第七十六話 ヒューゴ達の危機?
「見る限りは平和そのものだな」
しばらく船を漕いで、沖に出たヒューゴ達。
波も穏やかで変わったところは今の所何もない。
「ぱちゃぱちゃ~!」
ルルが船から身を乗り出し、海に手を入れて遊んでいる。
落ちないよう支えながら、ヒューゴも見る。
どこまでも深く、青い海。
まるで吸い込まれそうな美しさだ。
「問題があるとはとても思えないな」
「だが、異変が起きてるのは確かだぞ」
「いへんー?」
「この辺り一帯・・全く生命の気配を感じない」
「分かるのか?」
「我は冥界の住人・・。生きる者の気配もすぐに察せる」
アンドリューの言う通り、魚がいなくなったのは真実のようだ。
これだけ綺麗な海なのに、どういう事なのだろうか?
「・・・・・ん?」
ヒューゴが何かを感じ取った。
瞬時にイクミから貰った弓矢を手に取り、いつでも打てるように構える、
「ルル、いつでも戦えるようにしとけ」
「なにかきたのー?」
「ああ。何か、がな」
パテルもイクミから貰った仕込み杖を手に取る。
ルルもイクミの苦無を手に握る。
その瞬間、周りの風景が揺らめいた。
「何!?」
ヒューゴ達の乗る船が何かに包まれた。
丸い球状の、透明な何かだ。
それが完全にヒューゴ達の乗る船を包んでしまった。
「これは・・シャボン玉?」
「シャボン玉というと・・子供がよく遊びに使うアレか?」
「おおー」
パテルがためしにそれを杖で突く。
弾力があり、簡単には破れそうにない。
「ねーねー、おふねしずんでるー」
「「!!」」
シャボン玉のような何かは、船を包んだまま徐々に海の中に沈み始めた。
ヒューゴはシャボン玉を破ろうとしたが、しばらく考え、構えた弓矢を下す。
「破らず、このままの状態でいるのか?」
「もしかしたら、海に起きている異変の原因が分かるかもしれないからな」
海の中に完全にシャボン玉は潜る。
シャボン玉は割れず、中はちゃんと空気があった。
「まあどちらにせよ、これを張った者は我らに用があるのは間違いないようだからな」
「どんどんしずんでくー」
シャボン玉は海の底へ沈んでいく。
方向を変えながら沈んでいくので、明らかに誰かが操作してヒューゴ達を運んでいた。
「我が主に知らせるか?」
「・・・いや、もう少し情報を手に入れてから師匠には連絡する。心配かけたくないからな」
ヒューゴは左耳のイヤリングに触れながらそう言った。
・・・どれだけ経っただろうか。
もうかなり深くシャボン玉は沈んだ。
「・・・ここでシャボン玉が割れたら、水圧で我らは潰れるな」
「水の結界を使えば深海でも自由に動けるだろう」
「まあな。ルルの結界は我が張ってやろう」
「うん!」
船に座り、呑気な会話をする3人。
ふと、ルルが何かに気づいた。
「あーっあれー!」
ヒューゴもパテルもルルが指を差した方向を見る。
「・・・・あれは・・・!?」
ヒューゴは思わず立ち上がり目を見開いた。
人魚だ。
武装をし、武器を構えた沢山の人魚達がいた。
人魚達は皆、殺気めいている。
「・・・これは穏やかではないな」
パテルは再び仕込み杖を構える。
ルルも戦闘準備はできてる。
「(人魚と戦う事になるとは・・・師匠、申し訳ありません。貴方は人魚に会いたがっていたのに・・)」
ヒューゴは弓矢を構える。
一回打てば、数十の魔力の矢が放てる。
ヒューゴは人魚達に向けて弓を向けた。
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「ここが噂の洞窟か~」
イクミはアンドリューから聞いた洞窟の前にいた。
奥は真っ暗で全く中が見えない。
中々深そうだ。
「よし、では洞窟探検に行きますか!」
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