。』



『……夕日のせいよ』



そうこれは、まだ世に出る前の物語の僕ら物語である。

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