3.チートすぎるステータス
僕は国王にナタリアちゃんと起こった出来事について伝えると国王は笑いながら
「はは。勇者様がいいなら是非お願いしたいですな。もちろん勇者様の意思が尊重されるべきですが」
と言ったのだ。僕はすぐに断れるものだと思っていたので、困惑した。やはりここは大人の対応をするべきだろう。
「すみません、僕には心に決めた人がいるので、ナタリア第一王女との婚約は難しいです」
自分なりにうまく断れただろう。ここで言う心に決めた人についてはまだ先のお話。
「はは。そうですか。それは残念です。我が国は一夫多妻制度が良しとされていますが、それでもですか?」
「はい、ですが、もしも僕の心が動いたらその時はお願いしようと思います」
「わかりました。では"まだ"娘との婚約はしないということにしましょう」
まだを強調した気がするが気のせいだろう。こうしてナタリアちゃんとの婚約は無かったことになったのだった。
部屋への帰り道、妹に変なことを言われた。
「お兄ちゃん、良かったの?」
「なにが」
「だってお兄ちゃんロリコンじゃん。あんなに可愛いナタリアちゃんと婚約しなくて良かったのかなーと思ってさ」
「だいたい僕はロリコンじゃないし、僕には好きな人がいるから余計な心配だ」
「へぇーお兄ちゃんに好きな人ねぇ」
どこかニヤニヤしながら妹はそう言う。疑ってるのだろうか、からかおうとしているのか、わからないが。
「そういえば、日菜。神様たちがなんか別れ際に言っていたの覚えていないか?」
「ああ、なんかスキルを見ておけ的な?こと言ってたよ」
「スキルねぇ。どうやってみるんだろうか」
どうやらこの世界にはスキルという概念が存在するらしい。神様たちの口ぶりから察するにおそらくスキルだけではなく、他のステータス的なものもあるだろう。
「そういうものがあるのか、ちょっと誰かに聞いてくるよ」
「ん。お兄ちゃんいってらっしゃい」
部屋を出て、ホールに向かうと、ナタリアちゃんが歩いていた。ちょうど良かったので他に話したことのある人もいないし、ナタリアちゃんに聞いてみることにした。
「ナタリアちゃん」
「あ!勇者様!どうなさったのですか」
なんかさっきフラれた女の子のテンションではないが、まぁ気にしないでおこう。
「神様から、スキルを確認しておけみたいなことを言われたのだけれど、どうすればいいのかな」
「ああ、ステータス確認ですね。ステータス確認は『ステータスオープン』というと表示されますよ」
やはりステータスが存在した。とりあえず、ナタリアちゃんに言われた通りにステータスオープンといってステータスを確認することにした。
「ステータスオープン」
種族名:人間
個体名:甘雨 裕司
称号:勇者、神の使徒、異世界人、魔導士
Lv.5
魔力:58000
体力:350000
筋力:32500
知力:78300
敏捷性:25000
魔法:炎魔法、土魔法、風魔法、水魔法、魔法創作
スキル:絶望のオーラ、神の加護、経験値×2.5、???、???、???…
「なんというか、チートだなぁこれ」
「さすが勇者様ですわ!!見たことありませんこんなステータス!」
こうして自分のチートっぷりに驚き部屋に戻るのであった。