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第八十三話  ランスロット王子 イクミ&クリアネスナイトside



「(クララさんの魔法がなくなったから、このへんてこ科学者はここに来れたんだ・・。私にも責任がある・・!)」

「中々の強度がある武器だねぇ~・・興味が尽きないよ君にはぁ~」

「っ!!」


咄嗟に飛び退くイクミ。


ズバシュ!!!



ブルローネの鋭く伸びた爪の斬撃が周りの岩壁や地面を抉った。


「へぇ~・・簡単に避けられちゃうんだぁ~・・」


ぺろ、と攻撃を避けられた爪を舐めるブルローネ。

イクミは刀を下げる事なく、構え直した。



「っ・・あのイクミと言う人間・・本当にただの人間なのか・・?吸血鬼は魔族の中でも高位種・・それと互角にやれるとは・・」

「いいえランスロット様、互角ではありません。魔族もそうですが、あの人間も本気を出しておりません」

「何だと?!」


クララの言葉にランスロットが驚愕する。


「間違いありません。私は貴方の祖父の代から城に使え、竜人族と魔物達との幾度の闘いを目にしてきました。だから分かるのです・・。彼らは、あの人間は常識を超えた強さを持っています」

「我ら竜人族よりも、か・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・」


クララは無言を返すが、それが何よりの返答だという事をランスロットは理解した。


「ランスロット様・・・・」


不安気なコーラルに、ランスロットはハッとなり優しく微笑む。


「大丈夫だ・・君は俺が守る」

「・・・・・・はい・・」


ぎゅっとコーラルを抱きしめるランスロット。


「安心シロ。マスターハ強イ。オ前達ハ、マスターノ邪魔ニナラナイヨウ、大人シクシテイロ」

「っ・・!」


クリアネスナイトはイクミの命令で彼らを守れる位置に立っているが、イクミから目を離そうとしない。

あくまで、ただ命令に従って彼らの傍にいるだけだ。

そんなクリアネスナイトの発言に、ランスロットはぎりっと歯を食いしばる。


「(俺は・・誇り高き竜人族の王子なのに・・守られるだけの弱い奴なのか・・っ)」




ブルローネの羽根は変幻自在だった。

自由に姿形を変える。

羽根は大きく広がり、枝のように細かく割れ、触手のようにイクミを襲った。

掠めただけで岩が切り裂かれるのを見て、イクミは刀をもう一本握り二刀流で襲いかかる羽根の攻撃をかわした。


「(ただ攻撃をかわすだけじゃ駄目・・!よし・・・・!!)」



反撃に出るイクミ。

握るイクミの刀の色が赤く変わった。



「何・・・・っ?」



燃える火の匂いがブルローネの鼻を掠める。

イクミの持つ刀が赤く燃える火を纏ったのだ。

それを認識した瞬間、羽根の攻撃の中からイクミの姿が消える。



・・・・・・ザシュッ。




「え?」



地面にぼたり、と何かが落ちる音がした。

ブルローネがきょとんとした顔で振り返ると、そこに燃える刀を持ったイクミがいた。

そして背中に感じる痛み。

ぽたぽたと、地面に赤い血のシミが広がる。


「え・・・?」


もう一度、ブルローネは呆けた声を出す。

地面を見下ろす。


先ほどまでイクミを襲っていた羽根の片方が、地面に転がっていた。


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