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山の空き地でかくれんぼ

作者: 川里隼生

 じゃ俺の話も聞いてってもらおうかな。小学生の頃、山の空き地でかくれんぼしてたんだ。確か七、八人だったと思う。で、鬼が「もーいーかい」って言う度に、こっちは「まーだだよ」って答えた。俺はよく木の上に隠れてた。全員が「もーいーよ」と答えたら、いつも同じ場所の俺は真っ先に見つかった。


 書き溜めてねーから連投遅いわ。すまんな。鬼は古い小屋の中、広い茂みの中、次々と見つけてった。でも一人だけ見つからない。そいつ以外の全員で探しても見つからなかった。大人に事情を話して探してもらったけど、見つかることはなかった。


 ここまでが二十年以上前の話な。で、ここからは今年あった話。百合子にどうしてもって頼まれて去年一年間東京に缶詰めだったから、緊急事態宣言が解除されてた四月に田舎まで帰ったのな。二年ぶりだったから懐かしくて町中歩いてた。もう山の空き地も少なくなってたけど、まだぽつぽつ残ってる場所もあって、小学生がかくれんぼしてた。


 その空き地にはまだ小屋も残ってたんだけど、そういえばあのとき小屋の裏は見てなかったな、と思い出した。俺がずかずか入ってきたもんだから子供たちはみんな遠くに集まってこっち見てた。小屋の裏に、一人だけ子供がうずくまってた。きっとかくれんぼの最中なんだから、声をかけちゃ悪いと思ってそのまま空き地を出ようとしたとき、耳のすぐ近くで声がした。

「もーいーよ」

 絶対聞こえた。

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