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神の必要以上の介入

 女神様がどうしても武器を大量に作れというので、ああそうだ『ひのきの短剣』なら僕にも作れそうだと思って、ベアーさん経由で町の造園業者さんからひのきの木っ端をたくさん譲ってもらいました。


 僕は冒険者ギルドの受付をしながら護符も作り、さらにひのきの短剣も作りました。

 女神様が魔導書の精・白梅さんを連れてきて、僕の作った護符に「白魔導をかけろ」って白梅さんに言っています。

 白梅さんは「?」という顔をしながらも護符に一枚一枚、梅スタンプを押していきました。

 梅スタンプは〔癒しの術〕の効果があるそうです。


「マスター! お久しぶりです!」

「く、黒猫さん。 久しぶりですね」

「皆さん、工作をして楽しそうですね。私も手伝います!」


 魔導書の精・黒猫さんは、僕が作ったひのきの短剣に勝手に黒魔導をかけ始めました。

 短剣を振るうと〔ファイア・ストーム〕が発動するよう加工してくれたそうです。いや、お願いはしていないんですが、しかし女神様は「(素晴らしい!)」と言って喜んでいます。


「私、護符の販売も手伝いますね」

「白梅さん、売るのも手伝ってくださるんですか!」


 白梅さんが護符の販売を始めると、護符はさらに飛ぶように売れていきました。


「じゃあ私はひのきの短剣を売ります!」

「あ、それはダメっス。武器の販売は武器販売業の許可証がないとできないっス」


 黒猫さんがひのきの短剣を売ろうとすると、教育係のスライムさんに止められました。武器の販売はダメらしいです。


「女神さん、ひのきの短剣けっこうたくさん作りましたが、これどうすればいいのですか?」

「(お前が考えろ!)」

「え? は? お前が考えろって女神さんが大量に作らせたんですよ!」

「(そうだ! だが、これ以上の人間界への介入はできぬ!)」


 ダメだ。この女神様、話しが通じない。おっしゃってることがまるで分かりません。

 あ、でも、武器なら武器屋さんに売ってもらえばいいんだと僕は閃きました。

 大量に作ったひのきの短剣は、ベアーさんと一緒に行った武器屋さんに売ってもらうことにしました。


 僕が短剣作りに精を出していると、闇冒険者ギルドの小さな壺がピピンという音を出して紙を吐き出しました。『職人スキルがSランクになりました』と書かれていました。護符とひのきの短剣を大量に作ったことで、職人スキルが1ランク上がったようです。

 そりゃもうたくさん作りましたからね!

 しかし、Sランクてすごいですと思いつつも僕としては職人スキルが上がってもなあと思うのです。


 その後も、僕は護符とひのきの短剣を大量に作りました。護符については、魔道具屋の紫スライムのおばさんにも売ってもらうことにしました。

 武器屋のおじさんも、魔道具屋の紫スライムのおばさんも、僕の作ったものはすごく売れるので喜んでくれました。



「女神さん、なんで武器を作らせたんですか?」

「(人間界への介入はできぬゆえ、言うことはできぬ)」

「まあ、いいじゃないですか。ちょっとだけ教えてくださいよ」

「(そうか、どうなっても俺は知らぬぞ)」

「はい。僕もどうなっても知らないので、教えてください!」


 女神様はちょっと考えてみる仕草をした後、言った。


「(もうすぐ、この国、シエルクーン魔導王国の王がこの貧民窟の掃討作戦を始める。大量のモンスターがこの町を襲うだろう)」

「はい? なんとおっしゃいましたか?」

「(この国の王がこの町をモンスターに襲わせようとしているのだ)」


 なんでも女神様が先日出席した神々会議に、シエルクーン魔導王国の貧民窟掃討作戦のことが議題として出たのだそうです。

 いやいや、そんな重要なこともっと早く行ってくださいよと僕は言いましたが、人間界への必要以上の介入はご法度なのだと女神様は言います。


 本当はお前にこれを言うことも『必要以上の介入』にあたるのだがな、俺も武神ゆえ血が騒ぐのだ。それゆえ、お前にだけ教えてみることにした。

 さて、アラタ・アル・シエルナ、お前はどうする?

 この町の住人たちが共に戦うだけの武器は用意できたはずだ。



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