第八十五話 王子の高いプライド イクミ&クリアネスナイトside
な、何か変なところが目覚めちゃったみたい・・この吸血鬼。
体くねくねさせて涎まで垂らしてる・・・。
恐怖耐性つけてるのに、ここまで恐怖を感じたの初めてなんだけど!?
「ねぇ~・・もっと色々やってみせてよぉ~できるんでしょ~?もっとい~っぱい!僕を攻撃してよぉ~・・・」
貴方はマゾですか!!?
思わずそう叫ぼうとした時だ。
「トルネードカノン!!」
私の真横を凄い風が横切った。
その風は弾丸のごとく目の前の吸血鬼にぶつかる。
「!」
笑っていた吸血鬼は風の弾丸によって洞窟の入り口側にふっ飛ばされた。
「今だクララ!」
今の風はランスロットさんによる魔法のようだ。
今度はクララさんが何かを念じるように半透明のクラゲの体が淡く光る。
あ、あの甘い香りがしてきた。
それに薄桃色の霧も出てきた。
この洞窟への侵入者を防いでいた【催眠魔法】と【霧魔法】を発動したみたい。
「や、やった・・・俺の魔法が吸血鬼族にも効いた・・・やったぞ!!!」
ランスロットさんは腕を上げて喜んでる。
そんなランスロットさんをコーラルさんはうっとり顔で見つめてる。
「素敵よランスロット!」
「ご立派でしたよランスロット様!!」
「俺だって竜人族の王子だ。これくらい軽いものだ」
「吸血鬼族だって聞いた時は驚いたけど、貴方の敵じゃなかったわね!」
「流石はランスロット様!」
「ははは!それほどでもないさ」
何かランスロットさんが全部やってやった!みたいな雰囲気だ・・。
まあ私は別に気にはしないけど。
でもあの吸血鬼、すんごい可笑しい人だけどあれくらいで済むような相手じゃないと思う。
少なくとも、パテルさんと同じくらい・・。
「君、生意気だなぁ」
ドシュッ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
ランスロットはドラシエル・マリーンの第一王子として、幼き頃から大事に育てられた。
王の跡継ぎとして、厳しく指導される事もあったけれど、王から受け継いだ武術と魔法の才能に恵まれ、めきめきと強さを極め、国では王子に適う者はいなかった。
ゆえにランスロットは誰にも負けない自信とプライドがあった。
魔族の最高種である吸血鬼族とただの人族である少女の戦いを見て、ランスロットは吸血鬼族は聞いていたよりも強くないんじゃないかと思った。
クララはあの人族は常識を超えた、我ら竜人族も超えた強さを持っていると判断していたが、本当だろうか?
もろく弱い人族が本当に自分達より強いというのか?
にわかに信じられない。
竜人族よりも強い人間が、いる筈がない。
ランスロットはこの世界で最も強いのは自分達竜人族だと信じていた。
しかも自分はその王子だ。
ただの人族が吸血鬼族と戦えてる。
しかも押してる。
つまり竜人族の王子である自分なら簡単に吸血鬼族に勝てる。
そう確信したのだ。
そして隙を突いて風の最高魔法を使った。
魔法は見事に吸血鬼族に命中した。
吹き飛ばされた吸血鬼族に、ランスロットの心は高ぶった。
吸血鬼族などたいした事ない。
否、やはり竜人族はこの世界で一番強い種族だった!
ランスロットは喜びに満ち溢れた。
その最中だった。
ドシュッ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
音も
気配もなく
ランスロットの背後にブルローネの姿。
ブルローネの羽根が、ランスロットの腹部を簡単に貫いた。
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