小さな笛と飛空術
試してみると、僕とマルコ先輩は篳篥という笛の音を出すことはできませんでした。
しかし、ベアーさんはものすごい肺活量なのか吹いてみるとプオーという音が出ました。
「ベアーさん、すごい!」
「初めての方で、音を出すことが出来るのはなかなかすごいです」
白梅さんもベアーさんを褒めました。
「笛は音をだせやしたが、あっしは〔飛空術〕はてんでダメなんでやんす」
そんなわけで、僕とマルコ先輩は笛が吹けず、ベアーさんは笛は吹けましたが〔飛空術〕ができないという状態です。マルコ先輩は〔飛空術〕も三十分くらいがやっとだと言います。
それでも、〔飛空術〕はとても集中力を必要とするので三十分も続けられるのはすごいことなんです。僕は何時間でもできますが。
「マルコ先輩、三十分もできるのはすごいです」
「アラタ君、それはイヤミかね?」
マルコ先輩はそう言いながらも、僕が何時間でもできることについて凄いことだと言ってくれました。
そして、しかし今日はもう遅いので、明日からそれぞれ笛と〔飛空術〕の特訓をすることにしました。
***
翌朝、僕らは冒険者ギルドの中庭に集まり、早速、特訓を始めました。
やはり、僕とマルコ先輩は吹けども笛から音がでません。
ベアーさんはプオーと音を出していますが、〔飛空術〕についてはすっかり無理だと決め込んで諦めてしまっています。
そうこうしていたら、教育係のスライムさんがやってきて、「何を遊んでいるっスか? 受付係の仕事をするっス!」と言われました。
そうでした。仕事があるんでした。
僕はいたしかたなく、受付係の仕事へと向かいました。
中庭で二人が一生懸命に特訓しているのが見える。白梅さんも一生懸命応援しています。
「マルコさん、頑張って!」
「うん、白梅ちゃん、俺、頑張る!!」
「マルコさん、頑張って!」
「うん、俺、頑張る!!」
白梅さんの応援に奮起したのか、マルコ先輩の笛からブーという音が出ました。お世辞にも綺麗な音とは言えませんでしたが。
「マルコさん、すごいです!」
「白梅ちゃん、俺、やったよ!!」
マルコ先輩、白梅さんに褒められてすごい嬉しそうにしています。僕はマルコ先輩のそのごく素直な性格が羨ましくも思えました。
「マルコ坊ちゃん、音を出せましたでやんすね」
「はい。あとは〔飛空術〕一時間です!! アラタに出来るんだから、俺だって出来るはずだ!」
うん、マルコ先輩ならきっと出来ますよ。
「(何だ、あの者達は〔飛空術〕もまともに出来ぬのか?)」
「あ、女神さん、でもマルコ先輩は三十分くらいはできますし」
「(三十分程度で何だというのか、仕方ない俺が直々に指導してやろう)」
ブシン・ルナ・フォウセンヒメは二人の方へいき、彼らを指さすと二人は宙に浮かび体をバタバタとさせました。
女神様は二人をしばらくそのままにしておきました。「ひえ~」とか「ふひ~
」とかいう彼らの叫び声が聞こえてきますが......大丈夫でしょう......か?




