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第八十二話 ブルローネの驚き イクミ&クリアネスナイトside


大馬鹿と呼ばれたのが癇に障ったのか、その口元がわずかに引きつったのが分かった。


「ふ・・・うふふふふふふふふふふ・・・・」


顔を俯かせて、ぷるぷる震えながら笑い出す。

バッと背中に蝙蝠のような大きな羽根が生えた。


「いいねぇ~~~!!!最高だよぉ君ぃいいい!!!僕に馬鹿なんて言ったの君が初めてだあああああ!!!あああ、興奮しちゃってどうにかなりそおおおおう!」


変態だ。

変態がここにいる!

おまわりさーん!!


赤くなってくねくねしてるブルローネに、ランスロットさん達もドン引き。


「君にぞっこんになりそうだよぉおお!早くメスで切り裂いてぇ~痛みと絶望に染まった顔がぁ~見たぁあああい!!!いっけぇキメラ達ぃい!!」


残ったキメラ達が一斉に向かってきた。


「クリア!ランスロットさん達を守って!」

「ハイ、マスター」


私は刀をキメラ達に掲げた。

そして、新しい術を唱える。


「忍法・・・」


刀の色が白色に変わった。


一切の苦しみがないように。

彼らの望みの為に。



“助けて・・・俺達を・・解放して・・”

“バケモノは、嫌だ・・私達を・・【人間として、死なせて】”




「解放の慈刀」



クリアに突き飛ばされたキメラも含めて、全てのキメラ達を一刀両断。

斬られたキメラ達は二つの姿に変わる。

一つはただのトカゲ型の魔物に。

きっとこれが本来の彼らの姿だ。

そしてもう一つは。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」


ブルローネが震えるのも笑うのも忘れたかのように呆然とする。

それも当然だろう。

突如、興味を持っていた少女が変わった剣で全てのキメラを一瞬で斬ったかと思えば、キメラ達が元々の魔物の姿と・・人間の姿に戻ったのだから。



「・・・あ・・・・・・あ・・・・・・」


5人の人間達をイクミは唇を噛み締めて見下ろす。

彼らを完全に元に戻す事も、イクミはできた。

けれど、彼らはそれを望んでいない事にイクミは気づいた。

彼らの叫びが聞こえた時、彼らの思いも届いたから。



こうなったのは金につられて言いなりになった自分達の自業自得。

キメラとなって、自分達は多くの命を奪った。

人間に戻る資格はない。

でもせめて、人間として死なせてほしい。



彼らの心からの切なる願いだった。



「あ・・・・り・・・ガ・・・ト・・・」


人間の姿に戻れ、人間として死ねる。

彼らは心から嬉しそうな穏やかな顔で、永遠の眠りについた。




「・・・・・こりゃ驚いたぁ~・・・まさか、キメラを元の姿に戻しちゃうなんてぇ~・・・」



がきん!!!



イクミの刀を、ブルローネの羽根が盾となって受け止める。



「っつ・・・・やるねぇ~・・。僕の羽根はぁ~・・それなりに強度があるのにぃ~・・・久々に痛いって感じたよぉ~・・・・」

「・・・・ここに来て、・・こんなに怒ったのは・・あんたが初めてだよ・・・!」

「ふぅん・・・僕とやるっていうのぉ~?」


ガチガチと、羽根と刀の刃が硬くぶつかる音が鳴る。

だが刀の刃が触れ合う箇所から、血が一滴流れ始めたのを見てブルローネは薄く眼を細めた。


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― 新着の感想 ―
[一言] お久しぶりでーす! 何か強そうな変態科学者が現れた……この人、他にも色々やらかしてそうですね!
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