初めての護符作り
翌日、僕は冒険者ギルドの受付にいました。もちろん仕事です。
「教育係のスライムさん、何で僕はEランクなんでしょうか?」
「普通、誰でも最初はEランクっスよ」
「ではなんで、職人スキルだけAランクなんでしょうか?」
「それは職人スキルの才能があるからっスね」
「つまり戦闘スキルや魔導スキルの才能はないってことでしょうか?」
教育係のスライムさんは面倒くさそうに答えました。
「そういう意味ではないっス。初めはEランクなんですっス。クエストをクリアして経験値をつんでいくとランクが上がるっス。それが普通なんですっス。むしろ最初からAランクのスキルを持っていることの方が稀なことなんですっス」
教育係のスライムさんは「ああそうだ」と言って『初めての護符作り』という本と『誰でもできる簡単護符作りキット』という箱を持ってきました。
「職人スキルが高いから、護符を作るといいっス」
「護符って何ですか?」
「お守りのお札のことっス。護符を作ってこの受付で売るっス」
「う、売るんですか? そんな勝手なことしていいんですか?」
「勝手ではないっス。今まで人手不足だったからやっていなかっただけっス。どの冒険者ギルドでも売ってるっス」
そうなんですか。どうせ暇だしと思い僕は護符を作ることにしました。
そして数日、僕は護符を作り続けました。なぜか僕の作った護符は飛ぶように売れました。毎日のように買っていく人もいましたし、冒険者ではない一般の人も買ってくれています。
護符の売れ行きとともに、この冒険者ギルドに登録していく冒険者も増えたので、ギルド長のエイジ・エル・エラルドさんも喜んでくれました。
そうこうしているうちに、翌日が定休日という日の午後に小さな壺からクエスト依頼がきました。
クエスト依頼は『ミニデーモンを三匹討伐せよ』というものでした。
どうしよう? 初めてのクエストだ。
そうだ、僕には魔導書の精・黒猫さんがいるんだった。と思うのですが、あの日以来、全然出てきてくれません。どうやったら出てきてくれるのかもよく分かりませんし。
「教育係のスライムさん、クエスト依頼がきました」
「そうっスか。ちょうどこの冒険者ギルドの定休日に合わせて依頼がくるように、わたしが調整しておきましたっス」
「そうでしたか、それはご丁寧にありがとうございます」
いや、そんなことより初めてのクエスト依頼です。どうしたら良いか分からないんです。そこへちょうどベアーさんがやって来たので、僕は正直に闇冒険者ギルドに登録したことを言いました。
「初めてのクエスト依頼でやんすか、そしたらあっしがお手伝い致しやすが」
「ベアーさん、ベアーさん、ありがとうございます! ありがとうございます!」
「親分は武器を何も持っていないでやんすから、とりあえず明日の朝一番に武器屋にいきやしょう」
あ、でも僕、お金ないですよ。と言ったらベアーさんが買ってくれるそうです。ベアーさん、なんていい人なんでしょう。




