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魔導王国の暗殺者

 ぼくのおにいさまですよね? と少年王は言いました。

 そうです。君と僕は異母兄弟です。


「というか、お前は邪神にあやつられていたようだが......」

「じゃしん? ああ、いかいのかみのことですね」


 少年王は少し落ち着きを取り戻し言葉を続けました。


「このまどう王国では、しばしば、いかいの神とけいやくが必要になります。どうということはありませんよ。いかいの神の力を少しおかりしただけです」

「異界の神と契約?」

「けいやく......ええ、契約です。少々、やっかいな出来事がありまして」


 異界の神のことはよく分かりませんが、僕としては『掃討作戦』のことの方が大事です。


「貧民窟を綺麗にしようと思ったとか言ったな、それは異界の神とやらの力が必要なのか?」

「いえいえ、あの程度のモンスターを動かすのに神の力など必要ありません。それにしてもお兄様と巨大ダーク・フロッグの戦い、なかなか面白かったですよ」


 少年王は水晶玉を見せ、これで戦いを見させていただいておりましたと言いました。彼はすっかりもとの元気を取り戻したようです。


「面白かっただと?」

「ええ、とても。本当はあの地域を綺麗にして、この国の民が憩う公園でも造ろうと思ったのですが」

「公園? お前ふざけているのか! あの町に住む人間をなんだと思っているんだ?」

「ですので、手加減したじゃないですか。僕が差し向けたのはダーク・フロッグですよ」


 僕はふざけるなと叫び、もがきました。もがくと魔導捕縛がぎりぎりときつくなる。


「お兄様、もがくと危ないですよ......ああ、そうだ。いいことを思いつきました。あの地域をお兄様にあげます。」


 少年王は「ふふふ」と笑いました。


「そう。あの地域をお兄様の自治領ということにしましょう。そうですね。アル・シエルナ自治領という名前にするというのはいかがですか? シエルクーン魔導王国・アル・シエルナ自治領です。ああ、美しい響きですね」

「ふざけるな!」

「お兄様、少し口のきき方を気を付けてくださいと言いましたよね?」


 少年王はまた「ふふふ」と笑いました。


「ああそうだ。お兄様のところへクロノ鴉がいきませんでしたか?」

「お前か! あれもお前の仕業か?」

「まさか。僕がお兄様を殺そうとすると思うのですか? この魔導王国・王宮には様々な者がいます。中には暗殺者も交じっていることでしょう」


 本当におかしそうに、少年王はまた「ふふふ」と笑いました。


「そうそう。それと、お父さまは僕が殺しておきましたよ。お兄様もお父さまのことを憎んでいるでしょう? お父さまは僕に暗殺者を仕向けたのです。ですので、殺しておきました」

「殺した?」

「ええ、あの男は『キグルイ』でしたからね。多くの娘に子を産ませては、その娘を殺しました。生まれた子には王家の紋章の印をつけて。そう、お兄様のように」

「気狂い?」

「そうです。『キグルイ』です。そして、アル家の娘から生まれたのがお兄様です」


 少年王はもう笑っていませんでした。

 正直、僕はお兄様が羨ましいですよ。と彼は言いました。


(次回で第一部完結とさせて頂く予定でございます。第二部に相当するものは別作品として連載していきたいと考えております。)

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