思い出が全部消える前の話〜話を聞いていたのがメイドだった場合
お嬢様に好きな人と髪の色と瞳が少し似ているからと側使えにされた私はお嬢様の最後を看取ることになった
それは唐突で、体の弱いお嬢様は病気になり、ショックで記憶を失った、すぐに治ると思っていた…
いつものことだからと、婚約者に伝えさえしなかった、ただの風邪だと偽っていた、いつものように…
世話をしに部屋へ行くと、お嬢様は好きな人の話をしだした…
髪の色が似ていると言われたときには、思わず泣いてしまった、この髪色と瞳の色のおかげで、あなたに会えたから
だから私は、伝言を請け負った、私が大嫌いなあの人に…お嬢様の大切なあの人に…
お嬢様、あなたは、最後まであの人のことは覚えていましたね
でも、お嬢様は私を覚えておいてはくれなかった
だけどいいでしょう、私に、好きな人への伝言を頼んでくれたのですから…