第八十一話 科学者ブルローネ イクミ&クリアネスナイトside
現れたのは白衣を着たいかにも科学者なスタイルの人だった。
青白い肌に長くとんがった耳に沢山ピアスつけてて、すんごく怪しいけど。
目の下の隈すっご。
「誰、ですか?」
見た目だけでなく、この人から感じるオーラもすごく怪しい。
上手く言葉にできないけど・・あんまり関わりたくない感じがする。
それに、嫌な匂いもする。
この人、沢山の血の匂いがする・・・。
「うふふふふっ写真で見るより~実物の方がぁ~可愛いねぇ~君~」
ぞわわっ。
嫌な笑い方で、鳥肌たちそう。
「僕はぁ~ブルローネっていうんだぁ~。天才科学者だよぉ~。よろしくねぇ~」
あ、やっぱり科学者だった。
見た目通りだったわ。
「それにしても~すんごい収穫だなぁ~。まさか~こぉんな所でぇ~、竜人族と人魚族を~見つけちゃうなんてぇ~」
ぎらっとランスロットさんとコーラルさんを見つめる目が光る。
怯えるコーラルさんを隠すように、ランスロットさんが身構えた。
補佐丸、あいつ何者か分かる?
『あやつは魔族の一種、吸血鬼族でござる。血の匂いはあやつがこれまでに吸った者の血でござる』
「吸血鬼族!」
「あれぇ~?僕が吸血鬼族だって~、よぉ~く、分かったねぇ~」
くすくす笑うブルローネという男。
「流石~僕のぉ~最高傑作36号を~殺してくれただけはぁ~あるね~」
「36号・・?」
「君とぉ~仲間達がぁ~以前~ある村でぇ~殺したぁ~蜂、といえばぁ~分かるかなぁ~?」
「!」
あの蜂と人間を混ぜたような魔物を思い出す。
科学者で最高傑作、という事は・・。
「あの魔物は・・貴方が・・・?」
「そうだよぉ~。でも~魔物じゃなくてぇ~、キメラって呼んでほしいなぁ~」
やっぱり、アレはキメラだったみたい。
この人いったい・・?
「僕はぁ~キメラ専門のぉ~科学者なんだぁ~」
ブルローネは白衣の袖から試験管を何本か出した。
試験管の蓋がポンポンと自動のように外れ、地面へと落ちる。
「なっ」
「何だと!?」
「きゃあ!!」
「ば、バケモノ・・!!」
試験管の中から煙が噴き出し、その中から巨大なトカゲの体に人間の首を持った生き物が5匹現れたっ。
「こ、これもキメラ・・?」
「そうだよぉ~。人間とぉ~、魔物を組み合わせるとぉ~、とってもつよーいキメラがぁ、できるんだよねぇ~。特に~生きた人間を~使った方が~つよーいキメラが、できるんだぁ~」
「生きた・・人間・・。じゃあ、彼らも元は人間・・・?」
ブルローネの周りに従うように集まるトカゲのキメラ。
手足も何本か人間の腕や足だ。
「もっちろーん!お金をあげるからぁ~ちょっと実験に付き合ってくれる?って言ったらぁ~、結構簡単にぃ~人間の~材料はぁ~集まるんだよねぇ~。でももっと効率的に~いっぱい材料を手に入れる為に~36号を~体内で黄金や~寿命を延ばす蜜を~作れるようにしたんだぁ~。そしたら~簡単に~人間を忠実な奴隷にできるんじゃないかなぁ~と思ってね~。んである村に派遣したんだ~。それが成功したら~、どんどん奴隷村を~作って~どんどん~人間の材料を手に入れる計画だったのにぃ~、君達が邪魔をしたから~もう僕ぷんぷんだよぉ~」
トカゲのキメラを撫でながら頬を膨らますブルローネ。
奴隷?
人間の材料?
何を言ってるの?
「でも~竜人族と~人魚族っていう~珍しい~種族を発見できたから~もう怒りは治まっちゃったぁ~。君達を使ったらぁ~・・どんなに凄いキメラが~できるかなぁ~?」
うっとりとした目でランスロットさんとコーラルさんに指を指すと、キメラ達が動き出す。
「っ!」
「きゃあああ!!!」
「王子!コーラル様!!!
コーラルさんを庇うランスロットさんとキメラ達の盾になろうとするクララさん。
その間際、私の耳に声が聞こえた。
キメラ達の声なき叫び。
“助けて・・・俺達を・・解放して・・”
“バケモノは、嫌だ・・私達を・・【 】”
「・・・・・・っ・・クリア!!!」
「!」
ザシュッ!
ボゴォ!!!
刀でキメラから切り離された腕が地面に転がり、クリアに壁へと突き飛ばされたキメラはそのまま動かなくなる。
「イクミ・・・・さん・・」
ランスロットが呆然と私達を見る。
私は刀を構えたまま、大丈夫と言った。
「大丈夫・・・貴方方は、必ず守ります。絶対に、あんな奴に貴方達を渡さない・・・」
「君、イクミっていうんだぁ~。何?そいつらに~恩とかあるのぉ~?」
「この人達とは知り合ったばかり・・。深い関係はない・・。だけど」
私は刀の切っ先をブルローネに向けた。
「あんたのやってる事は、ぜんっぜん理解できない!!悪趣味以前の問題!何が強いキメラなの!?はっきり言ってあんた、天才じゃなくて大馬鹿だ!!」
村で犠牲になった沢山の子供達。
この男の所為で、もっともっと沢山の人達が犠牲になった筈。
それを考えると、私は頭の中が熱くなる。
こんなに怒ったのは、生まれて初めてだった。
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