合宿
合宿はその季節にはやや肌寒い富士五湖近くであった。
計画なんて緩く、
予定通り着けた者が半数程度だったのではないだろうか。
私が所属していた学校はそこそこ規模が大きく、
合宿所などを設けていた。
だからこそ合宿が敢行できたのではあるが。
私はマジメかと言われればそうではない。
と、いうよりは自分がないのだ。
周囲に合わせることもできず、
ただ、無益に時間を過ごすだけの人間だった。
大学生というものはやたら酒が好きだ。
覚えたての新鮮な感覚を楽しむのだろう。
だからこそ呑みすぎてしまう。
まぁそれは致し方のないことだ。
私は抜け出し、煙草を燻らし、一人の時間を過ごすことが却って心地よかった。
そんな時だっただろうか、
あの子は身体が弱かった。
体調を崩した。
下心がなかったといえば噓になる。
しかし心配したことに嘘はなく、
その日は一夜を共にした。
周りには適当に嘘を吐いた、自分の嫌な特技だ。
でもそれがあの子を守ることになるなら良い。
決して手は出さなかった。
あの子は私にとって大事だったから。
見えないものこそ壊れた時気づきにくいものだ。
私はそれを壊さないことに必死だったのかもしれない。
あぁ、ごめんよ、私にはもっとできることがあったのかもしれないね。