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白魔導書・白梅

 ベアーさんとマルコ先輩が戻ってくると、もう夜になっていまして、マルコ先輩はずっと泣きじゃくっていますし、ベアーさんに聞いても「人にはいろいろあるでやんす」と言うだけで修道院病院でいったい何があったのかまるでよくわかりません。


「アラタ君、アラタくぅ~ん、俺は、俺は最低な男だよぉ~」

「マルコ先輩、いったい何があったのかよく分かりませんが、僕にすがりついて泣くのはやめてください」

「そんなこと言うなよ、アラタくぅん、俺は最低なんだよぉ」

「分かりました、先輩が最低だってことは分かりましたから、離れて下さい!」


 やっとこさ先輩が冷静になって僕から離れると、どうも僕の前任の受付係の人が『黒い死の病』の疑いで修道院病院に隔離されているということは分かりました。

 可哀想ではありますが、『黒い死の病』を治癒する方法はないとされています。僕らには何もできないです。


「親分、しかしおかしいのは通常『黒い死の病』ってぇのは、いっぺんにこんなにたくさん患者が出ることはねえでやんす......それにこのギルドの中にまでクロノ鴉が現れたでやんす」

「そうだ、クロノ鴉......あれはいったい......」

「親分が一瞬で片付けてくだすったから良かったでやんすが、あれはあっしでも手こずるモンスターでやんす。」


 親分が一瞬でとおっしゃいますが、僕は何かした記憶ないですし、ベアーさん、僕を親分っていうのやめてください。

 それにしても、クロノ鴉は不吉を呼ぶモンスターと言われています。クロノ鴉が現れるとき必ず悪いことが起こる。昔からそう言われています。


「(『黒い死の病』といえば、治癒させる方法はないが、病状の進行を止める方法はあるはずだが......俺は白魔導には詳しくはないのだが【白魔導書・白梅】に『黒い死の病』についての記述があると聞いたことがあるが)」

「女神様、俺、白魔導を極めます!」


 女神・フォウセンヒメの言葉を聞くと、ようやく元気を取り戻したマルコ先輩はそう宣言したが、【白魔導書・白梅】とは何だろうか?


「女神殿、【白梅】は失われた魔導書といわれているでやんす」

「(ん? 失われてないぞ、そこにいるアラタが持っているはずだが)」

「え、僕が持ってるの???」


 そういえば、冒険者養成所から荷物が送られてきたんだった。確かに僕は大量の書物を持ってはいるのだけど......あれの中のどれかが【白梅】という魔導書なのかな?


「でも僕、魔導書なんてどれがなにだか全然わからないし」

「親分、よかったらあっしに親分の荷物を見せて下さいやせ、こう見えてあっしは白魔導が専門なんでやす」

「ベアーさん、白魔導士だったんですか? てっきり武闘派かと」


 ベアー・サンジ・ドルザは武闘派と言われ笑い、昔、強え男と一戦を交えてこてんぱんにやられて以降は武闘派はやめたでやんすよと言った。

 その強え男とは、アラタとマルコの親方である元剣聖のことであるが......

 アラタは、この冒険者ギルドの自由に使って良いと言われた部屋へ彼らを案内すると、自分の荷物をベアーに見せた。


「親分、おそらくこれが【白梅】でやんす」


 僕が大量に持っている古書は、僕の母親のものです。僕は母の記憶はありませんが、僕の母親は僕が幼い頃にこの国の兵士に殺されたと親方から聞いています。



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