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紋章の入墨

 気づくと僕はベッドに寝かされていました。起き上がり、閉められたカーテンからそっと外を覗くともう夜になっていました。

 あ、それにデカくなったヒヨコに掴まれた両肩ももう治っているし。


「なんだもう起きていたのか?」

「? いつの間に入ってきたんです? そしてあなた誰ですか?」

「俺はこの冒険者ギルドの長、エイジ・エル・エラルドだ」


 この人、すごい身長が高いな、それにイケメンだし。


「冒険者ギルドの長?」

「詳細はあのヒヨコから聞いた。ウキグモ様からお前の面倒を見るよう言づてを受けた」

「ウキグモ様......親方から?」


 さっさと、この養成所から出ていけ! 親方の言葉が脳裏によぎり淋しくなる。


「しかし、お前『恩寵』を受けていないな」

「はい。女神様がくれなかったんです......」


「女神様? ブシン・ルナ・フォウセンヒメ様か!」

「たぶんそうです。親方もたしかそんな名前を言っていましたから」


「珍しいこともあるものだ。この町の『冒険者の泉』でフォウセンヒメ様がお出ましになるとは何十年ぶりであろうか!」

「レアなんですか?」

「レアどころではない。通常は男神がでる」


 普通は男の神様が出るのか。でもあの女神様、自分のこと俺って言ってたな。もしかして男なのかも......いやしかし身体は女だったな。


「そしてすまぬが、お前の胸の入墨を見させてもらった」


 入墨を見られた? やばい。すっかり警戒するのを忘れていた。僕の左胸には『紋章の入墨』が彫られています。

 詳しいことは言いたくありません。しかし、これは僕が呪われた子であることを意味しています。


「警戒する必要はない。俺はそのことを口外しないし、このギルドの者達も口外しない」

「口外しないって言っても、信用できません。この入墨を見られた以上、ここには居られません」

「安心しろ、俺の左胸にも同じ紋章がある」


 同じ紋章? じゃあ、この人も......?


「とにかく、お前の面倒を見るよう言われている。とりあえず、この冒険者ギルドで働くがよい。しかしお前は『恩寵』を受けていない。よって『冒険者』の仕事はできない」

「僕、働くんですか? 働くの嫌いなんですけど!」

「い・い・から! 働け! えー、それでだな、今日いろいろとバタバタがあって受付担当が辞めてしまったのだ。だからお前、明日から受付係な! あ、それと、この部屋はお前の部屋として自由に使っていいから!」


 そして、ギルド長、エイジ・エル・エラルドはじゃあと言って行ってしまったのです。


「明日から受付係ってどうすればいいんだろう? あれ? そういえば女神様がいない......」

「(いるが!)」


 突然、姿を現す女神様。


「いた! 隠れてたの?」

「(うむ、俺はイケメンは苦手なのじゃ)」

「イケメンは苦手なの? じゃあ、僕ブサメン?」

「(お前は犬顔だからな。いずれにせよ犬顔の男は俺の好みではない)」


 そっか。ずっとついてくるからストーカーかと思ってた。



「もしもし? 独り言の最中、申し訳ないっス。わたし、教育係のスライムっス」

「教育係?」

「そうっス。これからこの冒険者ギルドでの生活と、受付係の仕事について説明するっス」


 教育係のスライムさんは、いろいろ説明してくれたけど今日は疲れていて頭に入ってこないや。



***



 それで翌日、僕は受付係の仕事を始めたら女神様が冒険者の人を黒焦げにしちゃうし......僕はまた失神しちゃうし......


 そんなこんなで、僕は目を覚ますとまたベッドの上に寝かされていました。


「あれ? ここはどこ?」

「ここは救護室っス」


 ベッドから下を見ると、スライムがいました。


「教育係のスライムさん?」

「違うっス。僕は救護係のスライムっス。お前、昨日も血だらけで失神してたっス。僕が治療してあげたっス」

「そうだったんだ! ありがとうございます!」


 そして横を見ると、となりのベッドに黒焦げになった冒険者が、包帯ぐるぐる巻きにされて寝ていました。そして、ギロリとこっちを見ました。


投稿は不定期になると思います。

ブクマ・評価くださるととても嬉しいです。

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