少年王の異母兄弟
巨大ダーク・フロッグを倒したことで町中から歓声があがりました。武器屋のおじさんも「さすが親分の親分ですね」と褒めてくれました。
押し寄せてくるダーク・フロッグもとまりました。
『王による貧民窟の掃討作戦』をなんとかくい止めることができたようです。
良かった、良かったと思っていたら、シエルクーン魔導王国・王宮から出頭命令がきました。
というか、王国兵士にそのまま連れていかれてしまいました。
僕は「離せ!」とわめいてジタバタしましたが、国王の前まで連れていかれ座らされ魔導捕縛されました。捕縛され動くこともできません。
国王は僕より幼い少年でした。こんな子供だったんだ。知らなかった。王は「はじめまして、お兄様」と言いました。
「お前に兄呼ばわりされる筋合いはない!」
「でも、お兄様でしょう? 僕らは異母兄弟ですから」
それは事実です。僕の左胸にある『紋章の入墨』はシエルクーン魔導王国の先王によりつけられた印です。自分の子供であるという証のための印です。
「僕は貧民窟を綺麗にしようと思ったのですが」
「綺麗に? お前のしたことはモンスターを差し向けたことじゃないか!」
「お兄様、僕は国王ですよ。少し口のきき方を気を付けてくださいね」
突然、女神・ブシン・ルナ・フォウセンヒメが現れ、言いました。
「(あの少年、邪神にあやつられておるようだが)」
「邪神?」
「(異界の神だ。ここからは神の領域。俺があの者を追い払ってやろうぞ)」
女神・ブシン・ルナ・フォウセンヒメがそう言うと、この空間が闇と化した。闇と化した空間に僕と女神様と少年王と醜い姿をしたモノがいた。
「あの、女神様、急に真っ暗になったのですが......それとあの触手がたくさん生えた気持ち悪いモノは何ですか?」
「(あれが邪神だ。そしてお前は黙っておれ)」
少年王に複数の細い糸がつながっていた。細い糸は邪神の触手から真っ直ぐに伸びている。きっとこの細い糸であの少年は邪神にあやつられているんだ。
ルナ・フォウセンヒメは「剣よ現れよ」と言うと瞬時に現れた剣で、細い糸を一気にすべて断ち切った。
女神様は邪神に剣を向ける。
「(異界の神よ我と戦うか?)」
「(■■■■■■)」
邪神は奇怪な声をあげると、消えてしまった。
「いなくなっちゃった。逃げちゃったの?」
「(逃げたのかどうかは知らぬ。とりあえずここからはいなくなった)」
「逃げちゃったんだよ。女神様に恐れをなして」
気づくと闇となっていた空間は元に戻っていました。
少年王は倒れており、近衛兵たちが駆け寄ってきました。
「お前、国王陛下に何をした?」
「な、何もしてないです! 何もしてないです!」
やがて少年王は立ち上がり、口を開いた。
「おにいさま? ぼくのおにいさま? ぼくのおにいさまですよね?」




